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side宮下 そういうことか

○○○○○


 私はあれから今回の事件を1から見直すことにした。今回の事件について1つの仮説を立てた。これはこの事件の容疑者としてウチが考えている人物――蓮本龍を陥れようとしているのではないのかと。勿論これは1つの仮説だし、それが強盗とどう繋がるのかは分からない。

 だが、なぜホシは数多くいる生徒の中で彼を選んだ? 昨日、ウチに6人の男子高校生が来た。話を聞くと蓮本龍の鞄の中に刃物と札束を入れたのは自分達だという。しかもそれは指示されたものだという。私は彼等に何度も問いかけた。誰に指示されたのかと?

 しかし彼等は頑なに口を割ろうとはしなかった。どうしてそこまでして口を割ろうとしない? なにか脅されているのか? だが彼等はそれ以外の事は教えてくれた。

 先ずあの刃物は購入したばかりのもので開封もされていない状態で渡されたという。だから蓮本龍の鞄を開けた状態にして、その上から刃物の入った袋を逆さにして封を開けそのままストンと入れる。そして札束を入れれば完成。

 道理で刃物に指紋が無い訳だ。札束の方はコンビニなどで使い回されていれば、複数の指紋がベタベタと付いている。それをイチイチ調べるのは骨が折れるし、逆に有力な証拠にはなりにくいだろう。

 ここでさっきの疑問に行き着く。彼等は蓮本龍の鞄に刃物と札束を入れるように指示を受けたという。つまり、ホシは明らかに蓮本龍個人を知っているという事だ。それもおそらく、相当の恨みを持っているのではないだろうか。

 なので私は蓮本龍の過去を調べる事にした。経歴書を見て臭った部分がある。


「強姦を受けた女子生徒が自殺か……」


 どうにもそこに今回の真相が隠されているような気がする。私は当時の中学校に連絡を取ると、被害者――()()()()の家族構成、並びにその家族の住所を聞き出す。榊原優恵の家族構成は、父親に母親、それと弟が1人という構成になっている。しかも、彼女が亡くなった年に両親は離婚したらしい。弟の方は父親に引き取られたという事だ。

 その日の夜、榊原優恵の件で連絡があった。電話に出るとどうやら弟の方はこの地域に住んでいるらしい。しかも1人暮らしをしているという話だ。しかも面白いのが、彼――蓮本龍と同じ鷹明高校に通っているという。


「これを単なる偶然と見るべきか。それとも……」


 翌日の朝、私は鷹明高校に電話を掛けた。その榊原優恵の弟とコンタクトを取る為だ。だが


「連絡が取れない……ですか」


 どうやら榊原優恵の弟が学校に来ていないという。電話を何度掛けても全く電話に出ない。私はその教師から彼の住んでいる住所を聞き出し、その場所へと向かう。

 その住所へ向かうと榊原優恵の弟が住んでいると思われるアパートが目の前に見えた。住宅街に囲まれているそこは、陽の光が窓から入りにくいのを容易に想像させた。木造の2階建てのアパート。外装は至ってシンプルで古びた様子がない。建てられてまだ5年以内といったところか。

 私はその建物の205号室に向かった。扉の前に立つと私はチャイムを鳴らす。だが、いつになっても反応がない。留守か? 私は管理人に問い合わせ来てもらった。


「ご足労痛み入ります」


 俺はここの管理人と思われるでっぷりと肥えた巨漢の男に頭を下げる。


「全く困りますよ刑事さん。今回だけですからね」


 そう言いながら管理人は205号室のチャイムを鳴らす。


「どうやら本当に留守のようですね」


 管理人がポケットから各部屋のマスターキーと思われる鍵束を取り出す。そして205号室のキーを取りだし鍵穴に差し込む。


――コツッ


 鍵穴の回る音が聞こえた。管理人はドアノブを回し扉を開ける。私は再度管理人に頭を下げると中へと入る。


「――っ。なんだこれはっ」


 私は部屋の中を見て驚愕する。壁一面に写真が貼られていたのだ。それも大半は同じ人物のがだ。


「榊原優恵……」


 そう。彼の姉に当たる故人となった榊原優恵の写真。


「ん、これは……?」


 私はテーブルの上に置かれた物に目を向ける。黒の覆面マスクがあった。驚いた事にそれは強盗にあったコンビニの店員から聞いた物と特徴が全く同じではないか。


「け、刑事さん……あれ」


 管理人が上擦った声を上げる。管理人に目を向けるとある一点を指を差していた。指し示す方向へ目を向けると、壁に1枚の写真が画鋲で留められていた。しかもその写真は引き裂かれたのかボロボロだ。私は近くまで寄ってその写真を見て驚く。


「――こ、これはっ」


 なんと写真に写っていた人物は蓮本龍だった。


「……そういうことか」


 私はそれで合点がいった。今回の事件は単なる強盗などではなく蓮本龍を陥れる為に行われたものだと。しかもこの写真を見る限り、これだけで終わりという感じではなさそうだ。私はすぐさま署へと駆け出した。

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