side奈津 貴方も友達よ
◇◇◇◇◇
「アンタ達……いつまでイチャついてるのよ」
声が聞こえてアタシは動きを止め、声のした方へ目を向けると霧華が立っている。
「――っ」
アタシは自分のやった事に対して急激に恥ずかしくなりゴンから離れる。アタシ今ゴンの耳……。
「ど、どどどっどうして永嶋さんがいるの?」
ゴンが最初の頃より凄いどもり声で問いかける。
「そ、そうよっ。だいたい霧華は別のクラスでしょっ!?」
ゴンの言葉に乗っかってアタシは言う。その言葉に対して霧華は呆れた顔をしながら
「龍君に挨拶をしようと思って来たの……まさかこんな場所でイチャついてるとは思わなかった」
「なっそれは……」
「反論があるなら聞くけど」
「うっ……」
アタシは反論出来なくて顔を両手で覆い隠す。手に感じるのは熱……。なんか身体中か熱いような気がする。
「はぁ。まぁ良いわ。また昼休みにでも……。それと久川さん、私の事をナチュラルに霧華って呼ばないでくれる?」
「……ん、どうして?」
別におかしくないでしょ? だってタメだし。それに……
「――黎志の友達なら霧華。アタシにとって貴方も友達よ」
「なっ。アイツと……わ、私はっ別に……友達じゃない」
アタシの言葉に霧華は顔を赤く染めると弱々しく否定の言葉を可愛らしい唇から紡がれる。霧華から仄かに甘い空気が流れる。あ~、これもしかして。いやいや、黎志の姉とはいえ人の恋路にとやかく言っちゃダメよね。うん。見守ろう。にしても
龍君、か……。初対面からゴンの事を霧華は自然にゴンの事をそう呼んでる。その度にアタシの心がズシンッと鉛でも乗っけられたみたいに重くなっていった。
多分、羨ましいんだ。考えてみればアタシ6年前も含めてゴンの事を下の名前で呼んだことない。龍……。
「〜〜〜っっっ」
アタシはその場で身悶えする。
「ねぇコレ何?」
「さぁ?」
2人の疑問の声が聞こえる。でもアタシはそれより今思ってしまった事の方が重要だ。無理っ。ゴンの事を名前で呼ぶなんて恥ずかしくて死んじゃうっ。
「まぁ良いわ。そろそろ始業のチャイムもなるし。私そろそろ行くね」
そう言って去っていく霧華。彼女の長いポニーテールが歩く度に大きく揺れる。犬の尻尾みたい……可愛い。今度触らせてもらおう。そんな事を思っているとチャイムがなる。
アタシは座席に着く。だけど頭の中は
『ちょっ……久……かわさ……んっ』
ゴンの事で一杯だった。アタシは口元に手を当てる。アタシさっきまでゴンの……耳を甘噛して舐めてたのよね。
「――っ」
身体がかあっと熱くなるのを感じる。恥ずかしい。軽い冗談ですぐ止めるつもりだったのに。ゴンの艶かしい声と耳の噛んだり舐めたりした時、思いの他楽しいと感じて熱中しちゃった。
「……またしたいな」
アタシはボソッとそんな事を呟くと同時に担任の金田が入ってきた。




