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気に入ってる男ってどういう意味?

 翌日、俺は行き詰まっていた。頼みの綱であった第1目撃者である久川さんのファン6人組は実行犯ではあれど、真犯人……黒幕は別にいるらしい。

 因みに今日あの6人組は警察に事情聴取を受けている。昨日久川さんが警察に行くように命令したのだ。あの時のアイツ等の喜びよう。思い出すだけでも恐ろしい。にしても


「黒幕……ねぇ」


 その黒幕は何が目的なんだろう? そもそも何故俺なんだ? 他に生徒も居るっていうのに。これじゃまるで俺を陥れようとしてるみたいじゃないか?


「……それが目的だったりしてな」


 俺は自責で顔を机の上に擦り付け両手両腕を前に突き出すという、なんともだらしない格好をしながらそんな事を呟く。

 確かにその方が色々腑に落ちる点はある。でも一体誰が? この学校で俺の事を知ってる奴なんているのか? 


「その真犯人も動機は昨日の奴等と同じで校内で1番人気の女子を独り占めしている俺への嫉妬なのか?」


 うーん、自分でそう言ったけどなんか違う気がする。それだったら直接手を下しに来ればいい。態々アイツ等を使わなくてもいいはずだ。


「……駄目だ。全く見当がつかないっ」


 俺が考えを煮詰まらせていると


「蓮本、何考えてるの?」


 久川さんの声が俺の真後ろから聞こえると同時に、背中と手に柔らかい感触が訪れる。


「あの会う度に俺に対してボディタッチするのはどうかと」


 女の子が男の子にボディタッチするのも、立派なセクハラだと思う。


「え〜」


 何甘えた声出してんだよ。そして出来れば離れてくれ。前回も思ったけど胸がない分、1点に感覚が集中するからヤバい。


「蓮本がどうしても嫌だって言うなら考えるけど」


 またそんなこと言って。嫌だって言ったら嘘になるけどさ。そういえば


『こんな下らない事でアタシの()()()()()()()を巻き込むな。そして全員蓮本に謝れ』


「あの、さ……。昨日言ってた()()()()()()()ってどういう意味?」


 俺は昨日の事で気になった事を尋ねる。すると久川さんは暫く無言でなにもせずにジッとしていた。声を掛けようか迷っていると背中から柔らかな感触が消える。ちょっと残念。すると久川さんが前に回ってきて、俺の目線に合わせる為に姿勢を低くする、


「――どういう意味だったら蓮本は……嬉しい?」

「――っ」


 その聞き方はずるいだろう。正直その答えは予想してなかった。はぐらかすとは思ってたけど、逆に質問されるとは。

 久川さんの俺を見つめる瞳が微かに潤む。そんな真剣な眼差しで俺の事を見ないでほしい。勘違いしてしまいそうになる。


「あ、う……」


 俺はなんと答えていいか分からず声をだらしなく発する。すると


「……ぷっ。あはははっ」


 突然、久川さんが吹き出して笑う。俺はその光景を数秒呆けて見た後、ぷいっとそっぽを向く。ほら見ろ。あれは冗談だったんだ。いいか蓮本龍。自惚れるな。勘違いするな。お前はそんなキャラじゃないんだから。


「あははは……あ~っ。面白かった」

「……そりゃどうも」


 一頻り笑い終わって感想を言った久川さんに対して俺は皮肉交じりに言う。


「ごめんって。……まったく、そういう所も可愛いけどさっ」


 久川さんはそう言いながら俺の頬を撫でる。良いか蓮本龍。これは俗に言うハニートラップだ。こんなのにイチイチ反応してたら駄目だ。いや、寧ろ断固として拒否……いやかえってつけ上がりそうだ。よし、ここは無視だ無視。


「あれ。もう……しょうがないな」


 無視を決め込んでいる俺を見て肩を落とす久川さん。そして次の瞬間俺の耳元に顔を近付け


「蓮本とだったらそういう関係も良いかもね」


 という言葉の後に耳に生暖かい感触と擽ったい感触が訪れる。久川さんが俺の耳を甘噛して……しかも舐めているのだ。


「ちょっ……久……かわさ……んっ」


 初めての感覚に抗えず、俺は喘ぎ交じりに彼女の名を呼ぶ。うわ、耳を甘噛の上に舐められるってこういう感覚なんだ。なんかゾクゾクする。俺がそんな感想を抱いていると


「アンタ達……いつまでイチャついてるのよ」


 という永嶋さんの呆れた声で現実に引き戻された。

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