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46.恋手紙な妹だけど、どうしよう。

「最近、初音さん、変わったよね?」

「そうかな?」


 っと、登校中、クラスメイトとの他愛もない会話だ。


「つい最近まで、『私、生徒会』みたいに細かい風紀を取り締まってたのに、柔らかくなったというか、事情を鑑みてくれて……甘くなったのとは違うんだけど」

「そうかな……?」

「悪い事では無いと思うけどね?

 ちゃんとダメな人は取り締まってくれるし」


 とはいえ、思い当たる節はある。

 一つは姉ぇの影響だ。

 心の底では少なからず嫌悪があった姉ぇへの誤解が解けて、理解を示せるようになった。だから、杓子定規という感じではなくなった感じがある。


「コンタクトにもしたし。

 眼鏡の時もあるけど」

「色々あって」

「色々ねぇ?」


 コンタクトだけではない。

 今、姉ぇにお洒落を習って色々やっている。

 校則違反にならない程度にアレンジはしているが、髪や爪先などの手入れは抜かりない。後、肌の保湿なども始めている。

 髪の毛もゴムなどで留めず、後ろで編んでいる。


「好きな人でも出来た?」

「……出来た」

「初耳。

 恋愛禁止の学校じゃなくて良かった、良かった」

「流石の私でもそれは時代錯誤だとおもうよ」


 前までの私が聞いたら驚きそうなことを言っている自覚がある。学校では勉学にいそしむべきだと思っていたし。


「で、どんな人?」

「頭が良くて、カッコよくて、正義感が強い人で……」


 聞かれ、溢れ出そうになる。

 下からもだ。

 抑えろ私、うん。


「……あー、はいはい、判った判った」


 と呆れ顔で引いてくれるので抑えることに成功する。

 危ない危ない。

 私の体質は明らかに校則違反に直結する……というか、社会的に死んでしまう。


「?」


 そんなことを考えながら開いた下駄箱。一枚の封筒がヒラリと落ちた。


「まさかラブレター?」

「……かな?

 名無しだけど」


 開けてみる。

 初音・さんさん、放課後、校舎裏で待ってます。

 果たし合いみたいな文面である。

 名前もない。

 ただ、封筒が可愛いカエルがあしらわれており、これを果たし合いに使う人はいないだろう。


「どうしよ」

「私、ラブレター貰ったことないから判らない」

「私も始めて貰った……どうしようかな……」


 校舎裏は人目の付かない場所だ。

 いきなり襲われることも無いだろうとは思うが、怖く感じるのは事実だ。

 私は痴漢を受けてからというモノ、閉所で異性との接触は避けるようにしている。

 体が固まることがあるからだ。

 現状、一対一で居ても気楽で居られるのは、パパと誠一さんだけだ。


『ラブレターねぇ……』

『……かは多分だけど』


 困ったときの姉ぇラインである。

 お昼休み。

 スマホ自体は禁止されていないが、流石に手紙は他人に見せるものではないと、生徒会室へ。

 会長や副会長は居たので挨拶をし、私の席へ。

 庶務席と書かれたプレートが置かれている。

 生徒会庶務兼風紀委員、これが私の学校での肩書だ。


『まぁ、レディコミなら誘い出された所をレイプとか有るわよね。

 人が居ない茂みに誘い込んでとか……。

 お試し期間だと言ったのに、下の方も試されるとか』

『どんな荒れ果てた高校……』

『いやいや、人を脅す材料があると魔がさすということは往々に有るものでしてね?

 恋愛禁止の学校でキスを写真に写されて、脅すとか。

 万引きをでっち上げられるとか』


 襲い掛かってくる狼のスタンプを押してくる。


『進学校だからそれは無いと思うけどねー。

 なんか妹が男に対して恐怖心をもっていると感じてね?

 からかったわけよ』


 っと、おどけた様な兎のスタンプで安心させてくる。

 とはいえ、恐怖心の部分はある。

 痴漢されてから特にだ。


『姉ぇ?』

『めんごめんご。

 このネットが跋扈しているご時世にラブレターねぇ……、わざわざ手書きの手紙を出す方が勇気もいるし、お金もかかるのに』


 確かにメールアドレスとかなら、友達やクラスメートに教えて貰うことが出来そうなものだ。


『私も無いこともないけど。

 陸上部してた時に何回かだからビフォーアービッチよね。

 その時は部活があるからって断ってたけど』

『そういえばあったね、そういうこと』


 姉ぇが手紙を観てはため息をしていたことを思い出す。

 昔から活動的な姉ぇは男子と距離が近い為か、告白されることが多かった。

 その時はまだビッチでは無かったし、男をたぶらかす趣味も無かった筈だ。


『とりあえず、行くしかないとは思うのよ、姉ぇは。

 ただ危ないと思ったら逃げることは忘れずに。

 逆恨みとか怖いからね?』

『逆恨みって……』

『冗談じゃないからね、これは。

 得てして、自分のモノにならないと人間思えば、とんでもない事をしてくる人もいる訳でしてね?』


 実感がこもった言葉だった。

 私も痴漢されたことがあるが、歴戦の姉ぇはもっと危ないことにあったことがあるのかもしれない。


『断るなら、感謝を示しつつもしっかり断った方が良いわよ』


 強い姉ぇの口調が見える。


『しどー君みたいな返答すると、泥棒犬に困らせられたりするから』


 グサッ。

 私のことだ。

 とはいえ、ウサギがニシシと笑うスタンプ付きなので、


『意地悪!』


 と返しておいた。


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― 新着の感想 ―
[一言] こういう話を見ると女の子一人で行くものではないと思うようになりました
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