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32.初音燦な妹ですが、どうしようかな

「……姉ぇばかりズルい」


 朝起きたら姉ぇは既に朝御飯の準備をしていた。

 とりあえず、夜の不満をぶつけておく。


「そりゃ、私が一番ですし。

 妹じゃなきゃ、叩き出すところよ。

 それに狭すぎて挿入出来ないは自業自得よ……」

「うぅ……」

「つい最近、オナニー覚えたばかりのおぼこだし、しどー君のデカいし、まぁ……。

 良かったわね、ホテルに入らなくて。

 ホテルで意気揚々としたところにそれだったらトラウマ!」

「……既に自己嫌悪の塊」

「それですんだのなら御の字。

 ゆっくりそっちも慣らしていくしかないんじゃないかと、姉ぇは思う訳ですよ」


 何でこんな流れになったかと言うと、


「姉ぇがそもそも私が居るのに始めたのが悪いんじゃないの!」

「だってー、むらむらしちゃったんだもん」


 このビッチが……!

 憤りを覚えるモノの、


「そもそも私としどーくんの部屋で、まーたやっているのを覗き見したのが悪いのよ。

 この前みたいに、クチャクチャ楽しそうに自分の弄ってさぁ……。

 誘ったら誘ったでいきなり、しどー君にキスだもの。

 私の妹ながら処女なのに、淫乱妹で才能があるわよ、まったく」


 自分が暴走した結果なので、何も言えなくなる。

 抑えきれなくなったのだ。

 自分の感情、女である部分が。

 あんまり姉ぇのことは言えない、そう自覚せざる得なかった。


「しどー君じゃなきゃ、無理にぶち込まれて痛い、いたーい、初体験だったかもね。

 裂けて使い物にならなくなるとか、怖い怖い」


 姉ぇが脅すように言う。


「……しかし、よく据え膳とめたわ、ウチの彼氏ながら思うわ。

 その分、私がぶちこまれたけど……フフフ。

 ……まぁ、ゆっくり慣らしていけばいいのよ。

 それも含めてお試し期間よね」

「お試し期間て……」

「そりゃそうでしょ。

 体だけ繋がっても、結局は気持ちいいだけよ?

 幸せになれる訳じゃないの。

 それがゴールじゃないの」


 姉ぇは続ける。


「だって、それ以降も続くし、そこで終わりじゃない。

 気持ちは変わるかもしれない。

 そりゃそうよね、人間成長するし、環境も変わる。

 同じであり続けることなんか、絶対、出来ない。

 けれども、最新の私を愛してもらう努力は出来るから、まだまだ私自身も途中な訳よ」


 姉ぇがそうほほ笑む、何というか大人の表情だ。

 何年も後ろを追い続け、追いつける気がしないまま、背中ばかり見ていた気がする。


「姉ぇが難しい事言ってる……」

「にゃにをー!

 あんたなんかより数倍は経験豊富なんだから

 って零は何をかけても変わらないか、ぷぷー」


 ウリウリと抱き着かれ、頭を撫でられる。

 

「じゃぁ、私が姉ぇを差し置いて一番になる未来もあるよね?」

「ないわよ、ないない。

 一番になるのは許さない。

 まぁ、そう成れるように努力するのはありだと思うけどねー?

 私はちゃんと努力してますし-」


 余裕なのだろうか。

 子ども扱いされてる気がする。


「先ずは身体でも何でも使って、しどー君の心を引き留めることよね。

 考えるって言ってくれたんだから、そうしてくれるのは間違いないんだから」

「……うん」


 とはいえ、何だかんだ、面倒見のいい姉ぇだ。

 ちゃんと指針を見定めてくれる。

 とはいえ、インモラルのは確かだ。

 結局、私の横恋慕だ。


「何、暗い顔してんのよ。

 別に私は妹ならいいからね」


 長い間、姉妹をやっているからか思考を読まれた。

 安心させたいのか、抱き着く力が強くなってくれる。


「結局は、私達がどうしたいかなんだからね?」

「……ありがと」


 何だかんだ、私に甘く、私の事をよく考えてくれる姉だ。

 今回の事で、それは良く判った。

 害意や敵意なんか感じたのは私の幻想で、結局、姉ぇは姉ぇなのだ。


「でも、付き合わないって言われたらすっぱり諦めなよ?」

「うー……それは考えたくない」


 そう釘を刺された。


「おはよう、初音と初音さん……って呼びづらいな」


 寝ぼけ頭なメガネの誠一さんが出てくる。

 頭もボサボサで、カッコよさなんかは何処にもない。

 けれども、そんな彼も可愛いと思えた。

 ギャップ萌えというやつなのだろうか。


「いい加減、名前で呼び合う?

 誠一さん♪ って」

「初音は初音としかなぁ……前も言ったが」

「まぁ、判らなくはないけど。

 私も呼びづらいし。

 そしたら、妹の事、呼んであげたら?」

「姉ぇ、それは……」

「いいのいいの」


 姉ぇがウィンクしてくる。

 名前呼びを繰り返せば、脳裏に親密さは刷り込まれていく。

 つまりアシストしてくれているのだ。


「といっても、この子、サンちゃんなんだけどね。

 初音さん、ふふ、お笑いね」

「……そうだったのか」

「ちなみに漢字は燦」


 っと、姉ぇは誠一さんに抱き着きながら携帯で文字を見せる。


「鮮やかな輝きだっけか、文字。

 良い名前だ」


 良い名前だと唐突に言われ、ハンマーで頭を殴られたかのような衝撃を受け、うろたえる私。


「よく知ってるわね、流石、マジメガネ」

「初音の名前は意味が良く判らないんだけどな。

 すまない」

「私も知らないから気にしなくていいわよー」


 確かに、姉の名前の由来は良く判らない。

 ちなみにミクとも読めるが、それを言うと、姉はキレる。

 とはいえ、


「誠一さん」

「なにかな」

「大好きです。

 惚れさせますし、覚悟してくださいね」


 ちゃんと宣言しておくことにする。

 すると誠一さんは驚いたように、眼を見開いて私を観てくる。


「手加減を頼みたいんだけど?」

「嫌です♪」


 私はそう言うと、とびっきりに微笑んだ。

 攻める時は攻めろと、姉ぇの言葉だ。

 誠一さんは困った顔を浮かべたが、嬉しそうにも見えた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 一途じゃない主人公は嫌いです
[良い点] >最新の私を愛してもらう努力は出来るから これが初音が幸せになる原因の一つですね
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