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2.ファミレスでだべりですが、なにか?

「ミラノ風ドリア、ポテト、ドリバー、プリンを食後で」

「野菜もとらないとダメなんだぞ?

 追加しろ」

「奢らせてる時に追加注文しろと言われたのは初めてだわ。

 エビのサラダも追加で」

「自分はドリンクバー、オニオンスープ、海藻サラダで」

「男だったら肉食べなさいよ?

 食べていない男をみると不安になるから」

「遅い時間だから食べると健康に悪いんだよ!」

「ほんとマジメガネだねぇ……。

 あ、私のコーラとってきてー。

 お腹冷えるから氷無しで」

「はいはい」


 と素直にとってきてくれるのは評価が良い。

 

「で、何をしてたんだい?」

「ナニしようとしてたのよ」

「?」

「通じないか」


 喉を一旦、湿らせてからそう聞いてくるマジメガネ。

 彼のコップは炭酸水だろう、無料で飲めるのになぜとってくるのか不明である。

 メガネは光っている。

 威嚇でもしてるつもりなのかしらね。


「えんこーよ、えんこー、援助交際よ」

「ぶ」

「未遂だけどねー、どっかの誰かさんのせいで」


 前に座って噎せているマジメガネが思いのほか面白いので、悪戯心が芽生える。


「あんたチェリー?」

「なんだいそれは?」

「それもしらないんだー、

 おせーたげる。

 おいしょっと」

「な、な、なんでこっちにくるんだよ!」

「大っぴらに言えないからよ」


 と、彼側の席へと座り直し、耳元でささやいてやる。


「ど、ど、ど、どうていって、当たり前だろ⁈

 まだ高校生なんだから」

「おくれてるー。

 うちの委員長だってきっとずっこんばっこんよ」


 さておき、


「結構な割合で、処女、童貞は高校で卒業。

 ソースはネットとクラスの話よ」

「ネットはソースとしては不完全なんだぞ……」

「うるさいわね!

 だいたいね、青春ドラマとかも高校生で性描写とかふつーでしょ。

 というか、少女漫画ですらあるわよ。

 月に代わってお仕置きよで有名な漫画でも」

「そ、そうなのか……」


 現実に打つひしがれるマジメガネ。

 高校生の性事情なんてこんなもんである。


「というわけで、アンタのバカまじめすぎる頭が間違いなの!」

「それでも不順異性交遊はダメだ。

 校則にも違反する」

「というーか、学校にチクったりしたら許さないからねー。

 もしバラしたら、虐め……あんたも道連れにして退学してやる……!

 私の事を援助交際させてお金を強請ってたって!」


 虐めは委員長が危険なのでやめておく。


「どっちを信じるかは、こっちだろうなぁ」

「それは確かに……」


 成績優秀風紀委員と落第すれすれビッチの信頼度何てそんなもんだ。

 

「とはいえ、未遂しかおさえてないからしない」

「あっそ」


 断言してきてくれるので毒気が抜かれた。

 変なとこで律儀である。

 マジメガネだけに本当に真面目である。


「そしたらバレずにやるわ」

「そういう問題じゃないだろ。

 それに僕以外にも先輩や同級生もあそこは通るんだぞ?

 いつかバレる」

「ち、別の場所でやるしかないのかー」

「まずは援助交際をやめる発想にしろと……」

「だってー、お金欲しいんだもーん、女子高生はお金かかるんのよー」

「普通にバイトしろバイト。

 舞鶴から京都まで出てくるのですら電車賃かかるだろ?」

「ざんねーん、私、園部そのべですー……それでも、お金かかるけど」


 片道五百九十円、女子高生にはめちゃくちゃ痛い。


「こっちの友達と会ってカラオケいって、遊んだりするだけで滅茶苦茶金かかるから、大変なんよ?」

「友好関係を広めるのは良いことだと思うが、身の丈というのも重要だと思うぞ、自分は」

「ふーんだ、マジメガネは外交的な友達いないからそんなこといえるのよ。

 いつもクラスじゃ、オタク達とつるんでるじゃん」

「ムリしない関係は気楽だからいいんだよ」


 いがみ合いになりそうになる。

 平行線だ。

 丁度、そこに料理が来た。

 しばし休戦しつつ、食べることにする。


「コーラもってきて」

「はいはい」


 と言いつつ、持ってきてくれるのはありがたい。

 今度のマジメガネのコップの中も茶色だが、泡が立っていない所を観るにお茶だろう。

 真面目だねぇ、と逆に関心の域に入る。


「で、マジメガネはなんでワザワザ京都の塾なんか来てんのよ」

「僕はこっちに家がある」

「ほーん、京都から舞鶴まで毎日はるばる通ってんだ。

 確かに進学校だからいるといえばいるか」


 カースト中位の女子数名にもいた気がする。


「京都に家があるって金持ちなの?」


 な訳ないなと思いながら聞いてみる。

 話題という奴だ。

 それに本当のお嬢様はクラスに居る。


「どうだろう、親が医者だからあるといえばあるんだろうけど。

 マンションも僕一人で住んでるし」


 瓢箪から駒だ。

 急にマジメガネからお金の匂いと後光が差してきた。

 ともあれ、危急な話題がある。


「ぇ、マジで。

 今日泊めてよ!

 ラブホで泊まるつもりでいたから、家帰れないんだわ」

「どんな計画してんだよ、お前は……」

「てへ☆」

「笑ってごまかすなよ……」


 今から電車に乗ってもバスが無いのだ。

 田舎はツライ。


「まぁ、それぐらいならいいが。

 クラスメイトが困っているのはみてられん」

「やった!

 持つべきものは金持ちの友達だわ!」


 と、無理難題を吹っかけたつもりだったが、あっさりと了承してくれる。

 チョロいなぁっと思いつつ、抱き着いてあげる。

 これぐらいはサービスである。


「ちょっと、まて、初音、胸が胸があたってる!」

「騒がない騒がない、騒いだ方が注目されるわよー。

 ふふふー」

「くっ!」


 純すぎて、ちょっと可愛くなってきた。

 からかうのが楽しい。

 それにマジメガネの性格から見れば、絶対安全マンだ。


「それじゃ、あんたの家に行きましょう!」


 新しいおもちゃを見つけた気がした。

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