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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
97/200

95 せせらぎ亭

カレリーナ様達への報告を終え、宿に向かう。


「その前にシロとクロを迎えに行こう。」

「あ。」



忘れてたわけじゃないよ。

預けた馬車留めに向かうとあの少女はおらず、別の男の人が対応してくれた。

クロの正体がワイルドディアーであることには気付いているようで、ビクビクしていた。

シロは気にしていなさそうだが、クロの方は明らかに下に見てそう。

まあ暴れたりはしてないからよしとしよう。


「シロー、クロー、行くよー。」

「にゃー。」

「ブルルルー!」




2匹も連れて宿に向かう。


「ここですか?」

「そうだと思う。『せせらぎ亭』って書いてあるし・・・。」

「うわー。」

「えらい高級そうなとこやねぇ。」

「そうだね。」


辿り着いた『せせらぎ亭』は和風のザ旅館だった。

完全に周囲から浮いた雰囲気だ。

旅館の周りは時代劇に出てきそうな塀に囲まれており、結構な広さがあることが伺える。

正面は瓦屋根の和風の建物でこれだけ見れば日本に帰ったかのような錯覚を覚えるが、入り口脇に立っている武器を持ったリザードマンがここが日本で無いことを物語っている。

まあ後ろを見たら、ギリシャやフランスやエジプトやマレーシアなどを髣髴とさせる建物が軒を連ねているため、全体的には異世界ではあるのだが。

異文化交流甚だしい。


「すんませーん。ここがせせらぎ亭って宿であってる?」


ゼンがいきなりリザードマンに話しかけた。

まじか。

ゼンがいくか。

驚いた。


「ああ。」


リザードマンはそれだけ言ってまた黙り込んだ。


「兄貴!ここであってるって!」

「あ、ああ。」

「空いてるか聞いてくる!」

「ああ。頼んだ。」

「はーい。」


ゼンの成長を感じる。

お父さんはうれしいよ。

なんてね。




ゼンはすぐに戻ってきた。

出てきたのは金髪のおじさんだった。

もちろん着物は着ていなかった。

ですよねー。


「お泊りですかね?」

「はい。ここにいる面子で全部です。従魔がいるのですが、大丈夫でしょうか?」

「はいはい。おお、これは立派な魔獣ですね。一応確認ですが暴れたりはしませんよね?」

「人の言う事がある程度は分かるようなので変なちょっかいをかけなければ大丈夫ですよ。」

「そうですかそうですか。一応ね、こういうことは確認しておかないとね、何かあった時に困りますのでね。あ、もちろん一方的に責任を、という事ではないですからね。そこの所はしっかりとやらせて頂きますよ。」

「はあ。お願いします。」

「そうですね。従魔のお近くのお部屋の方がいいですかね?」

「ああ、そうですね。その方がありがたいです。」

「そうですね。そうですね。でしたらちょうどいいお部屋が空いていますからね。2部屋に分かれて貰いますけどね。よろしいですかね?」

「はい。それはいいですよ。」

「4名様と従魔2体で合わせて1泊160貨ですね。朝食はサービスですね。他の食事は別途になりますね。」

「はい、わかりました。みんなもいいよね?」

「はい。わたしはソーマ様に従います。」

「はーい。いいよー。」

「ええよー。」

「にゃー。」

「ブルルー。」

「でしたら早速お部屋にご案内しますね。あ、外から回りましょうかね。」



そういうや宿の人は外の塀を回り込むように案内してくれた。

少し遠回りをしたら大きな門があり、そこから裏庭に入ることができた。

他に馬車などが留まっていて、こちらの方が人の出入りが多くあった。

ギルドで聞いたように商人の利用が多そうだ。

旅をしてきたと思われる少し汚れた馬車や大きなトカゲが繋がれた車がいたりした。

西の帝国で主流の竜車というものらしい。

実際は竜ではなく、ランドリザードと呼ばれるトカゲの魔物らしい。

大人しく脚力が強靭なのだとか。

厩舎の入り口もこちらにあり、シロとクロはそこに案内された。

シロのサイズなら、足を拭けば中に入っても大丈夫とのことだったが、クロと一緒にいることにしたらしい。

なんていい子なのか。

親の教育の賜物ですね。

そう俺だ。

えっへん。


「にゃー。」


呆れられてしまったが、俺が保護者であることは変えようの無い事実である。

ふふん。


そんな戯言はさて置き、俺たちも部屋に案内された。

厩舎の近くなのであまり人気が無い部屋らしい。

なるほどねー。


とはいえ、別に臭いわけでもなく、気分の問題だろう。

案内された部屋は思いのほか広くて3人部屋のようでベッドが3つあった。

今は4人なので男女の2:2で別れるのが妥当だろう。

他に小さな机と椅子が4つあり、そこそこ上等な部屋に思えた。

窓からは中庭が見え、侘び寂びの世界が広がっていた。


「え、ここどこ・・・?」


俺は自分の目を疑った。


「中々のものですよね。先々々々代がここを作った時に故郷の文化を再現したくて作ったそうですね。」


故郷・・・。まさか。


「何でも南の方の島国だとかですね。嵐に巻き込まれて流れて来たらしいですね。海からは大分離れた場所なんですけどね。ここ。」


・・・。

どうやら日本もどきな国が海の向こうにあるらしい。

なんて紛らわしい。

もしかしたらその国を作ったのが転生者とかなのかもしれない。

俺が存在している時点で他にも同じような存在がいたとしても不思議ではない。

とはいえ今現状ではどうしようもない事なので頭の片隅にでも置いておこう。


西と東を間違えてました。

【誤】

東の帝国

【正】

西の帝国

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