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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
94/200

92 トリスタ冒険者ギルド

ギルドの建物にはドラゴンというかワイバーンが張り付いていた。

ワイバーンはプテラノドンのような姿をした劣化竜と呼ばれているが竜種ではない。

だが、魔物の中では上位に位置する強さを持った種だ。

そのワイバーンが建物に張り付いていた。

力の誇示とかだろうか?

鑑定してみたら全身剥製だった。

所々劣化していることからも作られたのは大分前のようだ。

戦争があったという話なのによく残っていたな。


ワイバーンの剥製も衝撃的だが、それ以外の部分も色々おかしい。

建物は周りのほかの建物に比べてかなり大きいことが前から見ても分かる。

だが、他の建物に比べても輪をかけてごちゃごちゃしている。

西洋と中華と中東辺りの様式を切り取ってくっ付けたような感じだ。

どんなだ。


右側の壁は一枚岩の石壁で、瓦屋根で中華っぽい提燈みたいなものがぶら下がり、2階部分には細かな彫刻が施された西洋の宮殿のような壁と屋根の上には巨亀の剥製が乗っていた。

グランドタートルという陸亀らしい。

左側は赤茶色と白色のレンガで、タージ・マハルのたまねぎみたいな屋根かと思いきや途中から木造の壁が生えていてワイバーンが張り付いている。

こんなだ。

正直建てたやつの正気を疑う程の出来栄えだ。

周りを歩く人々は特に気にした様子もなく、普通に素通りしているし、入り口から入って行っている。

えー、あそこ行くのやだなぁー。



「どうしたんですか?ソーマ様?」

「え、いや。ほんとにあそこ行くの?」

「え?冒険者ギルドに行かれるのでは?」

「そうなんだけどさ。あんな奇抜な建物には近づきたくないというか何と言うか。」

「奇抜、でしょうか?」

「え?」

「え?」

「イチ、大丈夫?」

「ひゃっ。」


俺はイチの頭が心配になり、イチの頭に手を乗せた。


「だ、大丈夫ですよ?」

「アハハ。いっちゃんのセンスはズレとるからなぁ。」

「え、そうなの?」

「そうやよ。前に2人で買い物行った時もけったいなリボン見ていいかもとか言っとったし。毒々しい柄のやつ。止めたけど。」

「ドーラ、グッジョブ!」

「もっと褒めれー。」

「むー。」


むくれたイチに和まされたので、気を取り直してギルドに向かうことにする。

クロはサイズ的に入れないので外でお留守番だ。

待機できる場所も見当たらないので、シロとゼンとイチにも残ってもらった。

イチは付いて来たそうだったが、ゼンを1人で残すのは問題がありそうだったので涙を飲んでもらう。



ウエスタンな感じの扉を抜けてギルドに入る。

ギルドの中は、外観に対して普通だった。

板敷きの床、受付、掲示板があり、カルポのギルドとは違って食事ができるような場所もあった。


「普通やね。」

「そうだね。よかった。」

「で、ギルドで何するん?」

「とりあえず、はじめましての挨拶とこの町について聞こうかな。どんな依頼があるかも少しだけチェックしておこうかな。」

「ほなら依頼の方はうちがチェックしてくる!」

「え、あ、おい。」


言うが早いか行ってしまった。

せっかちだなー。


とりあえずは受付かな。

昼前という時間帯からか人は少なかった。

空いている受付に向かう。



「すいません。先ほどこの町に着いたばかりなのですが。」

「いらっしゃいませ。冒険者の方ですか?」

「はい。そうです。他に仲間が3人います。」

「そうですか。トリスタへようこそ。ここは初めてですか?」

「そうなんです。相談なのですが、従魔と泊まれる宿でいいところが無いかと思いまして。」

「従魔ですか?いくつかありますけど。ちなみにどんな従魔ですか?」

「猫と馬の魔物です。馬の方はちょっと大きいのですが。」


見れば一目瞭然だが、ワイルドディアー何て伝えなくてもいい情報だろうし、クロは馬扱いでいく。


「予算はどうします?あ!ギルドカードも拝見してませんでしたね。」

「そうでしたね。とりあえず、これを。」


そう言ってギルドカードを渡す。


「ありがとうございます。Dランクですね。あら、まだ14歳?」

「はい。この前なったばっかりですね。」

「落ちついてるから、私より上かと思ってました。」


えーっと、いくつに見えたのだろう。

というかこの人はいくつだ?

若そうだから、10代だとは思うけど。

赤茶色の髪、くりっとした目をしていて、可愛らしい印象を受ける。

というか幼そうだ。

15,6?

女性の年齢はわからん。


「あ、すみません。つい無駄話をしてしまって。」

「いえ。予算ですけど、この辺りの相場ってどれくらいでしょうか?」

「1人なら1泊40貨くらいが多いですね。パーティ4人同室なら1泊100貨くらいであると思います。従魔を預けられるところだともう少し高くなってしまいますけど。」


カルポの町の倍くらいだ。

いや「猫の宿」は相場より安いはずだから、倍はいかないか。

まあ倍の200貨でもいいかな。

部屋は分けようと思うし、多少の贅沢は問題ない。


「予算は1泊200貨位でも大丈夫です。多少グレードの高い宿がいいかな。」

「そうですか。じゃあ、中央から少し東寄りにある「せせらぎ亭」という宿がおすすめですね。従魔も大丈夫ですし、馬車なども預けられるお宿です。Cランクの方がよく泊まられてるそうです。商人の方々もよく泊まられる人気店ですね。」

「へー。じゃあそこに行ってみようかな。」

「簡単な地図をお渡ししますね。」

「ありがとうございます。」

「いえいえ。こちらからも少し聞いてもいいですか?」

「もちろんいいですよ。」


ギブアンドテイクは基本だね。

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