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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
87/200

85 ブルーホーンラビット

吸血樹(ヴァンパイアトレント)を倒した日から4日ほど進んだが、まだ森の中を進んでいる。

あれ以来、3日ほどだが出現する魔物がウルフ種からトレントに変わった。

現在はまたウルフ種がちらほら見かけられるようになった。

トレントはウェイブよりも気配が大きいが、ウルフほどの気配がないため、シロの索敵を掻い潜って接近を許すことが数度あった。

全体の1割程度だが、その1回が命取りになることもあるため、しっかりと辺りを警戒しながら進んでいった。

葉っぱのあるトレント種に囲まれて葉っぱカッターを飛ばされた時は焦った。

囲まれているため、シールドでもカバーしきれない箇所がいくらか出来てしまい、被弾を許してしまった。

そのおかげで羽織っていた麻のマントがズタボロだ。

折角お揃いで揃えたと言うのになんてことだ。

マントに反して中に装備していた劣等地竜の胸当てと革の服はトレントたちの葉っぱカッターを全て防いでくれた。

なめしが甘いのか、まだ馴染んでないのか若干動きにくい革の服だが、防御力は中々のものだ。

竜の革の服って売ったらいくらになるんだろう。

そもそも革の素材っていくらになるんだ?

扱っている店なんか無かったから相場がさっぱり分からない。

トローラの王都でもないんじゃないかとドーラが言っていた。

次の町ではあるかな?





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





森の中の道を黙々と進む。


「兄貴ー。あんまり強い敵でないなー。」

「そうだな。一応ここも街道だから危険な魔物が出るような場所は避けているだろ。まあ吸血樹(ヴァンパイアトレント)なんて大物がいたが、あれはイレギュラーだろうし。」

「あれもあんまり大したことなかったしなー。なあなあ、地竜の谷行かない?」

「うちは嫌やで。あそこの竜いっぱい寄ってくんねんもん。」

「でもよう。今の僕たちなら7匹くらいなら一度に相手も出来るんじゃない?もしかしたら地竜も!」

「流石に地竜は下位の種でも厳しいんじゃないかなぁ。地竜になると更にレベルが跳ね上がるから。」

「えー。そうかなー。」

「ゼン兄!もう!我が侭言わないの!ソーマ様を困らせるんじゃありません!ゼン兄だけご飯抜きにするよ!?」

「い、いやいやいやいや。ご飯抜きはあんまりだよー。ごめんって。謝るからさぁ。」

「わたしじゃなくてソーマ様に謝って。」

「兄貴、ごめん。」

「いやいいよ。まあゼンが飽きてきたのも分かるしな。俺も飽きてきたし。」

「そうだよな!強いのと戦いたいよな!」

「いや強いのとは戦いたくは無いけど。歩いてるだけって言うのに飽きてきたってだけ。」

「強いのと戦えたら、面白いって!」

「そういう面もあるな。」

「もうそろそろ森を抜けるんとちゃうん?木と木の間隔が開いてきた気がするし。」

「確かにね。」



辺りを見ると確かに木々の合間から差し込む光が増えてきている気がする。



「にゃー。」

「おっ!何か出たかな?」

「にゃー。」

「あっちに小さめの気配があるってさ。」

「なんだ。小さいのかー。」


ゼンが期待したものとは違ったのか肩を落とした。


「ガッカリしてるところ悪いが、小さいが数が結構いるみたいだ。」

「数って、またウェアウルフとかかいな?」

「いや、もっと小さいって。」

「小さくて数がいる?ネズミ?」

「それは分からないけどね。この先だからその群れにかち合うことになるから準備だけはしておこうね。」

「はい!」



それぞれ得物を構えてその群れに近づいていく。

見えてきたのは青いウサギだった。

絵の具の青を塗りたくったような真っ青な体毛に覆われ、真っ赤な瞳と額から伸びる剣のような角が特徴的だ。




名前:ブルーホーンラビット

レベル:13

種族:角兎種

属性:風

スキル:突貫

説明:青いホーンラビット。

非常に好戦的で獲物を見つけると鋭い角で串刺しにして捕食する。

時たま角が木に突き刺さったまま他の魔物に生きたまま捕食されることもある。

雑食。




青いが風属性らしい。

どうでもいいな。

生きたまま捕食ってコメントしずらい表現だな。

見る限りで7匹のブルーホーンラビットが見える。

その中に3匹ほど【突貫】スキルを持った個体がいた。

スキル名からも分かるとおり角を突き出して突進してくるのだろう。

どれくらいの速度が出るのか見ものだな。



ブルーホーンラビットに気付かれないように静かに接近して飛び掛る。

数匹がこちらに気付いた。

それと同時に飛び出した3人と1匹の後ろから銃声が響いた。


パパパパン!


ドーラの放った練成銃の弾丸が空気を切り裂き、ブルーホーンラビットに殺到する。

見えていた7匹の内の4匹の頭に弾丸が突き刺さり、亡き者にする。

早業だ。


こちらに気付いたブルーホーンラビットは角を突き出して突進を仕掛けてきた。

直線的な突進かと思いきや、小刻みに着地してジグザグにこちらに向かってくる。

レベル差があるにも拘らず、中々の速度であちこちに飛び跳ねられると捉えにくい。

いつの間にか周囲で飛び跳ねているブルーホーンラビットの数が20匹を超えていた。


「うわ、いっぱいだ。」

「ゼン兄、後ろにもいるよ!」

「にゃ!」


素早い動きで翻弄してくるウサギたちにイチの攻撃は中々当たっていない。

当たったウサギは弾け飛んでいたが・・・。

一方でゼンとシロは双剣と爪を巧みに使い、一閃一閃で確実に数を減らしていた。

イチもハンマーを逆手に持つことで持ち手部分で上手く応戦していた。

その間後方からもドーラからの援護射撃があり、俺も角の攻撃をかわしつつ、斬りつけて数を減らしていった。


程なくして20匹以上いたブルーホーンラビットの群れを殲滅し、回収作業に移る。

体長は30~40cmくらいで、15cm以上ある角が額から生えていた。

結構重い。

全部で27匹もいた。

全滅させてしまってよかったのだろうか。

考えても後の祭りなので全部ストレージリングに回収して、解体した。

次のご飯にしよう。



「うーん。この角、何かに使えんかなぁ?」

「削ったらナイフにはなりそうだね。」

「ナイフかぁ。もうあるしなぁ。」


解体したブルーホーンラビットの角を片手に何か出来ないか思案しながら歩く。


「鑑定してみたけど、削って粉にすれば薬に使えるみたい。興奮剤の材料になるってさ。」

「薬かぁ。専門外やなぁ。おばあちゃんなら詳しいんやけど。」

「俺もレシピだけは知ってるけどね。興奮剤はいらないかなぁ?」

「興奮剤って何に使うもんなん?」

「うーん。なんだろう?血圧を上げる、とか?」

「けつあつ?」

「ああ、分かんないか。なんて言うか、心臓をバクバクさせるとかかな。」

「なして?」

「血を流しすぎたりしたら、心臓が弱くなってしまったりするから、その補助的な役割に使ったりとかするんじゃないかな?たぶん。」

「へー。兄ちゃんやっぱり詳しいなぁ。」

「当てずっぽうなところがあるから鵜呑みにしないでね。」

「なんや当てずっぽうかいな。」

「ま、たぶん、そんなところだよ。分かんないけど。」

「分からんのかい!ナハハハ。」



ソーマは勘違いしているが、ブルーホーンラビットの角の用途は興奮剤ではなく強壮剤や精力剤の材料だ。

ある意味では心臓バクバクである。

心臓というか・・・。

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