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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
81/200

79 衝撃の事実

最初の戦闘があってから更に1時間程進んだ。

その間、2回ほどグレイウルフの群れと戦闘になったが、どちらも危なげなく仕留めて、ストレージの肥やしにした。

グレイウルフじゃ大した肥やしにもならないが。

ドーラも2回目には2匹を仕留め、3回目も2匹仕留めてご満悦だ。

ゼンは戦い足りなさそうだが、狩りや戦闘が目的ではないから仕方ないと宥めている。

ゼンに好き勝手にされると思わぬ大物を引き連れて来かねないから注意が必要だ。

それでしょっちゅう説教している。



「にしても、兄ちゃんも隅に置けまへんなぁ。ひゅーひゅー。」


まったくドーラは面白がりやがって。


「まあ長く使ってた宿だしね。」


ドーラの軽口になどのってやるものか。


「そないかなぁ。1年使ってたゆうても何でもない客に涙なんか浮かべるかなぁ。なぁなぁ。」


ドーラうざい子。


「優しい娘なんだよ。ゼンもイチも知ってるだろ?」

「え?ルカのこと?ああそーだな。いいやつだね。リコのパイとかくれたし。」

「ああ、あのパイは美味しかったな。」

「だよなー。」

「わたしも色々教えてもらいました。ロドさんとルカくんには感謝ですね。」

「ロドさんの料理は絶品だったな。香草にも詳しかったんでしょ?」

「はい。知らない香草とか実とかの使い方とか教えてもらいましたよ。」

「よかったね。あの人達には感謝だよね。」

「特にルカっちに、は、なー。うひひ。」

「ドーラ、笑い方が変だぞ。」

「うっひっひー。」

「?なんでルカくんが特別なの?ドーラちゃん。」


イチが心底不思議そうな表情で首を傾げる。

イチがやるとかわいいのだが人の心情とかに敏感なイチが気づいていないのは驚きだ。


「なんでってなぁ?なぁ兄ちゃん。」

「さあ何のことだろうな。」

「またまたー。」

「んー?」


ドーラがかなりうざい子だ。


「ふっふっふー。女が涙目で男に寂しいなんて伝えるってあからさまやんかぁ。うひひ。」

「女の人が涙目?キサラさん涙目でしたっけ?」

「なしてキサラ姉が出てくるんよ。」

「え?だって女の人でしょ?」

「ちゃうちゃう。キサラ姉は女やろうけど、涙目の女っちゅうたらルカっちのことやんか。」

「え?ルカくん?」

「そうや!ってか、いっちゃん。なしてルカっちのことルカくんなん?」

「?なんでって、男の子だし。」

「「は?」」

「え?」


俺とドーラの声が重なった。

イチもきょとんとしている。


「なんて?いっちゃん今なんて?え?」

「え?ルカくんは男の子って。」

「「はーーーーーーあ!!?」」


俺とドーラの声が再び重なった。


なにーーーーー!!??


俺は表情を取り繕うことも出来ず、声を張り上げてしまった。


「え?え?うえ?ルカっちって男やったん?」

「え?うん。そうだよ。あ、ソーマ様と同い年って言ってましたよ。」


いや、そこじゃなくて、えーっと、え?う?え?

なんで?どして?なにが?え?


「男!?」

「はい。そうですよ。」

「兄貴たち、ルカのこと女だと思ってたのか?」

「え?ゼ、ゼンくんは気づいてたんか!?ゼンくんが?」

「ドーラ、ひでー。僕、泣くよ?」

「え、いや、堪忍や。男の涙なんて見とうない。」

「一言多いよ!ぶー!!」

「2人はいつから気づいてたんだ?」

「いつって、」「最初から?」

「まじ?」

「はい。匂いで分かりましたよ。確かに男の人にしては女の人っぽい匂いでしたけど。」

「服じゃないか?サラさんのお下がり貰ってるって言ってたよ。クマさんのは大きすぎて無理らしいし。」

「そんなんだね。確かにロドさんは大きいし、ルカくんにはサイズが合わないね。」

「そうそう。」


いや、サイズというか性別はいいのか?

いやえっと本人が気にしてなかったらいいのか?

じゃああの涙は・・・。ゾワリ

深くは考えないでおこう。


「ドーラ。この話は終わりな。」

「うん。そうやね。わかった。」


ここに休戦協定が結ばれたのであった。

なんのやねん。


次に合った時にどう接すればいいのか分からなくなった今日この頃だった。



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