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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
70/200

69 新武器

迷宮を更に奥へと進み、次なる魔物を探す。


「にゃ。」


どうやら次が来たようだ。


「じゃあ今度はド「わたしがやります!」え、ええと。イチやりたいの?」


ふんふんふんふん。


イチが首をこれでもかと縦に振ってアピールする。

こんなのダメとは言えないよ。


「じゃあイチに頼もうかな。」

「はい!」


イチは元気よく小声で返事をした。

器用な子だ。


今度現われたのはファングボアだ。

レベルは13ほどある大きな牙を持った昼飯、もといイノシシだ。


「おおおきいっ!だだだいじょうぶなん!?」


ドーラが焦ったような声で心配してくるが大きいだけの昼飯、もといイノシシなど今のイチには動く食材でしかない。


「大丈夫だよ、ドーラちゃん!」


ドーラの焦りを余所にイチはライトボールを上手く使い、イノシシの目を眩ませて動きを封じ、ゼンと同様に一気に接近してメイスを振り下ろした。


プギュ!!


短い悲鳴と共にファングボアの体がどさっと地面に沈む。

ボア系は基本的に脳天が急所だ。

脳天に強い一撃を叩き込めば、ほぼ倒せる。

思い切りの良さと素早い判断力があれば、ジャイアントキリングも可能な魔物だ。

まあイチの方がレベルも高いし、思い切りの良さもあるので苦戦するはずもない。

イチの後を追って近づいて声をかける。


「イチ。お見事!いい一撃だ。過不足ない力加減で完璧な仕事だね。」

「はい!ありがとうございます!えへへ//」

「さすがイチだ!」

「すごい!いっちゃん!」

「えへへ。ありがとう。次はドーラちゃんだね。」

「おー!やったるでー!」

「じゃあ進むよー。」

「「はーい。」」



昼飯、もといイノシシを片付けてから更に奥へと進む。


「にゃ。」


三度シロから接敵の知らせだ。


「また来たみたいだ。次はドーラだね。落ち着いてね。」

「うん。わ、分かってる。」

「はい、リラーックス!リラーックス。吸ってー、はいてー、吸ってー、はいてー。」

「すーはーすーはー。」

「よし、じゃあ行ってみよう。」

「うん。」


しばらく進むと今度現れたのは。


「・・・なんでこんな浅い所に?」

「なあ、兄ちゃん。あれって・・・。」

「熊だな。」

「熊ですね。」

「熊やんな?」

「いいえ、あれは大熊です。」

「一緒やん!!」

「熊は動物だけど、大熊は魔物だよ。ちなみにレベル16だよ。やったねドーラ。ドーラよりレベルが上だからレベルアップチャンスだよ!」

「いややん!いきなりあんなんいややー!」


駄々をこね始めるドーラ。

まあ初の魔物戦が体長3mはある大熊って言うのは怖いとは思うけどね。


「大丈夫だよ!わたしがフォローするから!」

「い、いっちゃん・・・。」

「ドーラの攻撃力ならいちころだよ!やっちゃえ!」

「ゼンくん・・・。」

「あれに接近するわけじゃないし、作った武器の初魔物戦には相応しいんじゃない?自信持ちな。」

「兄ちゃん・・・。うん、わかった!うちやるで!」

「うん、その意気だ!じゃあイチ!」

「はい!」



イチが操作するライトボールが照らし出す範囲に入った大熊の周囲を動いて気を逸らす。

こちらと大熊との間に光源が来るように移動させてこちらの姿を眩ませる。


「グガァァァーー!!!」


ライトボールにイライラした大熊が唸り声を上げて腕を振り回す。

唯振り回しているだけなのにブンッっと物凄い風切り音をたてて振り回される大熊の腕は鉄の盾すらへしゃげさせる威力がある。

試しに大熊の近くにシールドを張ってみる。


「・・・シールド!」


大熊の進行方向にシールドを張ると、見事にぶつかり、バランスを崩した。


「グガアアァァァーー!!!!!」


突然のことに驚き、先ほどよりも怒り狂ってしまった。

不可視のシールドに向かって大きな腕を振り抜き、叩きつける大熊。


ガンッ!!!


大きな音を上げたもののシールドはしっかりとその一撃を受け止めきった。

多少距離があるにも拘らず、中々の強度が出ている。

想定通りの結果で内心でほくそ笑む。

大熊はシールドは見えていないだろうにそこに何かがあることには気づいており、何度も腕を叩きつけその度にガンガンと大きな音を上げていた。

大熊の腕が叩きつけられること10回ほどでシールドは破壊された。

強度と展開速度、シールドの大きさ、後は展開位置の誤差などまだ課題はあるが中々高い強度が出ており、十分な結果と言える。



「あんなの当たったらイチコロだね。当たらないけどなー。」

「ゼンも油断してると当たるかもよ。」

「へっへーん。あんなん油断してても当たらないよ!」

「そーゆーのが命取りになることもあるだよ。気をつけろよ。」

「はーい。」

「イチ、上手いぞ。」

「はい!」

「ドーラ、狙えるかい?」

「う、うん、やってみる。」

「さっきも言ったけど、無理に急所を狙わなくてもいいからね。」

「だいじょうぶ。れ、練習通りにやればいいだけやし。」

「そうだね。ゆっくり狙いな。」


ドーラは自分の得物を引き抜き、構え、撃鉄を引く。

そう、ドーラの武器は銃だ。

ドーラと一緒に考えた発明品の一つだ。

単発式の銃で構造も筒と弾丸と引き金と撃鉄と持ち手と言った部品で作っていた。

銃の詳しい構造なんて俺は知らないから、知っていることを伝えただけだが、ドーラは試行錯誤と工作力だけで形にしてしまった。

ただ前世の銃と違うのは燃料が火薬では無く、魔力だと言うことだ。

火の爆発系の魔法の力で弾丸を飛ばす。

爆発力の調整に失敗すれば暴発してしまう危険があるため、爆発は弱めに設定してある。

それでも唯の鉄の弾丸で市販しているシールドを軽く貫通するだけの威力がある。

オーク以上の一撃と言う事だ。

今のところ、一発撃つ毎に弾丸を込め直さないといけないのが課題だ。



「すー、ふー。よし。いくで。」


ドーラは照準を合わせ、大熊に向けて引き金を引いた。



ドン!!!!!!!!!



その瞬間ドーラの銃から轟音が鳴り響いた。

銃から発射された弾丸は大熊の首に命中し、首の一部を見事抉り取って突き抜けた。

そして、俺たちの耳は死に目の前が真っ暗になった。

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