6 無敵無双
よし、あとは出口問題だな。
おなかも空いたしそろそろ外に出て何か食べ物を調達しないとやばい。
水は湧いていたから水分は大丈夫だが、腹は減る。
だが、入ってきた扉から出て行くのは不可能だ。
レベル120ないし、地竜の巣だし、不可能だ。
と、悩む必要もなくルームにはもう1つ扉があった。
扉をくぐるとルームよりも一回り大きな部屋があり、床には魔法陣が敷かれていた。
複雑な図形で描かれている。
手記によると転移魔法陣で、一方通行の出口のようだ。
行き先はジェリーの迷宮。
具体的にどこにあるものかは分からないが、この世界で最も知られており、最も無意味な迷宮だ。
ジェリーの迷宮は最弱の迷宮と言われ、世界中に存在している。
ジェリーと呼ばれる子供でも一撃で倒せるグミみたいな魔物が無限湧きする迷宮だ。
最奥のボスも迷宮内に出る魔物も同程度で、子供が長時間滞在していても無傷で生還できるレベルの迷宮だ。
宝箱もポップしないし、ボス討伐特典も周辺で簡単に取れるものしか出ないという無意味さ加減である。
そんな場所なので人がいることもほぼ無いため、出口に利用しているのだろう。
が、思い出してみよう。俺のステータスを。
名前:ソーマ
レベル:1
性別:男
年齢:12歳
種族:人間(魔人)
職業:なし
属性:無
罪科:なし
称号:なし
スキル:
鑑定Lv10 max
鑑定眼Lv6
ユニークスキル
1回強くてニューゲーム-使用済
高速思考
全言語理解
夢見がち
説明:
享年12歳(仮)。スキルにより復活を果たすと同時に前世の記憶が蘇える。
英雄に認められた次代の英雄候補。
魔人の血が入るも未覚醒状態。血の提供者は■■■■
注目すべきはレベルだ。
今の俺のレベルは1だ。
つまり最弱だ。
元々は10レベルはあったはずだが、死んだことによってレベルが下がっている。
強くてニューゲームって何だっけ?と思わなくも無いが今はいい。
問題は俺のレベルが1だと言うことだ。
いくら最弱の迷宮だろうと、俺も最弱だ。
やばくね?
と思わなくも無いが、ジェリーは基本的に床でうねうねしているだけで攻撃もしてこないから、きっと大丈夫だ。
錆びた剣もあるしな。
そしてもう1つ思い出して欲しい。
そう、あれだ。
称号[無敵無双]
同等以上の相手に無傷で100連勝
俺は最弱、ジェリーも最弱。
つまり同等だ。
今ならジェリーを100匹倒せばこの称号が労せずして手に入るのだ。
これはやるしかない。
というか今やらないと歩いているだけでもレベルが上がってしまい、もう取得できなくなる。
これはやるしかない。
これはやるしかない。
大事なので2回言いました。
さあ冒険のはじまりだー
「あ、その前にこの部屋に刻印残しておこーっと。」
俺は意気揚々と出口の魔法陣へと歩を進めた。
そして俺は、、、
ジェリーの迷宮の最奥でボスのジェリーを踏み潰して倒した。
記念すべき1匹目は圧死である。あしだけに。
今日は冷えるな。
「よし、サクサクいこう。」
俺はボスを倒して得たリコの実を齧りながら、ジェリーを難なく倒していった。
リコの実というのはまんまリンゴだ。
ここの迷宮の攻略特典はリコの実らしい。子供のおやつだな。
ついでにジェリーを鑑定してみたが、ジェリーにも2種類いた。
名前:スカイブルージェリー
レベル:2
性別:なし
種族:ジェリー
属性:水
スキル:なし
説明:スカイブルーのジェリー
ふよふよである。
名前:ブルージェリー
レベル:1
性別:なし
種族:ジェリー
属性:水
スキル:なし
説明:ブルーのジェリー
ふよふよである。
色違いのレベル違いだった。
レベル2のスカイブルーを倒しすぎてレベルが上がってしまったら、称号が取れなくなってしまうかもしれないので、ブルーだけを選別して倒している。
ちなみに説明が雑なのは、鑑定眼で鑑定しているからだ。
ルームにあったアイテムを鑑定した結果、鑑定眼がレベル6になっていた。
英雄の骨とかトラベラーズマーカーとかストレージリングとかかなり希少なものが多かったから妥当なのだろう。
かなり便利だ。
しかも、鑑定しながらなのに、他の事を考える余裕まである。
同時並行で考えているというよりは、一つ一つの思考が短時間で済んでいる感じだ。
高速思考スキルの恩恵かと思われる。
考えるとスキルだけで既にチートだな。
運がいい。
死にかけたけど。
むしろ一回死んだけど。
でも復活できたから運がいいんだろう。
うん、運がいい。
そうこうしている内にブルージェリーの討伐数は98だ。
最初に倒したボスを含めると99連勝だ。
あと1匹だ。
何か不安だ。
前世ではあと1回って思いながら死んだから何だか不安になる数字だ。
と考えている間にブルージェリーを倒していた。
-- 称号[無敵無双]を取得
称号が取得できたぜ。
やったね。
取得した瞬間一気に体が軽くなった気がした。
ステータスを見てみてもレベルは1のままだったが、確かに軽くなった気がする。
試しにジャンプしてみた。
普通だった。
ジャンプでは判断つかなかった。
まあきっと変わったんだろう、と言うことにしてそろそろ外に出よう。
いい加減、おなか空いた。