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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
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65 シールド魔法

ミンさんとムンさんの息子さん達も王都で錬成師として働いているらしい。

王都でも仕事は特に変わらず、薬の作成が主な仕事で時たま魔法道具を受注生産しているそうだ。

ドーラは王都で親の仕事を見て、特に道具の作成に興味を抱いた。

最初は魔法道具の勉強をしていたらしいが、次第に魔法を使わない道具の作成にも興味を持ち始め、王都の工房で木工細工や金属細工、裁縫と色々勉強したらしい。

それらの工作技術を活かして凄い魔法道具を作りたいそうだ。

しかしそこで躓いた。

凄いアイデアが思い付かなかったのだ。

技術は色々と学んだし、更に磨くことはできるが、やりたいのはそうじゃない。

試しに作ったのが奇妙なオブジェや魔法の箱。

あまりにも役に立たない。

そこで次に魔法に手を出してみたが、コードはちんぷんかんぷんでどうやって改良したらいいかもわからない。

絶望した。

そんな時にカルポの町から魔蓄器なんてものが売り込まれた。

明らかに既存のコードのコピーじゃない魔法板が付いている。

次いで今度は魔法を使わず、遠くを見ることができる望遠鏡が持ち込まれた。

しかも両方ともじいちゃんの工房のマークが入っていた。

これは行くしかない。

で、来た。

今ここ。


やばいくらいに貪欲で前向きだ。

しかもこの子はきっとロマンが分かる。

きっと巨大ロボットとか好きだろう。

俺には分かるぞ。

将来きっと作るんだ。

夢の巨大ロボット、パイルダーオーン!!


脱線してしまった。

つまりこの子は工作好きなオタク女子ということだ。

そう言うことだ。


「ちょっとソーマ、聞いてんのかい?」


「はい!聞いてます。つまりドーラはオタク女子という事ですね!」

「?なんだい?オタクって?んー、まあいいや。ちょっとドーラの相手してやってくれるかい?」

「いいですよー。」

「やったー!ばあちゃんありがとう!兄ちゃんありがとう!」



ということで、ドーラと話してみた。

正直身のある話はあまりできなかったと思う。

日本の家電の事を話してみたり、自動車の事を話してみたり、飛行機からジェットエンジンの事を話してみたり、脱線しまくりで雑談していた。

どれも研究してみたいけど、すぐには難しいものばかりだ。

簡単そうなので冷蔵庫、洗濯機辺りだ。

冷蔵庫は氷を作る魔法が分かればなんとかなりそう。

ないけど。

洗濯機は回転すればとりあえずは形になる。

形になるだけでどうやったら上手く洗えるのかは試行錯誤が必要だ。

世界中のメーカーが長い歳月をかけて改善改良して産み出されたものを早々作れるはずもなく、まとまった時間が必要だ。

その割にあまり儲かる未来が見えない。

そもそも大きいものは作るのが大変だ。

人手も足りないし、面倒。

試しに作ってミンさんたちにプレゼントする位が丁度いいだろう。

いい考えかもしれない。

そうしよう。

冷蔵庫は氷の魔法が、手に入ってから考えよう。


また脱線してしまった。


ドーラとの話で面白かったのは、ドーラが研究していたものだ。

意味のないものではダメだと考えたドーラはある魔法を魔法道具で発生させることを考えた。

それはシールドの魔法だ。

これを冒険者向けに作れば喜ばれるに違いない。

シールド魔法は、無属性魔法に属する下級魔術で、レベル10の攻撃を1回防げるくらいの弱い魔法障壁を作ることができる。

レベル10の攻撃というのはゴブリンの一撃くらいだ。

一人前の冒険者からしたらゴブリンの一撃が防げても、オークの一撃が防げなければ、有用とは言い難いと思う。

だが、一般市民からしたら、ゴブリンの攻撃を1回防げるだけでも重宝されると思われる。

目の付け所はいいが、アイデアとしては普通だ。

ただ実使用に耐えられる物を作れた人間は今のところいない。

少なくともこの国には伝わっていない。

魔法道具のコードは普通の魔法と同じコードだけでは同じ効果を発動しない。

人の無意識や微妙な発音に含まれるニュアンスを取り込み、魔法道具独自の術式を加えて最適化してやっと同じ効果が得られる。

魔法道具独自の術式も含まれているから、魔法道具のコードから普通の魔法を読み取るのも難しい。

相互に通じる部分はあるが、同じではないからこそ、出来そうで出来ずにこれまで何人もの魔法道具研究者が挫折してきた。そう言う分野だ。

つまり俺には相当なアドバンテージがあると言うことでもある。

えっへん。

まだまだコードの蓄積が少なくて、出来ないことの方が多いけどな。


まずはドーラが研究していたものを完成させよう。

シールドの魔法は魔力の力場を指定空間に作り壁とする魔法だ。

魔法のしゃもじも原理は同じだ。

ドーラが持ってきていたシールドの魔術書には詳細な理屈までは書かれていなかったが、ひと口にシールドと言ってもいくつかのパターンが書かれていた。

シールドの形状について、位置の指定についてなどだ。

特に形状は、丸形、四角形、三角形について書かれていて、この魔術書では四角形をひし形のようにして展開するのをオススメしていた。

地面に刺したら動かなくなって安心だそうだ。

何がだ。形状はとりあえず単純な四角形にした。

隙間から狙われることが無いようにだ。

あとは、魔術書そのままだと強度が弱いので、攻撃魔法で培った強度を上げるコードを付け足し、逆に無駄な部分を削除した。

ドーラと相談しながらコードを考えていたら、いつのまにかゼンも混じってふんふん言っているが、たぶんゼンはわかってない。

とりあえず、普通のシールド魔法を強化してみたので外で試してみよう。

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