57 2人のランクアップ試験
2人が竜殺しの称号を得たのは更に2日ほどかかった。
無事2人のステータスも上がり、レベルも初心者とは思えないくらいになった。
名前:ゼン
レベル:10
性別:男
年齢:9歳
種族:狐人
職業:奴隷、冒険者
属性:雷
所有者:ソーマ
罪科:なし
称号:(無敵無双)、(竜殺し)
スキル:
エクストラスキル
竜殺し
説明:狐の獣人。双子の兄。
山奥で暮らしていたが、攫われて奴隷落ち。
天孤へと至る可能性を秘めている。
名前:イチ
レベル:10
性別:女
年齢:9歳
種族:狐人
職業:奴隷、冒険者
属性:雷
所有者:ソーマ
罪科:なし
称号:(無敵無双)、(竜殺し)
スキル:料理
エクストラスキル
竜殺し
説明:狐の獣人。双子の妹。
山奥で暮らしていたが、攫われて奴隷落ち。
天孤へと至る可能性を秘めている。
一気に4レベルアップした。
町の大人すらボコせる強さだ。
ゴブリンなら高レベルの個体でも倒せるだろう。
高くてもレベル15くらいのはずだし。
ただ、一気にレベルを上げたため、頭と体が付いてきてないときがあった。
俺はそこまで急激な変化がなかったから見落としていたが、レベルアップにステータス2.5倍が一度に重なって訪れたら混乱もする。
そのため、更に3日かけて、体を慣らしていった。
一番変わったのはイチだ。
何が変わったかといえば、武器だ。
イチは始めは槍を持っていた。
近づくのが怖いというもあって選んだのだが、刺す、切ると言うのにも忌避感があったらしい。
料理の際の食材を捌いたり、動物の解体などは割り切れるようだが、生きているものに対してするのは怖いようだ。
どっちも怖いような気がするが、イチの感性なので仕方がない。
というわけで武器を変えた。
イチが選んだのはメイスだった。
そう、いわゆる鈍器だ。
木の棒の先に鋼鉄が付いているシンプルな武器だ。
棍棒に近い。
魔法使いの杖みたいなのもあるよ、と言ったがこれがしっくりくるらしい。
魔法少女より撲殺少女の方がお好みらしい。
どちらにしても中二心を刺激するよね。
そういえば今ちょうど中二だな。
意味違うけど。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ある程度武器とステータスに慣れたため、2人の冒険者ランクを上げて、依頼を受けようと思う。
と言うことで、冒険者ギルドにやってきた。
「キサラさん、こんにちは。」
「あら、ソーマくん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」
「2人のランクアップをお願いしようと思って。」
「大丈夫?まだ1週間くらいしか経ってないけど。」
「大丈夫だと思います。ある程度は訓練したのでちゃんと動けますし、強めの動物でも狩れるようになりましたから。」
「そう?じゃあソーマくんの言葉を信じて、ソーマくん推薦でFランクへの試験の許可をだしましょう。ちょっと待ってね。試験官の手が空いてるか確認してくるから。」
「はい。お願いします。」
秘書子さんことキサラさんが奥へ引っ込んだところで、イチがふぅとため息を吐いた。
「どーした?イチ。緊張してるのか?」
「あ、いえ、美人な人だなーって。」
「そうかな?なんかきつそうな感じがするけど。」
「ゼン兄は見る目がないなー。もう。」
「そんなこと言われてもな。」
イチもきっと美人になると思うんだが。
というか、秘書子さんって美人は美人だけど、目つきとかメガネの影響できつそうな印象を与えるから、美人よりきつそうって印象の方が強いんだよね。
あの人を美人と見抜くイチの感性はどうなっているんだろう。
キサラさんが戻ってきて、すぐに試験を受けられることになった。
俺のときと同様に戦闘試験だ。
まだ攻撃魔法は教えていないので仕方ない。
試験は動けるかどうかを見るものなので、問題ない。
俺のときの本気試合が例外なのだ。やりすぎた。
訓練場に移動すると試験官がすでに腕を組んで待っていた。
見たことのない人だ。
ガタイがよく、身長は2mを超え、腕や足が丸太みたいに太いムキムキマッチョメンだ。
「よーし!!来たなー!!」
声がデカイ。
「「よ、よろしくお願いします。」」
2人が緊張しつつもあいさつをした。
「声がちいさーい!!もっと元気よくー!!もう一回!!」
「「よろしくお願いします!!」」
「よろしーい!!では早速試験を開始する!!」
あ、暑苦しい。
声の大きい大男は、あいさつもそこそこにすぐに試験を始めるという。
すでに手には刃をつぶした大剣を用意していた。
「え、えっと。武器はどうしたら。」
「もう持ってるじゃないか。さあ2人同時に来い!!」
「え、えっと。」
動揺している2人がこちらを伺うように見てきたので、言う通りにかかって行くように伝える。
「かかって来いって言ってるんだから、いいんだよ。胸を借りると思って思いっきりいきな。」
「「はい!」」
2人の試験が始まった。




