51 魔力制御
魔法のしゃもじを使うには魔力を流しこむことが必要だ。
初級魔法が使えるなら魔力の制御は問題ないはずだ。
「これに魔力を流し込むと、こんな風にしゃもじができる。わかるかな?」
「ぼんやりとですけど、何かがあるのは分かります。」
「僕も。ソーマ様が持っている棒から大きな何かが出ているような気がします。」
「おお。すごいな。分かるのか。才能あるなー。この魔法のしゃもじは魔力を固定してしゃもじを形成しているんだ。だから魔力の感知能力がないと全く見えないし、感じられない。不可視のしゃもじだね。逆に魔力感知能力があれば見えるってことだけど。まあ今はいいや。」
「はい。」
「これは魔力を強く込めれば大きく、弱く込めれば小さくなる。1万匹のピコドラゴンを倒す必要があるから、なるべく大きなしゃもじを作って振り回す必要があります。」
「はい。」
「とにかくしゃもじを形成できなければ、進まないのでやってみよう。」
「「はい!」」
順番に魔法のしゃもじに魔力を込めてしゃもじを形成させてみた。
うーん。
なんか小さい。
「ふー。ソーマ様みたいに大きくするのは難しいです。」
「うんうん。」
魔力操作の熟練度の問題かな?それとも魔力量?
魔力量だったらどうしようもないが、熟練度なら練習したら向上するか?
「もっと強く魔力を流し込むことってできるか?」
「もっと強く、ですか?どうやってやるんでしょうか?」
うーん。
改めて聞かれると難しいな。
魔力の動きは目では見えないから、どう動いているのかイメージし難いし、どうやっているかを伝えるのも難しい。
「イチは魔法を使う時はどうやってる?」
「え、えーっと。スフィアに魔力が集まるように何となく。」
「どこから?」
「えっと。どこだろう。体全体?」
「そうだね。全体だ。魔力は体全体に宿っている。体だけでなく、もっと内側の魂にも宿ってる。全てに魔力は宿っていて、体の中を巡っているんだ。」
「巡っている・・・。」
「そう。自分の中に魔力流れを感じれるはずだよ。スフィアはどういうわけか魔力を引き寄せる性質があるんだ。だからあまり意識しなくても魔力を込めることができるし、魔法を使うことができる。」
「なるほど。」
「まずは、自分の中の魔力をもっと意識することからはじめた方がいいかもね。」
「はい!」
「ゼン、わかった?」
「わかりません!」
「うん。元気がよろしい。じゃあ、まずは目を瞑って感じてみろ。お前の中や周りには沢山の魔素がある。見えないけど確かにあるんだ!」
「はい!」
2人は目を瞑り、自分の中の魔力を探り始めた。
その間、俺は魔法のしゃもじの特性を調べてみた。
その結果、しゃもじを大きくしていくと必要魔力が面積に比例して増えていくことがわかった。
あまり大きくし過ぎるとあっという間に魔力切れになりそうだ。
とは言え、基本的にはあまり魔力を必要としない魔術なので、2人でもある程度のサイズは作れそうではある。
展開した後はあまり魔力を消費しないようだし。
魔力量の問題ではなさそうなので、魔力操作の練習をしていけば良さそうだ。
スフィアが魔力を集める補助をしてくれるので、初級魔法で練習をした方がいいかもしれない。
と短い時間で考察していたつもりだったのだが、2人から魔力のゆらぎを感じた。
俺の感知能力では普通は魔力のゆらぎなんて感じられないはずなのだが。
現に今までは他の人間が魔法を使ったりしても感じられたことはなかった。
にもかかわらず、2人から渦のような大きなうねりを感じる。
渦の中心は2つ。
2人の身中を中心に混ざり合い、打ち消しあうことなく大きなうねりに・・・、いや、やばくね?
止める?
いや、無理やり止めたら暴走しかねない。
見守るしかない。
結界みたいな魔法はまだ使えない。
どうする、どうする?
俺の心配とは裏腹に、渦は次第にその動きを止め、2人を包み込むように収束していった。
え、何コレ?
どういうこと?
「だいじょ・・・」
「ソーマ様!なんか感じられました!」
「なんかこうグルグル渦巻くような!」
「包まれているような!」
「イチと一体になったような!」
「ゼン兄と一体になったような!」
「魔力って動くんですね!」
うん、そうなのね。
外からこんなに感じ取れるほど動かせるなんて、初めて知ったよ。
こいつら天才か!
「お、おう。や、やればできるじゃないか。すごいすごい。」
「ホントですか!」
「やったねゼン兄!」
「ああ!」
「ははは・・・。」
もうなんかすぐ抜かされそう。
まあ心強い仲間ができたと思えばいいことだな。
これならすぐに竜殺しも取れそうだ。
それができたら連携方法を考えて、軽く実戦していこう。




