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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
50/200

49 冒険者登録

ギルドに戻ると朝一の喧騒が嘘のように落ち着いていた。

秘書・・・キサラさんのいる受付が空いていたのでそこに行く。

俺の中で秘書子さんで固定されていて名前に詰まってしまったので気をつけよう。


「キサラさん。おはようございます。」

「おはよう。ソーマくん。今日は詰まらなかったわね。」

「ハハハ。」


お見通しでした。


「今日は何の御用かしら?」

「えっと、2人の冒険者登録とパーティ登録をお願いします。」

「あ。昨日言ってた子ね。」


キサラさんが2人を見ると、2人はビクッと肩を跳ねさせた。

キサラさんのキリリとした秘書子眼で見られると慣れていないとちょっと緊張するんだ。


「そうです。ちょっと訳ありの2人なので、対応お願いしたいなと。」

「わかったわ。じゃあとりあえずこれ書ける?」


そう言って申し込み用紙を出してくれた。


「2人は文字の読み書きはできるか?」

「僕はぜんぜん。」

「わたしは少しだけ。」

「じゃあこれは俺の方で書いとくな。」


用紙に名前、年齢、種族と書いて、その他をどうするか。


「2人は山でどうやって食料の調達とかしてたんだ?」

「川で魚を釣ったり、山菜を取ったり、お父さんの残した罠で狩ったりしてました。」

「なるほどね。とりあえずここは空欄でもいいですか?」

「ええ。いいわよ。小さい子なんかは殆ど空欄だしね。寧ろ登録初回で魔法や剣なんて書く方が珍しいわ。」

「なるほど。俺は天才ということですね。わかります。」

「はいはい。」

「ぐぬぬ。」

「うふふ。じゃあこれで受付するわね。身分証はある?」

「はい。これです。」


2人の身分証を渡す。


「ああなるほどね。それで訳ありってことね。」

「はい。何卒ご内密に。」

「うふふ。大丈夫よ。広めたりなんかしないわ。ちょっと待っててね。」

「はーい。」


秘書子さんはいい人だ。


しばらく待つと秘・・・キサラさんがカードを持って戻ってきた。


「はいどうぞ。」

「「ありがとうございます。」」

「2人ともGランクだけど、戦闘ができるならFランクへの昇格試験もできるけどどうする?」

「いえ、まだ体も本調子ではないので、調子がよくなってからお願いします。」

「そう、分かったわ。あと、パーティ登録もしておいたわよ。」

「ありがとうございます。」

「でも、2人がGランクだからパーティとして受けられるのはGランクの依頼だけよ。実質ないんだけど。」

「分かってます。パーティとして依頼受けるのは調子がよくなってからになりますし。」

「そうね。あ、Gランクの依頼といえば、溝掃除の依頼が来てるんだけど、どう?」

「ああ、いや、まだやることがあるので、またにします。すいません。」

「いいのよ。気が向いたら声かけてね。中々消化されない依頼だから多分しばらく残ってるから。」

「はい。機会があれば。」




ギルドから外に出る。

まずは何からしようか。


「あの。」

「うん?どうした?」

「僕たち大丈夫です。」

「ん?何がだい?」

「調子は悪くないです。ごはんも食べたし、いっぱい寝たし!」

「だから、わたしたちも何か・・・。」

「ああ。分かってるよ。衰弱していたわけじゃないからすぐに調子が戻るのもね。ギルドで言ったのはまあ方便だよ。しばらくは依頼を受けないからね。」

「え。そうなんですか?」

「ああ。そうだよ。」

「じゃあ何するんですか?」

「まずは訓練だね。これから2人にも魔物とか野生の動物とかとも戦って貰う事になるから、戦い方を覚えてもらう。2人はレベルもまだ低いからレベル上げも必要だな。装備もないからそれも揃えないと。」


必要なことは沢山ある。

服だけで靴もまだだし、サイズのあった外套も必要だ。

食料ももう少し買い足しておきたい。

お金がかかるが先行投資だ。

今までギルドに提出していなかった討伐証明や素材類を放出したら、後でいくらでも帰ってくる。

1人では不自然な討伐も3人パーティなら不自然じゃない。

3人ともがまだ子供だったとしても、きっと不自然じゃないはずだ。

やっぱり不自然かな。

まあでもちょっとずつ放出すればいいや。

なので必要なものは揃えたい。


「僕たちが戦う・・・。」

「怖いかい?」

「いえ!お父さんみたいに強くなりたかったので。よろしくお願いします。」

「おう。と言っても戦い方に関しては俺も独学だから、大したことはできないだろうけどね。まあ、とりあえずは、」

「とりあえずは?」

「お昼にしよう!」

「「・・・」」

「お昼ごはん、いらない?」

「「食べます!!」」「にゃー」

「素直でよろしい。」



お昼は近くの食堂で済ませた。

食べ盛りの2人は良く食べた。

それ以上に食べたのはシロだった。

最近また大きくなったシロはもう頭の上に乗せていると首が痛くなる。

掌サイズだったのに、もう体長30cmくらいだ。

早いものだ。

それにしても自分の体積よりも大きい肉を食べられるってどういう原理なのか、気になるところである。


その後、俺たちは再び市場に戻り、中古の防具や武器を漁ったり、靴を買ったりと必要なものを揃えていった。




「これで終わりですか?」

「いや最後に寄る所があるんだ。町に戻ってからまだあいさつしてないから行っておこうと思う。」

「どこですか?」

「お供します!」

「ああ。練成師の師匠のところだよ。魔法薬とか魔法道具とかを作る工房だね。」

「ソーマ様は練成師でもあるんですか!すごいです。」

「ありがとう。あまり才能は無いみたいで、品質普通の物しか作れないんだけどね。魔法を覚えたら2人もやってみるといいよ。」

「「はい!!」」



そんなわけで俺たちはミンさんとムンさんの工房に向かった。


「こんにちはー。」

「おや。ソーマかい。戻ったんだね。今回は長かったね。おや、その子達はなんだい?」

「ただいまです。この子達はゼンとイチって言います。これから一緒にパーティを組もうと思って。こちらはミンさんだよ。」

「そうかい。ソーマもパーティを組む気になったんだね。よかったよかった。」

「「よ、よろしくお願いします。」」

「はい。よろしくね。この子達も練成するのかい?」

「やってみてもいいかとは思ってますけど。聞いてなかったけど2人は魔法は使える?ライティングとかトーチとか。」

「はい。簡単なのなら少しだけ。火をつけたり、ちょっとした明りをつけたりできるくらいですけど。」

「なら大丈夫だね。今日はもう遅くなるからまた今度やってみよう。」

「はい!」

「うんうん。賑やかになっていいね。子供は元気が一番だよ。明日やるかい?」

「あ、いえ、明日からまた少し出ようと思ってて、戻るのは2,3日後になると思います。」

「あら、そうかい。じゃあその後だね。」

「すみません。」

「いいんだよ。仕事が立て込んでるわけじゃないしね。ムンもまた実験繰り返してるだけだしね。」

「また何かやってるんですか?」

「今度は空を飛びたいみたいだよ。」

「へー。ロマンですね。」

「ただのバカヤロウだよ。」

「ははは。」


ムンさんにもしばらくまた町を出ることを伝えてみんなで宿に戻った。

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