表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
49/200

48 朝市

お腹がいっぱいになった2人に本日の予定を伝える。


「今日は冒険者ギルドに行って、2人の登録をしようと思う。その後は足りない物資の買出しをします。」

「はい。」


これから一緒に行動する上で、冒険者登録は必須だ。

身分を証明するものとしてしっかりしているからだ。

早速ギルドに向かう。




朝早く向かったギルドは仕事を探す冒険者と急に人が必要になった依頼人とでごった返していた。

ギルドが一番活気に溢れる時間だ。

うん、ミスった。

時間をずらして来るべきだった。

ゆっくり朝食を取っていたから、もう少しすれば落ち着いてくるとは思うが、まだ早すぎたようだ。

2人は活気に溢れたギルドに驚いているのか棒立ちだ。

いや、ゼンの方は目を輝かせていた。

やっぱり男の子だな。

イチの方はちょっと怖がっている感じだ。

それも仕方ないな。


「2人とも。一旦外に出るよ。ちょっと時間をずらしてからまた来よう。」

「あ、はい。ゼン兄、行くよ。」

「お、おう。」


2人を連れて先に市場の方に来た。

こちらはこちらで活気があった。

採れたての野菜や果物など食材は朝が一番品揃えがいい。

逆に雑貨などはまだ屋台すら出ていなかったりする。



「わぁー。すごい。」


イチが感嘆の声を上げた。


「こっちもすごい人だ。」

「ギルドとはまた違った活気だろ?市場は初めてか?」

「はい。前は山で暮らしてて、僕もイチも町に行ったことは無かったから。」

「じゃあ、こんな沢山の食材を見るのも初めてだな。」

「はい!見たことも無い野菜が沢山です!ゼン兄これなんだろ!?」


料理スキルのあるイチのテンションが上がっている。

元気が出たなら良かった。


「お。元気な嬢ちゃんだな。それはブルーラディッシュだよ。さっぱりしてて生でもイケるよ。」

「へー。」


まあそのままだけど、青いカブだ。

地球にはない色だ。

赤は知ってるけど、青って。

ちなみに青以外にも橙色やピンク、紫のカブもある。

カブだらけだ。


「お。ソーマじゃないか。溝掃除はいいのか?」

「オイ!最近はやってないよ。他が忙しくてね。おっちゃん、青と橙と白を5個ずつちょうだい。」

「あいよ。全部で3貨だよ。葉っぱ付きがいいかい?」

「ああ。それがいい。はい3貨。」

「まいどあり。すぐ包むよ。」

「あいがと。」



「よくいらっしゃるんですか?」

「朝一に来るのは初めてだけどね。たまに買い溜めに来たりするんだ。」

「色の違いって何です?」

「青はサラダ用、橙はちょっと辛味が強くて調味料的な使い方ができる、白は煮物に向いてるんだ。」

「そうなんですね。色々あるんだ。」

「気になるかい?」

「はい。料理好きなので。」

「ちょっとづつ色々見ていけばいいよ。」

「はい!」

「イチ!こっちに変わったのがあるぞ!」

「え?」

「ほらこっちだ!」


ゼンがいたのは果物を多く扱う屋台だ。

この辺りで取れる果物の種類はそう多くない。

リコとオレンとライチ、後はピーチだ。

そのまま桃だ。


「ほらこれだよ。」


ゼンが見ていたのは、トゲトゲの人の頭くらいのサイズのある木の実だった。

まるでドリアンだ。


「おっちゃん、これなんだい?」

「こいつはドリアンって果物だよ。匂いはきついが中々味のある果物だよ。一つどうだい?」


ドリアンだった。


「いらないです。」

「そう言わずに一つ買ってくれよ。安くしとくからさ。なんならこっちのライチも付けるよ。」

「オレンもつけて。」

「よし分かった!」


おっちゃんは気前良く袋に果物を詰めて言った。


「これでたったの10貨だ!」

「高けえよ!舐めてんのか!」

「何を言うか!このドリアンを取るのに俺がどれだけ苦労したか!」

「知るか!」

「ぬぬぬ。じゃあ8貨でどうだ!」

「ぬぬぬ、じゃねえよ。まだ高いよ。コレとコレもつけて3貨だ!」

「なにー!付け過ぎだろ。ぼったくりか!7貨だ!」

「どっちがだ!4貨だ!」

「もう1個つける!6貨だ!」

「5貨!」

「よし、売った!ギャハハ!」

「アハハハ!」


ドリアン3つ、ピーチ2つ、ライチ3つ、オレン5つで5貨。

うーん。損してる気がする。

まあ遊びみたいなものだ。

よしとしよう。


2人は突然始まった価格交渉に驚いていた。

山で暮らしていた2人にとってはこういうやり取りは新鮮だろう。

今みたいな激しいのは中々ないが、こういうのもその内に経験できたらいいだろう。


「驚いた?」


コクコク


ゼンもイチも驚いて首を縦に振るだけだ。


「これがコミュニケーションってやつだ。2人もちょっとずつ経験していこうな。」

「「はい!」」

「うんうん。元気でよろしい。じゃあ次行こう。」


俺は2人を連れて適当に市場を回った。

途中安売りしていた食材を見つけては、まとめ買いをしているとすぐに手荷物がいっぱいだ。

これ以上は持てないくらいになったところで、いい時間でもあったので、ギルドに戻ることにした。

ギルドに向かう道すがら、横道に入ってサッと荷物をストレージに入れて、身軽になる。

同じ方向に向かう人がいない隙を伺ったのでまあ大丈夫だろう。

この辺りではマジックバックを持っている人が少ないので、目立つからな。

もっと大きな迷宮のある町なら持っている人は結構いるらしいと、外から来た冒険者に聞いたことがある。

そこまではお預けだ。

というかバッグほしいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ