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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
40/200

39 絶体絶命?

絶体絶命

危険や困難からどうしても逃れることができないこと。追いつめられて進退きわまること。

出典【三省堂 大辞林】






シロの索敵範囲は今尚成長を続けていて、現在約250m先までを範囲としている。

森の間道の中、その索敵範囲にどうやら人を襲っている魔物がいるということが引っ掛かった。

まだ少し離れていて目視はできないが、人が襲われているなら冒険者としては駆けつけない訳にはいかない。

と、普段あまり発揮しない正義感を発揮して駆けつけた。

目視ができるところまで来るとそこには倒れた馬車があった。

その周囲には灰色の狼たちがわんさかいた。

なんでこいつらがこんなに!?

狼の魔物にもいくつか種類がいる。こいつらはグレイウルフ。そのまま灰色だからだ。

だが、そのグレイウルフに混じってもっと濃い色の狼がいた。

ジャックウルフだ。

ジャックウルフはグレイウルフの上位種なのだが、一つの群れに何匹もいるなんて通常では考えられない。

そもそもジャックウルフはロンリーウルフとも揶揄される孤高の狼だ。

つまりはボッチな狼さんだ。哀れ。

そんなボッチウルフが群れにいる。しかも複数だ。

どうかしてる!!

いや、今はゆっくり考えてい場合じゃない。

実際には、高速思考スキルの補助でこの間コンマ数秒しか経っていない。

俺は並行して詠唱していたラピッド エアショットで、狼たちを蹴散らしていく。

貫通力が高いので、まとまっていると片付けやすくていい。

狼種は速力や瞬発力が高い反面、攻撃力や耐久力は低い。

エアショットが掠めただけで大ダメージを与えることができる。

周囲の木々に遠慮してシロの炎の礫も範囲をかなり絞っているため殲滅力は低めだが、それでも生物に対して根源的な恐怖である炎は効果を発揮している。

狼達は逃げ惑い、いくらかはこちらに向かって来たが、混乱した状態では一直線に向かってくるだけで大した脅威ではなく、エアショットで危なげなく屠っていく。

俺たちは周囲の狼を蹴散らしつつ、倒れた馬車に近づいていく。


「大丈夫かー!!?生き残りはいるかー!?」


俺の呼びかけに答える声はない。


「にゃー!!!」


シロが陽炎の炎で周囲を囲み、壁を作り出す。

その場をシロに任せて俺は素早く馬車を確認する。

御者の男は咽をやられて即死。

護衛と思われる男が2人いたが、交戦空しく手足を噛まれた挙句に首を噛まれて死亡。

馬車の後ろ扉は吹き飛び、何かが飛び出したような後があった。

中には商人と思われる男が倒れていた。

首が有り得ない角度に曲がっているため、転倒した拍子に折れたのだろう。

狼に食われなくて良かったのか、不運だったのか。


「遅かったか・・・。」


人の死に直面してしまったが、感傷的になっている暇はない。

まだ狼達は諦めていないのか炎の周りをウロウロしていた。

とりあえず、ささっと片付けておこう。

死体と馬のいなくなった馬車をストレージに放り込む。

後はこの包囲を突破するだけ。


とはいえ、狼達は多く、素早いため走って逃げるのは困難だ。

さてどうしたものか。



「にゃ!!」

「ん?どうした?」



どうしたものかと考えていたら、シロが何かを見つけたような声を上げた。

シロが見ている視線の先を追うと、狼がいた。


いやまあ、全周囲狼だらけなんだけど。

視線の先にいたのはただの狼ではなかった。

アレは、・・・。




名前:ゴブリンライダー【変異】

レベル:22

種族:ゴブリン

職業:ライダー、テイマー

称号:羨望

スキル:羨望

説明:ゴブリンライダーの変異種。



名前:ジャックウルフ【変異】

レベル:22

種族:狼

職業:ライダー、テイマー

称号:羨望

スキル:羨望

説明:ジャックウルフの変異種。



ゴブリンが乗っている狼だった。

どちらにも羨望という称号とスキルが付いている。

どういう性能があるのかは不明だが、職業がどちらもライダー、テイマーになっているからそれ系の能力なのだと思う。

乗られる方の狼がライダーでテイマーって何か変だし。

村の岩塩坑道で出会ったファントムキャットと同じような、こいつらの目から何やら狂気を感じる。

負の称号に取り付かれている状態ではないかと思う。



ゴブリンライダーはギャギャと叫び声を上げ、崖の方を見ていた。

崖と言っても切り立った崖と言うわけではなく、どちらかと言うと急斜面と言ったものだ。

斜面と言っても木々が茂って障害物が多く、まともに立つことは難しい程の傾斜がある。

にも拘らず、ゴブリンライダーの声を受けて何匹かの狼たちが崖下へと飛び降りていった。


何がしたいんだ?何かあるのか?


そういえば、馬車の中身が飛び出したようになっていたな。

それが崖の下にあるのかもしれない。

とは言え、崖との間にはゴブリンライダーを含めてまだ多数の狼たちがいる。

下を覗き込むことはできないし、ここは無難に反対側に逃げるのが常道ではあるだろう。




と考えつつ、待機状態にしていたエアショットでゴブリンライダーの脳天をぶちまけた。


『「[羨望]の瘴珠」を取得』

『「[羨望]の瘴珠」を取得』


なんかポップが出た。

レアドロップが出たらしい。いらねー。

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