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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
20/200

19 ゴブリン

ゴブリン17匹の集団が馬車に向かって襲ってきた。


剣士のハンスさんと槍士のロダートさんが駆け出し、ゴブリンの群れに突っ込んでいった。

それを援護するようにコルンさんの矢が飛び、2人を追い越して、先頭にいた1匹の頭に突き刺さった。

お見事!

向かってくる動く的に当てるなんて俺には真似の出来ない芸当だ。

ゴブリンは腕を振り上げて爪で襲い掛かってきた。

2人が突撃して群れは大混乱だった。

ハンスさんが切り崩し、ロダートさんがフォローしつつ止めをさすという流れで次々と倒していった。

もちろんコルンさんの矢も次々と飛んでいた。

3人ともレベル20のDランク冒険者だ。

10匹以上いてもゴブリン程度では相手にならなかったらしい。

俺の出番はなさそうかな。

と思っていたら、こちらに向かってきていたゴブリンの群れはあっという間に討伐された。


「にゃあ。」

ん?



「よし、片付いたな。」

「お疲れさまー。」

「おう!」

「・・・。」

「あら?ソーマくんどうしたの?はじめての戦闘にびっくりした?」

「え?ああ、いえ大丈夫です。・・・やっぱりいるよなぁ。」

「にゃあ。」


俺は素早く詠唱をして魔法を群れとは反対側に放った。


「エアーボム!」


エアーボムも俺のオリジナル魔法だ。

ウインドボールの上位版として作った。

圧縮した空気の塊を時間差で開放して風圧で攻撃する魔法だ。

あまり魔力を込めなかったら攻撃力も小さいが敵を炙り出すのには使えると考えた。

無駄に魔力を使う魔法であるため、あまり実戦向きではなかったが使いようだ。


「「ギャ!!」」


悲鳴を上げてゴブリンが2匹飛び出してきた。

こいつらはレベル11で群れのゴブリンよりもレベルが高い。

群れを囮に使っての奇襲を考えたのだろう。


「エアショット!」


俺は続けてエアショットを放ち、飛び出してきたゴブリンに風穴を開けた。

風だけにー。


なんのこっちゃ。





ゴブリンを退けた行商隊は再度次の村へと出発した。

行商隊は3台の荷馬車で移動している。

先ほどは先頭の1台に護衛の3人はまとまって乗っていたが、襲撃を受けたため警戒を強め、今は後ろの馬車にコルンさんが移っている。



「後ろはコルンさんだけでいいんですか?」

「ええ。いつもの索敵の分担で、前方をハンス君、後方をコルンさんにお願いしているのですよ。私は役立たずですね。」

「その代わりロダートにはパーティの細かい事を全部やってもらってるけどな。俺とコルンじゃテキトー過ぎてすぐ赤字になっちまう。」

「そう言う事もありましたね。あの時は面白かったです。二人が日に日にやつれてていましたね。」

「お前がケガで離脱するのが悪いんだ。」

「準備だけでも手伝うと言った私に、「大丈夫だ。任せとけ。」と二人が言うからですよ。」

「ぐぬぬ。・・・・・・と、ところで、ソーマは魔法使いだったんだな。」


露骨な話題の転換であった。


「ああ、はい。と言っても攻撃に使えるのはさっきの二つだけですけどね。他は普通の生活魔法とかです。」

「でもいいなー。俺も魔法には興味があったんだが、詠唱を覚えられなくてよー。」

「ハンス君は生活魔法すら使えませんものね。」

「うるせー。発音が難しすぎるんだよ。詠唱の意味もよくわかんねーし。なげーし。」

「生活魔法なら短いのでそれほど難しくはありませんけどね。私も少しは使えますし。火を点けるのに便利ですよね。」

「そうですよね。火を点けたり、灯りをともしたりするのには重宝しますよね。あと、ドライの魔法も便利ですよ。」

「ドライですか。乾燥は便利そうですね。確か町では使い手が居たはずです。ドライは生活魔法の中でも難易度が高めなので私は覚えていませんね。」

「へー、そうなのか。それが使えるってすごいんじゃないか?」

「前に居た所で覚えざるを得なかったと言うかなんというか・・・。」

「・・・ふーん。まあ、覚えておいて損はないだろうな。」


俺の暗い雰囲気を察してくれたのか、深追いはされなかった。

テキトーなようで、しっかり理解のある大人である。

いい人だ。


「カリオ村にずっといたんじゃないのか?」

「ええ。前は隣の隣の国に居たんですけど、移動中にでかい魔物に攫われて、というか引っ掛かって空の旅をする羽目になったんです。で、落っこちたのがカリオ村の近くでゴートさんに拾ってもらったんです。」

「・・・そ、それは波乱万丈だな。じゃあ、帰るために旅立ったって所か。」

「ああいえ、あんまり戻るつもりはないんですよね。遠いですし、待っている人も居ませんし。元々俺孤児なんです。」

「そうか。じゃあ、とりあえずは一人で生計を立てられる様に町に行くってことか。」

「はい。そうなります。」

「では、ソーマ君は冒険者の後輩になりますかね。」

「はい。よろしくお願いします。先輩!」

「おお。なんかいい響きだな。なんでも相談しろよ後輩!」


俺が笑い混じりで言ったら、ハンスさんも笑いながら返してくれた。

町でずっと冒険者をやっていた二人なら色々知っていそうなので、お世話になろう。

俺の変ないいわけを流してくれたりして気のいい人たちだ。


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