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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
ニューゲーム開始
15/200

14 鉱夫

厳しい冬を越えてだんだんと暖かくなってきた頃ゴートさんに声をかけられた。


「よし、いくぞ!」


冬の間はあまり遠出は出来ないため、家で魔法の開発をしたり、訓練をしたり、薬を作ったりして過ごしていた。


「へ?どこへですか?」

「雪も大分解けてきただろ。」

「まあそうですね。大分暖かくなってきましたね。」

「そうだろそうだろ。なら行くぞ。」

「いや、意味が分からないです。」

「ん?秋ごろまでは手伝ってただろ?」

「手伝いはしてましたけど。」

「また手伝いだ。」

「だから何のですか?」

「岩塩に決まってるだろ!」


決まっているらしい。


「それならそうと言ってくださいよ。手伝いって狩りとか畑とか薪割りとか他にも色々やってたのでわからないですよ。」

「お。確かにそうか。」

「そうですよ。」

「村じゃこの時期は岩塩採掘を始める時期だから伝わると思っとったわ。すまんすまん。ガハハ」




冬の直前にやってきた行商に倉庫の岩塩を引き渡すと冬の間は採掘が出来ないため空っぽのままだ。

冬の間に消費した塩を確保するため、春になったら再び行商がやってくる。

つまり、晩冬から行商がやってくるまでの短い期間で倉庫いっぱいに岩塩を採掘する必要があるからできるだけ早い時期からはじめるらしい。

というわけで、俺達は採掘場に向かった。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




岩塩の採掘場は村の外れにある山に入り口がある。

洞窟の奥に塩の鉱床がある形だ。

それ程奥深い訳ではないが子供や動物がいたずらしないように入り口には柵が設けてある。

入り口の周辺は少し開けているくらいで何も無く、すぐ近くに小川が流れていて汗を流したり、手を洗ったり出来るようになっている。

森が近くにあるため、たまに小動物が迷い込んで来たりするが、人を見るとすぐ逃げていくような感じだ。

一応、村の外にあるため、使ったことはないそうだが、ゴートさんも毎回武器を持っていくそうだ。

今回は俺も持っていく。

俺にも武器が手に入ったからな。




他の村人たちと連れ立って、洞窟の方へ向かったら、入り口で先に行った者達が騒いでいた。


「何かあったんですかね?」

「そうだな。動物でもいたのかもしれねぇな。」


そう言いつつ俺たちも入り口に近づいて行った。


「どうしたんだ?何かあったのか?」

「お、ゴート!やっと来たー!それがよー、見てくれよー、入り口の柵が破られててよー。」

「そうなんだよ!柵がバラバラになっててさ!きっとでかい魔物がいるんだよ!」


見ると入り口にあったはずの木の柵がバラバラに吹き飛んでいた。

簡単な柵だったけど、小さな動物がバラバラに出来るほどやわなものではなかったはずだ。


「こりゃ派手にやられてんな。」

「これは絶対でかい魔物だよ!」

「この辺にでかい魔物なんているわけないだろう。」

「新種だ!」

「変種か?」

「珍種?」

「何でもいいから。ゴートさん、様子を見てきてくれないか?流石に俺達だけじゃ何があるか分からなくてここで待ってたんだよ。」

「おう!任せとけ。」


そう言ってゴートさんは荷物を降ろし、武器を準備し始めた。

ちなみに、まともに返していた人は村長の息子さんだ。

俺もゴートさんにならって準備を始める。

武器も手に入れてるし、ステータスも上がってるから何とかなると思う。


「?ソーマも戦うのか?大丈夫か?」

「このあたりに出るやつなら大丈夫ですよ。危なそうなやつならゴートさんの援護に徹しますしね。」

「おう。任せとけ!ソーマもなんだかんだで結構やるようになってるから大丈夫だろ。」

「まあ、ゴートさんが言うならいいですけど。」


村のおっちゃんたちも武器、というかツルハシやスコップを持って少し後に着いて来るようだ。




洞窟の中は暗い。

俺はライトボールを唱えた。

ライトボールは、光の玉を近くに浮かべる初級魔法のライティングの魔法を改造してある程度動かせるようにした魔法だ。

ライティングだと近すぎて戦闘の邪魔になるから改造したのだが、動きはそんなに速くないが離れた場所を照らしたりできるから便利だ。

後のおっちゃんたちはライティングを使ったり、たいまつを持ったりとまちまちだ。

魔力が少ないとすぐに疲れるから、移動中だけ使っていると聞いた。



坑道に入ってすぐに動物の唸り声が聞こえてきた。


「ウグゥゥ・・・ーーー」




「明らかに何かいますね。」

「そうだな。だが、聞いたこと無い声だ。」

「ゴートさんでも聞いたこと無い声?」

「ああ。周辺にいるような動物の声じゃねえな。慎重に進むぞ。」


いつも陽気なゴートさんが真剣な表情で声を潜めて言った。

坑道はそれほど深くは無い。

俺たちはすぐに声の発生源のいる場所に辿り着いた。


「そこの奥だな。いくぞ。」


ゴートさんに続いて向かった場所にいたのは、








2mを超える炎を纏った猫だった。


「ウグゥゥガアアアァァァーーー」

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