表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
123/200

121 後の祭り

程無くして休息を終え、再び移動を開始した。

その後は大きなイベントも無く、避難所が見えてきた。

遠くで狩りをしている暇を持て余したヤンチャが1人と1匹いたが見なかったことにする。

ヤダ見たくない。

獲物が山になってる。

まったく。恥ずかしい。


避難所の様子は遠くからでは中は窺えないが、煙は上り続けていた。

見張りも居たようでこちらに気付いたみたいだ。


「こ、これは!?」


カレリーナ様と他の人達が声を揃えて言った。

この石壁はやりすぎたかもしれない。

これぞ後の祭り。ワッショーイ!



カレリーナ様を見つけた見張りが知らせたみたいで、避難所の中はお祭り騒ぎだった。

そこかしこでカレリーナ様や隊長達の無事を喜ぶ声が上がっていた。


「ソーマくん!!」

「あ、兵隊さん。」


名前も聞いていなかったが、ここにいた兵隊さんが話しかけてくれた。


「ソーマくん!!カレリーナお嬢様を見つけてくれてありがとう!!」

「おお!君か!!ありがとう!」


近くにいた人達から次々にお礼を言われる。ゼンやイチの方にも言っているようで、ふたりともあたふたしていた。

次から次にお礼を言われる。

というか人が明らかに増えていた。

この仮の避難所もカレリーナ様達も合流した事で当初の予定を超える人数を収容する事になってしまった。

大して広くも無いのに126人もいる。

数頭だが従魔と思われる動物もいる。

狭い。

まあ、長居する場所でも無いし問題はないか。



「ソーマ様。重ね重ねありがとうございます。この様な場所を提供してくださるなんて。」

「いやいや。ただ石壁で囲っただけですよ。家みたいのまで建っているのには驚きました。」


ここにはテントも何も無かった筈なのに屋根付きの家が建っていた。

1日程度しか経っていないのにどうやったのか、ツギハギ小屋が出来ていた。

おったまげだ。

少々手狭だが一晩過ごすだけなら何とかなるだろう。

そのツギハギ小屋はカレリーナ様とそのお付が使う事になった。

カレリーナ様は俺にと言ったが、流石に女性を差し置いて使うわけにはいかないし、そもそも俺達にはテントがある。

時間ができたら、周辺の調査もしておきたいので、外の方が都合がよかった。

そんな事を適当に言って固辞に成功した。

毛布も上げた。

カレリーナ様が倒れたら大変だから当然の処置だ。うんうん。

ツギハギ小屋だけで無く、周辺から食料も集めていたようで、補給無しでも何とかなりそうな程だった。


時刻は既に夕暮れ。

避難所のみんなは疲れ切っているようだったが、カレリーナ様やヴァルチャー隊長が合流した事によって安心感が得られ、心的なストレスは多少改善されていた。

救援部隊が来れば、撤退も大丈夫だろう。

あと少しだ。


「あ。」

「どうしたんですか?ソーマ様。」

「後続の救援部隊の冒険者達との連絡手段がないなと思って。」

「煙を上げていてら気付くのでは?」

「気付くかもしれないけど、気付かないかもしれない。不確かじゃないかな?」

「じゃあ看板立てたらどうですか?」

「うーん。そうするかなー。」

「お姫さまに相談したらどう?」

「ゼン。お姫さまって?」

「お姫さまはお姫さまでしょ?」

「カレリーナ様のことでしょ?」

「そうそう。お姫さまでしょ?」

「確かにな。じゃあ、ちょっと相談してくるかな。」

「はい。」




ということで相談にやってきたのだが。


「だから水の確保が最優先事項ですって!」

「それは分かるが保管しておく為の場所も必要だろ!」

「そもそも休む場所がない!」

「食料も十分とは言えないだろう。」

「まずは町との連絡が・・・」

「道の整備を・・・」

「ここを陣地と・・・」

「戦力の・・・」

「資金的に・・・」

「余力は・・・」

「だから・・・」

「ですから・・・」

「でも・・・」

「そうだ・・・」

「それなら・・・」

「だったら・・・」

「ですが・・・」



激論だった。

その中心にはカレリーナ様だ。

聖徳太子もかくやといった様子で四方八方と議論を交わしていた。

すごいな。かっこいい。


「悪いね。」

「あ、ルークさん。」

「ああなると止まらないんだよ。ちょっと待っててもらえる?」

「ああ、いえ。大したことではないので。救援部隊がたぶん陣地に向かってくると思うのでここが分かるように看板でも立てて来ようかと思いまして、その相談に来たんです。」

「ああ。確かにな。分からないもんな、ここ。」

「はい。なので少し出てきますね。」

「分かった。伝えておくよ。気を付けてな、って君には不要な心配かな。」

「いえ。ありがとうございます。」



◇◆◇



俺がさらっと看板立てに行っている頃。


「え!?ソーマ様がいらしてたの!?なんで教えてくれなかったのよ!」


何てこと。折角のソーマ様とお話出来る機会をみすみす逃してしまうなんて。

ルークは減俸ね。


「はあ。仕方ないわね。で、わざわざ案内板を立てに行って下さったのね。」

「そう言ってましたよ。気の利くやつですよね。」

「そうね。あなたと違ってね。」

「ちょ、お嬢っ・・・。」

「ふん!知りません!」

「やれやれ。」

「しかし大丈夫なのか?もう暗くなる。夜は魔物たちの時間だぞ。危険すぎる。」

「ソーマ殿達の強さなら問題無いだろう。当たり馬鹿も一緒なのだろう?」

「そうみたいですよ。イチちゃんは炊事部隊で活躍中みたいですけど。」

「彼女の飯も旨い。」

「ですよねー。」

「はあ。うちのアホどもは。」

「ナルはもう少し女を磨いた方がいいと思うぞ。」

「なんだとー!?」

「イテッ!殴るなよな!」

「お前が殴られるようなことを言うからだ!」



ふふふ。みんなに少し元気が戻っている気がする。

いいえ。確実に戻ってる。

全部、ソーマ様とお仲間のお陰ね。

感謝してもしきれないわ。

どうしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ