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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
119/200

117 救助

さらっとオーク達は片付けてしまった。


「ソーマ様。終わりましたけど、次はどうしますか?」

「あ、ああ。」


どうしよう。


「あ、そうだ。救援に来たんだった。」


俺たちが戦っている間に兵士達は互いの救助をしつつ集まっているようだった。

遠目で見てもカレリーナ様やその周りにいる人たちの傷は浅そうだったので、傷の深そうな人から治療していこう。


「ゼン、イチ。手分けしてけが人の手当をするよ。ポーションがいっぱいあるから、この際に使っちゃおう。」

「「はい!」」


二人に瓶詰めしたポーションをゴソッと渡す。


「これどれ使ってもいいんですか?」

「いいよ。高品質な下級と中級ポーションだ。サーシャはすごいね。じゃんじゃん使っていいよ。いのち大事にだよ。」

「はい!」


ゼンとイチが治療に向かったのを見届けてから、シロとクロに周囲の警戒を任せる。

これだけ派手にやっても追加が来ない事を考えると大丈夫な気はするが、念の為だ。


指示を出し終えたら俺も治療加わる。

俺が近づいた時には殆ど終わっていたけど。


「ソーマ様!こっち!」


イチの焦った声が聞こえ、急いで向かう。


「この人、薬が効かなくて!」

「お嬢ちゃん。ありがとう。こいつはもうダメだよ。傷が深すぎて、ポーションじゃあどうしようもないんだ。」


と言う事らしい。

事態を一瞬で把握し、即座に唱える。


「●●● ○○○ □□□ ・・・ アクアヒーリング!」


一瞬で詠唱を終え、魔法を発動させる。

魔力を込められるだけ込める。送る。届ける。

太い光の帯が俺と兵士を包み込み、傷を癒やしていく。

魔力の放出を止めると光も収まり、辺りに静寂が包む。



「どう、ですか?」

「出来ることはやったかな。脈も何とか持ち直してるし、呼吸も安定してる。後はこの人次第。生きたいっていう気力があるかどうか、かな。」

「そう、ですか。はぅ///」


気落ちしたイチの頭を軽く撫でながら、辺りの様子を伺うとゼンの方もポーション撒きが終わったようだ。

この辺りには死人は居ない様なのでギリギリだが間に合ったようだ。

来る途中で出会った者たちには申し訳無いが仕方ない。


仕方ない、って言葉は嫌いじゃない。

どうしょうもない時のスケープゴートでしか無いが心を護るにはいい言葉だ。

色々と思い出すこともある。

今は関係ないけどね。


そういえば、こちらに向かっている途中ではブラッドタイガーの痕跡は見られなかった。

上手く撒くことが出来たのならいいが、どうなんだろうな。

後でシロに確認しよう。


「すまない。」

「はい?」


考え事をしていたら、声をかけられた。


「まずは礼を言わせてくれ。助かった。感謝する。」

「ああ、はい。どういたしまして。」


ちょっとお堅い人みたいだ。


「部下達を救ってくれたこと、貴重なポーションを使ってくれた事、感謝してもしきれない。」


ちょっと?


「我々も諦めていた者のすらも救って頂いて、この恩にどう報いたらいいか分からんほどだ。」

「えっと。」

「本当に感謝の意に堪えない。本当に・・・」

「隊長ストップ!」

「ぬ、なんだ。私は今、」

「わかってますって。感謝を伝えたいのは分かりましたから、加減を覚えてくださいよ。」

「ぬぬ。」

「えーっと。」

「ごめんね。加減を知らなくて。」

「いえ。」

「まずは自己紹介だ。俺はルーク。ルーク・ストライドだ。カレリーナお嬢様の親衛隊をやっている。こちらは遠征の指揮もとっていたヴァルチャー・リオレント隊長だ。よろしく頼むよ。」

「はい。私は冒険者ギルドから派遣されて来ましたソーマと言います。こっちは仲間のゼンとイチです。あそこの2匹はうちの従魔なのでご心配なく。」

「ギルドに派遣されたのか。何とか生き残りが辿り着けたんだな。それが聞けただけでも良かったよ。」

「詳しくは聞いてないですが、町まで辿り着いた者から急報が入って、すぐにギルドの方にトリアスト様からの救助依頼が入ったみたいですね。」

「お父様から?」

「そのようですね。」


兵士、というか騎士達と話をしているとカレリーナ様も加わってきた。

ちょっと緊張する。

何とか緊張を悟られないように話を続ける。


「いつも決断の遅いお父様にしては早い対応ですわね。もしかして泣きついたのかしら?」

「さ、さあ?詳しいことはなんとも。」


鋭いなぁ。


「そんなことより。改めて、助けてくれて本当にありがとう。兵士達のことも含めて、あなた達が来なかったら、私達は全滅していたかもしれない。本当にありがとう。」

「いえいえ。依頼もありましたし、目の前で死なれるのはやるせないので。個人的な自己満足ですよ。」

「それでも、その自己満足に救われたのは事実です。だから、ありがとう。」

「はい。」


俺は曖昧に笑って誤魔化すしかなかった。

自己満足というのも間違いではないが、ポーションの効果確認というのも考えていたからだ。

もちろん検証は概ね想定通り。

ポーションが手遅れの場合があることも分かったし、魔法の有用性も確認出来た。

アクアヒーリングは威力優先のコードなので他に使える人間がいるかは疑問が残るけど。

スフィアがあれば試せるんだけどなぁ。

と、心の中でちょっと誤魔化してみたり。

何の意味も無いけど。


その後、倒したオーク達は俺がストレージリングに回収した。

既に3人と2匹で90匹以上のオークを一方的に倒し切るという事をやらかしてしまっているので今更かと思ったが、一応、特殊なマジックバックってことにしている。

背負っている袋を指して説明したので、勘違いはしてくれたのではないかと思う。

数が多いから、いちいち回収に走り回るのが面倒だったからぶっちゃけてしまった。

もちろんエナジーウィップを振り回して回収した。早い早い。




それぞれの反応で驚かれたが、華麗にスルーしてさっさと移動する。

移動先は塩湖横の仮設避難所だ。

とは言え、移動は徒歩なので時間がかかる。

しかも時刻は既に夕刻に近く、今日中には辿り着けそうにはない。

カレリーナ様たちは今日まで寝ずに移動していたらしく、かなり疲弊していたため、少しだけ移動した場所で野営することにした。

もちろん夜の番はこっちでやるつもりだ。


「そこまで甘えてばかりにはいかない!」


とヴァルチャー隊長は言うが、避難所まではそこそこに距離があるのでしっかり歩いてもらわないと明日中に辿り着けないと言って休んでもらった。

ちなみに晩御飯はイチ特製オーク肉のシチューだった。

激ウマだった。

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