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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
116/200

114 陣地発見

「ソーマ様!あれ!」

「ああ。陣地だ!」


俺達は陣地の跡地に到着した。


「うっ。ヒドイ。」


ヒドイ有り様だった。

簡易的に木で作られた柵は所々が吹き飛ばされ、テントもほとんど倒れ、引き裂かれていた。

壊れた荷台、放置された荷物。


そして、いくつもの屍。

身体に無数の傷があるものや、バラバラにされたり、一部が無いものまで無数にあって見るに堪えないものだった。


「シロ。生き残りがいるか、分かるか?」

「・・・にゃー。」

「そうか。」


俺の検索にも引っ掛からなかった。

陣地内には生き残りはいなさそうだ。

幸いな事にカレリーナ様の名前も無かったので、陣地からは離れることができたようだ。


「二人は大丈夫か?」

「うん。」

「はい。」


二人もキツそうだが、なんとか動けそうだ。

前世の記憶のある俺の方が厳しいかもしれない。

前世の記憶がなければ、これくらい大したことないんだけどな。


みんなでカレリーナ様の痕跡を探す。

陣地内は至る所で破壊の跡が見られた。

その跡には大きな爪の傷が無数に入り、大きな足跡も残されていた。


「兄貴、これ。」

「ああ、でかいな。クロぐらいのサイズがありそうだ。」

「ソーマ様。あのテント少し立派そうですよ。」


イチが見つけたテントはかなり立派な物で中が3つに区切れる大きなものだった10人はつけそうな大きな机もあった。

このテントの周囲は奇跡的に無傷だったようだが、人のいないテントって言うのも無常だな。


「襲われてから、どれくらい経ったんでしょうね。」

「確かにね。そういえば聞いてなかったな。」

「わたしたちはクロちゃんの全速力で来たからすぐ着きましたけど、普通ならどれくらいですかね?」

「知らせが入ってからすぐに依頼が出されたとしても、ここから町までは馬を飛ばしても早くて一日はかかる。普通の行軍なら三日はかかる距離だよ。」

「だとすると少なくとも二日以上は経ってる、ってことですね。」

「そうなるね。下手したらもっとだね。」

「火が消えてるからどれくらい経ってるのかなって思って。」


イチの言う通り、焚き火も篝火も荷物に付いた火も消えていた。

燃え尽きた、という感じで、放置されて時間が経っているということだ。

ここに戻って来ている者はいないか、もう離れたか。

どちらにしてもここには居ない、という事だけど。


「どうしますか?行方の手掛かりになりそうなものは・・・。」

「このテント、貰っとく?」

「ソーマ様!」

「分かってるよ。冗談だよ。でもこのまま放置というのもなぁ。」

「また石の壁?」

「うーん。やっぱり放置かなぁ。持って行っても何か面倒になりそうだし。他を探そう。」

「はい。」

「にゃー!」

「シロ。何か見つけたのか?」

「にゃー。」

「何でしょう?」

「行ってみよう。」


シロに付いて行った先には他よりも幾分、質のいいテントが設置されていた。

明らかに一般の兵士が使う物よりもしっかりした造りをしており、ひと目で高級品だと判るくらいには違うものだった。

倒れていたけど。

つまりはもう使い物にはならないという事だが、隊長クラスの兵士かもしかしたらカレリーナ様の使っていたテントかもしれない。

手掛かりがあればいいけど。


「イチとゼンはテントを見てくれ。俺は周囲を調べてみるよ。」

「はい!」

「にゃー。」

「ブルルー。」


手分けして物色する。

俺が調べるのは主には足跡と武器の残骸だ。

ここに居たのが誰なのか、逃げた方向はどっちなのか、カレリーナ様はどこなのか。



調べてみたが、何も分からん!

素人にはさっぱりだ。

やってみたかっただけだ。

今の俺なら出来るんじゃないかと思ってしまっただけだ。

恥ずかしい。


兵士と思しき死体はあるが、特に上等な鎧とかを付けた人はいなかった。

足跡は四方八方に入り乱れていて、どっちに逃げたのかはさっぱり分からなかった。

お手上げだ。


「ソーマ様!」

「ん?何かあったか?」

「女性物の服が有りました。結構良い生地の服ばかりなのでもしかしたら当たりかもしれません。」

「シロわかる?」

「にゃー。」


シロが仕方無いなぁとでも言いたげにイチの持っている服に近づいて行く。

俺の鑑定眼では「質のいい服」としか出ない。

所有者表示とかがないのだ。

拾った人のモノとかそういう世界なのだろうか。


「にゃー。」

「お、当たりか!」

「じゃあここを使ってたのはカレリーナ様ってことですね。」

「そうだね。」

「テントがこれなので、ここで襲われたんでしょうか?」

「どうかな?」

「テントに血は付いて無かったよ。逃げたんじゃないかな?」

「そうなるとどっちに逃げたかってことだな。どうしたもんかな。困った時のシロえもん!助けてー!」

「にゃー。」

「分かってるよ。飯はもちろんステーキです!」

「にゃ。」

「よし、シロに付いて行こう!」

「はい!」

「クロ、よろしく!」

「ブルルルルー!」


シロの先導でまたしても森をひた走る。

向かった先にはまたいくつもの屍が点在していた。

どれだけの被害が出たのか想像もしたくない。

屍を乗り越えて、それも見なくなってから、クロの全速力で四半刻ほど進んだ。


「にゃー!」

「ソーマ様!」

「ああ!戦闘準備!突っ込むぞ!」

「はい!!」

「ブルルルルーー!!」


剣戟、爆発、そして血の匂いがした。

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