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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
114/200

112 全速力の弊害

「あ、ソーマ様!」

「みんなお待たせ。」

「どうやったん?」

「依頼内容はカレリーナ様の救助だったよ。ちょっと急いだ方が良さそうだから少数の速度重視で行こうと思う。」

「カレリーナ様ってマジかいな。急いだ方がええやろな。」

「うん。だから、サーシャは留守番だ。ドーラもサーシャに付いててあげてくれ。」

「らじゃ。」

「わたしはどうしましょうか?」

「イチは一緒だ。」

「あ、兄貴。」

「大丈夫だよ。兄妹だろ?」

「う、うん!そうだね!」

「ん?なんの事ですか?」

「詳しい事は向かいながら話すよ。」

「ドーラ。悪いけどこっちは任せたよ。」

「はーい。いってらー。」



俺達はクロに乗って、カレリーナ様の救助に向かった。

メンバーは、俺、ゼン、イチ、シロ、クロだ。

3人を乗せたクロより、単独のシロの方がまだ速い。

町を出てから目的地方向の転移ポイントにワープして少しだけショートカットする。

そこからは普通に走る。

走るのはクロとシロだけど、スピードを強化した2匹の速度は凄まじい。

今時速何キロだろ?

メーターが欲しいな。


スピードに乗った2匹は土煙を上げながら突き進む。


「うわー!すげー!はやーい!!」

「ソーマ様。きゃ///」


歓声を上げるゼン。

俺にしがみついているイチ。

どちらも余裕がありそうだ。

かく言う俺もクロの全力疾走に耐えられるように血の滲むような訓練をした。

というか何度も吐いた。

揺れるし速いし怖いしまじやばい。

もう遠い昔の話だ。



嘘だ。

実際は状態異常回復を常にかけ続けているだけだ。作りました。

だって無理なんだもの。



魔法道具化したものを身に着けている。

発動の度に自前の魔力を消費してしまう為、魔力量に余裕のある俺くらいしかまだ使えない代物だ。

自動発動のため、今のような状態だと発動し続けることになって魔力が滝のようにドバーッと流れ出る。

欠陥もあるが四の五の言っていられない。

だって無理なんだもの。



魔力は消費しているが、俺にとっては回復量とでトントンだ。

ということで俺にはある程度の余裕がある状態なわけだ。

余裕のある俺は移動しながらスキルを使っている。

森で取得した【検索】スキルだ。

暇が出来た時にはなるべく使い続けている。

このスキルも【鑑定】と同様にレベルがあって、レベルアップで検索範囲が広くなるようだ。

最初は周囲1mにも満たないくらいだったが、今では100mくらいになっている。

これがかなり使える。

最近このスキルで見つけたものと言えば、何を隠そうサーシャである。

薬師を探して町を練り歩き、見つけ出したのだ。

あそこまで危険な状態だとは思ってなかったので、もっと早くに迎えに行ってればと後悔もしたけど。


とは言え今更後悔しても巻き戻しは出来ないから、サーシャには結構甘々に手を焼いてるつもりだ。

つもりなだけで出来ているかは心配ではあるのだが、どうなんだろうな。



「にゃー!」

「ん?どうした?」

「にゃ!」

「人?」

「どうかしたんですか?」

「シロがこの先に人を見つけたみたいだ。陣地の方向とは違うけど逃げてきた人かもしれないね。」

「助けなきゃ?」

「どうかな?とりあえず行ってみよう。シロ!案内してー!」

「にゃー!」



シロの先導に従ってルートを少し逸れた。

少し先に小さな岩山が見え、それに向かって進んで行った。

見えて来たのは綺麗な湖だ。

湖の近くに岩山はあったみたいだ。


「おー!水だー!」

「ブルルルー!」

「キレイなところですね。」

「ああ。シロ、人はどこだ?」

「にゃ。」


シロの示す方にゆっくり進むと十数人の兵装の人達が休んでいた。


「!だ、誰だ!!」

「怪しいものではありませんよ。冒険者です。ギルドから遠征に出たカレリーナ様の救助依頼を受けて捜索に来ました。俺達は先行して捜索に来ましたけど、後からも捜索隊が来る予定ですよ。」

「!そ!そうか!よかった!」

「いや!良くないだろ!お嬢様が危ないかもしれないんだ!」

「そうだった!!」

「カレリーナ様の行方をご存知なんですか?」

「いやそれが我々にも分からないんだ。陣地を襲われて散り散りになってしまって。お嬢様は隊長達と一緒のはずだから大丈夫だとは思うが、俺達も命からがら逃げられたって感じだし。」

「そうですか。やはり陣地の方を確認する必要があるかな?」

「そうですね。ソーマ様。」

「あのすまない。こんなことを頼むのは心苦しいんだが、食料と水を分けてもらえないだろうか。特に水が欲しいんだが。」

「水ですか?湖の水は?」

「うひゃー!しょっぱいーー!」

「もう!ゼン兄!何やってるのー!」

「イチー!この水しょっぱいぞー!」

「分かったから戻って来てよー!」

「なるほど塩湖か。」

「そうなんだ。そこまで塩分が濃くは無いんだが、飲める程じゃなくてね。」

「分かりました。ちょっと待って下さい。用意するので。ここには何人居ますか?」

「すまん。今16人だ。」

「了解です。」

「シロ。この近くに食料になりそうな物ある?」

「にゃー。にゃー。にゃー。」

「そうか。ならここでいいか。目印もあるし。イチー。適当に竈の準備だけしといてー。」

「はーい!ゼン兄も手伝って。」

「はーい!」


さて、いっちょやりますか。

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