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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
113/200

111 緊急依頼の内容

先程、遠征に出向いた部隊の一部が帰って来て、部隊が散り散りになる程の壊滅的な損害を受けたと報告が上がった。

遠征に向かった兵士はこの街の精鋭だ。

その精鋭が敗れたとあっては町に残った兵士では戦力的に厳しいと言うことで冒険者ギルドに救援依頼が来た。

ランクC以上に対しての強制依頼だった。

依頼書には詳しいポイントが書かれておらず、勝手に向かうこともできない。

ていうかカレリーナ様は無事なのか!?


「兄ちゃんどうするん?」

「どうするったって、俺達じゃあ依頼は受けられない。」

「そうやけどさぁ。」



「受付のお姉さん!これ受けたいんだけど!」

「え?あらゼン君。受けてくれるの?助かるわ!」


あれー?なぜかすんなり受けられている。

なんで?


「ゼン君、今日は一人?」

「んーん。みんないるよ。ほら。」

「あ!ソーマ君!」

「どうも。すみません。騒がせて。」

「いいのよ。そんなことよりソーマ君も受けてくれるの?」

「え?でもランク足りないですよね。」

「え?」


その『え?』はなんで?


「あ!忘れてたわ!」

「そうでしょうとも。」

「貴方達2人はこの前規定を満たしてランク上がってるのよ。伝え忘れてたわ。」

「そっちかよ!」

「ごめんね?」


可愛く首を傾げながらというのがあざとい。

だがそれがいい。

ってやってる場合じゃない。


「いやそれは今はいいので詳しい事を教えて下さい。」

「そうね。詳しいことは奥に担当がいるからそっちで聞いて。」

「分かりました。」


無事に依頼を受けられた俺はゼンを連れて奥に行く。

他のみんなには待っていてもらった。

どうやら空いた時間にゼンと二人で受けていた討伐依頼でランクが上がっていたらしい。


奥の会議室には既に数人の冒険者と最初にクロを預けた時にいた子がいた。

名前聞いてたっけ?

俺の後からギルドの職員さんがやって来てその子と少し話してから会議が始まるようだ。


「さて、とりあえず今集められたのはこれだけらしいから、打ち合わせを始めるよ。」


女の子が話し出した。

え?この子が進行?


「事態は緊急依頼書に書かれている通りだよ。行方不明者もいる。特にうちのお転婆姫も行方不明者の一人だよ。恐らくは隊長クラスと一緒にいるだろうが安否が確認できなくてトリアストが泣きついて来やがった。」

「え、カレリーナお嬢様もですか!?」

「そうだよ。」

「それを早く言ってくださいよ!一大事じゃないか!」


その場にいた他の冒険者が焦りの声を上げて色めき立ち始めた。

「早く捜索しないと!」「どこなんだ!?」と口にする。

カレリーナ様って結構慕われているんだな。

俺は焦りつつも、のんびり考えていた。


「まあまあ落ち着いて。」

「これが落ち着いていられるか!!」

「状況把握は必要なことだよ。効率良く動かないとミスしたら命に関わるよ。」

「そ、それは・・・。」

「おい、とりあえず座れよ。」

「お、おう。」


いきり立って立ち上がっていた男が仲間に言われて席に戻った。

それを見計らって、地図が取り出され、話が進みだした。


「部隊が遠征に向かったのはココ。調査自体は順調に済んでこの辺りに陣地を構築中に事が起こったらしいのよ。突如、森から魔物が出現して陣地は混乱、散り散りになったという事みたい。」

「その魔物は?」

「ブラッドタイガー。」

「っ!!」


会議室内に息を呑む音が響いた。その中でも一際、隣から聞こえた音が大きかった。

ガタッ

物音まで上がった。


「どうした?ゼン。」

「あ、兄貴。いや何でもないです。」

「何でもないことはないだろう。その反応で。」

「う。それは・・・。」

「言いたくない、か?」

「・・・いや。後で聞いてください。」

「分かった。」


ゼンとの話に区切りを付けたところで会議室内も復活しだした。


「ブラッドタイガーなんて相手にするにはこっちも相応の準備をしなけりゃヤバいだろ。」

「そもそもあんなのはCランクの相手にするもんじゃねえだろ!」

「BかAランクの奴らはどうした!?」

「今は全員出払ってるのよ。戻って来たらすぐさま送り出すんだけど、どの子も連絡取るには時間がかかりそうなのよ。大丈夫よ。討伐依頼じゃなくて救援依頼だから、お転婆姫を連れて帰ったらそれでいいから。」

「それなら・・・」

「いや良くないだろ!出会ったらどうすんだよ!!下手したら死ぬぞ!」

「頑張って逃げてね。臭い玉は支給するから。」

「リリアちゃん、そりゃないよー。」

「情けない声出すんじゃないよ。みっともない。男を上げてみせろ!」

「まじかよー。」


不平不満が出るわ出るわ。話が進まんね。


「で、一体どこに向かえばいいんですか?依頼内容はカレリーナ様の救助って事みたいですけど。」

「ブラッドタイガーが怖くないのか?」

「会ったこと無いので分からないですね。血を好む獰猛な虎ってことぐらいしか知らないので。」

「言うねぇ!ほら、ルーキーを見習いなよ!」

「あれは怖いもの知らずって言うんだ!」

「つべこべ言うな!やればいいんだよ!」

「うへー。」

「で、向かってもらうのは、とりあえずは部隊が陣地を作ってた場所だよ。そこからはお転婆姫の足取りを追って何とかして。」

「うわー、ひでー依頼だ。」

「強制だよ!分かったら準備して!移動にはうちから馬車を出すから。自前の移動手段があるならそっちでもいいよ。」

「へいへい。」


口々に不満を垂れつつも準備に動き出す冒険者たち。


「ソーマ君たちは移動はどうするの?」

「あ、自前ので先に行きますよ。」

「そうか。クロちゃんなら速いだろうしねー。」

「・・・。」

「ん?どうしたの?」

「リリアちゃんって偉い人?」

「あれ?言ってなかったっけ?私ここのギルドマスターだよ。」

「・・・え?」

「私ここのギルドマスターだよ。」

「いや聞こえてますけど。マジですか?」

「マジですよ。」

「うへー。」


どこぞの冒険者と同じ反応をしてしまった。


「あ。もしかして子供だと思った?クフフ。小人族なのよ。」


驚いてついつい視てしまった。


「ロリバ・・・」

「何か言った?」

「何も言ってません!」

「よろしい。分かったら行った行った!時間が無いんだよ!」

「は、はいー!」


こ、殺されるかと思った。

ヤバい殺気だ。

女の子に年のことを言うのは駄目だよね。

思い知った今日この頃だ。


会議室から少し離れてからゼンに話を聞くことにした。


「ブラッドタイガーを知ってるのか?」

「・・・はい。」

「言いにくい事、なんだな?無理に聞いたりはしないから。」

「いや、でも、兄貴には知っといて欲しい。」

「分かった。」

「ブラッドタイガーは、父さんの仇なんだ。」

「・・・。」


うーむ。


「住んでた山に流れて来たヤツと父さんは戦って、追い出すことは出来たんだけど、その時に追った傷がひどくて・・・。」

「そうか・・・。それはきついな。」

「うん。でも僕、戦うよ。本当の仇では無いだろうけど、父さんみたいな人が出ないように。」

「ゼン・・・、お前、凄いやつだよ。ほんと。」

「そ、そう?えへへ。」

「じゃあしっかり勝たないとな!」

「うん!」

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