109 素晴らしき造形
無事に【薬師】のスキルを取得したので、次は中級ポーションだ。
下級ポーションよりも回復力が高く、即効性も高い。
これがあればもしもの時もほぼ大丈夫、と言われている。
品質次第だが、ざっくりいった重傷でも命を繋ぎ止めて歩行が出来るくらいまで回復させられる、らしい。
ヨボヨボの爺さんが走り出しそうだな。
ちなみに上級ポーションなら、骨まであっという間にくっ付き、古傷も消えるらしい。
正に魔法だね。
お店で買ったら中級ポーションは1000貨、上級ポーションは10000貨(時価)くらいらしい。
1000貨は金貨1枚でだいたい10万円くらいの価値かなぁ?
治療費が10万円ぽっきりで済むと思えば、安いものだな。
入院して手術して通院してとすると軽く数十万は飛んでいくご時世だ。
安いものだね。
まあ、普通の町人の仕事だけでは稼ぐのに苦労するのと、町の外に出た時の危険度は段違いだけどね。
サーシャが一人でも作れるように、中級ポーションを作る前に基本のポーションの作り方を教えていく。
何事も基本が大事だ。
錬成だけ任せても身につかないからな。
一人で何でも出来るようになってほしいね。
今でもジャブジャブ使えるけど、今後は中級ポーションもジャブジャブだね。
あまり怪我しないから、使う機会が無いんだけど。
「兄ちゃん!出来たよー!」
そう言って走り寄ってきたのはドーラだ。
納得のいく何かが出来たらしい。
「どうよ!この造形!こだわりはこの肩周りの筋肉やよ!どうよ!今にも動き出しそうやろ!」
Chop!
「そんなもの作らんでよろしい!」
ドーラが持って来たのは人形だった。
というかまんまフィギュアだった。
よく分からない素材で精巧に作られたソーマ人形である。ヤメテクレ。
「ええやんええやん!兄ちゃんカッコええんやから!最近筋肉もついてきていい感じやん!記録に残しとかんと!」
「何の記録だ!いらんわ!」
「大丈夫やって!非売品にしとくから!」
「当たり前じゃ!何を売る気だ!そんなもん売れるか!」
「売れるよ!この前もキサラ人形が高く売れたし!」
「何をキサラさん売ってんだよ!」
「大丈夫やって。心配せんでも出来のいいやつは兄ちゃんに残しとるから。」
「でかした!ってちゃうわ!」
「ぶーぶー。」
「まったく。」
「ええやろ?兄ちゃんも好きってゆうとったやん。」
「自分の人形なんて見たくないわ!大体、需要が無いだろ!」
「わたし欲しいな。」
「え?」
「やっぱりー?いっちゃんならそう言ってくれると思っとってん!じゃあ、これあげるね!」
「いいの!?ありがとう!うはぁ!」
驚くことに目の前で俺の人形の取り引きがイチとドーラとの間で成立した。
イチは輝くばかりの満面の笑みで非常に嬉しそうなのだが、一体それをどこに飾る気なんだ。
俺は顔が引き攣るのを感じたのだった。
「いやちょっと待て。」
「なんや?兄ちゃん?」
「お前ほかにどれだけ人形作ってるんだ?いつからやってた?」
「・・・え、えっと、最近やよ?」
「なぜどもる?」
「だだ大丈夫や!なんもあらへん!」
「俺の人形はいつから作ってる?」
「さ、さ、最近や!」
「最近とは具体的にいつ?」
「ピューピュー。」
「下手くそな口笛してるんじゃありません。」
俺がジト目で睨んでいると、ドーラは焦る。
「いやえっとあんな?」
「さっさと吐け。」
「ええっと、町に着いてから、?」
「ならまだ最近か。」
それならまだそんなに数は作れてないだろう。
まだ何か隠しているような気はするが嘘は言ってい無さそうだ。
俺の人形なんてものが世に出回るなんて勘弁だ。
「?兄貴の人形ってムンおじちゃんのとこになかったっけ?」
「ゼ、ゼンくん!?いらんこと言うなや!」
「ドーラ?まさか町ってトリスタの町の事だよな?な?」
「ええっとー。」
「ドーラ。お小遣い、減額だな。」
「な!?そんな殺生なー!」
「嘘つく子にはお小遣いなんていりません。」
「ぐぬぬぬ。」
「これからは、お金がいるときは何に使うか申請して、ちゃんと使ったか確認するからな。」
「に、兄ちゃん。ちょっと厳しすぎではない?」
「厳しくしないと無駄使いする子がいるから仕方ないな。」
「ずーん。」




