108 天昇薬師
ドーラと作っていた武器類も形になり、シロクロゼンで狩りに向かった。
森の中では獲物を見つけるのも苦労するが、もう少し地竜の深谷に近付くと谷や谷の向こう側の瘴気や魔素なんかの影響を受けた魔物が居たりする。
そういう魔物は谷から離れると気が抜けて元に戻るかそのまま死ぬ、のほぼ二択だ。
時たま"はぐれ"と言って谷などの瘴気や魔素の強い地域を離れても生き残る種がいると言う。
おそらくそれが変異種ってやつじゃないかと思ってるんだけど、倒すと手に入る"瘴珠"の意味がよく分からない。
使い道も分からないし、使いたくも無いが。
「それはさておき、サーシャの無敵無双竜殺しも終わった本日はいよいよ待ちに待ったポーション作りです。ドンドンパフパフー!」
「ポーションですか?ソーマ様が沢山作ってますよね。」
「そうだけど違います。サーシャには俺が作ってるポーションの更に上のポーションを作って貰います。」
「更に上、ですか?」
サーシャとイチが顔を見合わせて目をパチパチとする。
サーシャは段々と顔色も良くなり、元々の体調を取り戻しつつある。
くすんでいた髪の毛も艶を取り戻し、綺麗に梳かれた長い髪をツインテールに纏め上げている。
そのおかげで見違えるような美少女、美幼女?になった。
これを見越して目を付けていたゼンに感心するね。
ゼンには美少女ハンターの称号を授けよう。
これじゃあゼンが美少女みたいだな。やめておこう。
イチはイチで文句無しの美少女だ。
最初の頃は食事も満足に与えられずに痩せ細り、衰弱していたが、今ではウチの美少女料理番だ。
透き通るような銀色の髪をサイドテールにしてフリフリと動かし、俺を誘惑する。ついつい触りたくなってしまう魔性のテールだ。
きっと誰も勝てはしない。
酒場で顔見知りのおっさんが触ろうとしたら、ハンマーでぺしゃんこにしていたが、かわいいから許されていた。世の中ってすごい。
そんな二人が目をパチパチ。
はい、かわいい。
邪な妄想は横に置いて説明を続ける。
「そもそもポーション等の薬類にはランクがあります。下級、中級、上級、と言う様な感じでね。」
「なるほど。」
「です。」
「それで俺が沢山作っていたのは下級のポーション類になる。」
「そういえばそんな事を言ってましたね。」
「うん。ポーションって言うのは魔法薬の事なんだけどね、下級のポーションは魔法が使えれば体外の人が作ることが出来る初歩的なものなんだ。これまでは素材に良いものを使って誤魔化してきたけど、そろそろ上の薬が欲しいと思っていたところなんだ。」
「上、と言うことは中級、上級ポーションと言うことですよね。」
「正解だ。」
「作れないんですか?材料が足りないとか。採ってきましょうか?」
「いや、材料じゃなくて、足りないのは才能なんだよ。」
「さい?」
「のう?」
「そう。才能。つまりはスキルだ。中級以上のポーションを作るには【薬師】スキルが必要なんだ。と言うことでサーシャには【薬師】スキルを取ってもらいたいと思います。」
「へ?わたしです?」
「そ。サーシャなら取得は可能だと思うんだ。」
「わたし・・・。」
「とにかくやってみよう!」
ダメだったらとか考え出す前にどんどん話を進めてしまう。
既に材料をセットした錬成台を用意して、普通等級のスフィアを渡す。
質のいいスフィアが手に入らないのが目下の課題だ。
市場にはほとんど出回らず、魔法道具屋にも普通等級の低品質品くらいしかないので、ガラクタ市や蚤の市で漁るしかない。
見た目では判別出来ないくせに品質のいいものはとんと見かけない。
サーシャに渡した物も蚤の市でたまたま見付けた普通等級普通品質のスフィアだ。
俺の持っているスフィアは所有者制限が掛かっていて貸し出しもできない。
セキュリティ的にはいいが、利便性を捨てている。
サーシャにやり方をレクチャーしていざ実践だ!
「サーシャならできる!」
「サーシャちゃん!頑張って!」
イチと二人で応援する。
「はいです!」
サーシャも気合十分、台座に手を翳して呪文を唱え始めた。
サーシャが唱えるたびに光が生まれ、台座に吸い込まれていく。
「ピュア!!」
台座から試薬に光が移り、吸い込まれていった。
「どうなったんですか?」
俺は出来上がったポーションを視る。
名前:下級ポーション
種類:ポーション
等級:普通
品質:高
「成功だ。」
「!やったー!すごいよサーシャちゃん!」
「!ほ、本当です!?」
「ああ。スキルも獲得してるし、初めて作ったのにいきなり高品質なポーションが出来てるよ。こりゃあ、俺はお役御免だな。はは。」
「え、や、えっとえっと!!」
「これからは製薬関係はサーシャに頼もうかな。」
「はいです!がんばりますです!」
「よかったね。」
正確にはサーシャが取得したスキルは【薬師】ではない。
【天昇薬師】と言う上級スキルだった。
意味はよく分からないが薬師であることには変わりないので、今はそれでいい。
喜ぶ二人を眺めていると、嬉しい気分にはなるね。
「【天昇薬師】」
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様々な薬の精製が可能な上級薬師の一つ。
天に昇るこも可能な薬を精製できる薬剤のスペシャリスト。
該当:1件▼
"天に昇る"って怖い意味じゃないよね?
ね?




