107 レッツレベリング!
カレリーナ様の参加している遠征はニ百人を超える大規模なものだそうだ。
調査先も危険が多いため、じっくりしっかり時間がかかるそうだ。
カレリーナ様が帰ってくるまでは英雄館関係の調査と適当にギルドで依頼を受けたりしていよう。
とはいえまずは、サーシャの休養と強化からかな。
レッツレベリング!!
「はい。と言う訳でやって来ました!」
「・・・。」
「ブルルルル!」
放心状態のサーシャと興奮気味のクロ。予想通りの反応だ。
「ここはどこです?」
「お、以外に早い復帰だ。ここはトローラ王国の辺境にある森の中だよ。秘密基地だよ。」
「トローラ、です?」
「ああそこからか。」
「さっきまでいた町から南に行った所にあるんだ。馬車でもひと月くらいかかると思う。」
「ひと月です?」
「う、うん。たぶん。」
最後は失速してしまったがゼンの説明通りだろう。もっと自信を持つんだ!
「合ってるよ。ここへは転移アイテムで飛んだんだよ。」
「転移、です?」
「そうだ。パーティ以外には内緒だよ?」
「はいです。」
「他にもあるけど、それは追々ね。取り敢えずはここに来た目的だけど・・・」
「さーちゃんってレベルはいくつなん?」
「6だよ。」
「じゃあドラゴンのやつからやな。」
「まあそうだけど、魔力操作の練習からかな。」
「やねー。」
「魔力、操作、です?」
「あ、だから今回は外に来たんですね。前はルームの中に直接でしたけど。」
「まあね。みんなでルームの中で待ってるのも息が詰まるかと思ってね。ここなら空気もいいし、サーシャものんびりできるかなって。」
「流石です!ソーマ様!」
「です!」
「お、おっす!」
ゼンまで釣られている。アホの子か。
「と言うことでゼンとイチでサーシャの面倒を見てあげてね。俺とドーラは装備作ってるから。」
「はい!任せてください!」
「わかった!」
「サーシャは休み休みでいいから頑張ってね。無理は禁物だよ。」
「はいです。」
「うん、よろしい。クロは・・・、あれ?いない。」
「シロちゃんと一緒に
そうして俺たちは別れて作業に移った。
装備は主にはクロとシロのものの開発だ。
シロはシールドは持っているが武器の類は持っていない。
そもそも自前の爪と牙がある為、必要としていなかった。
陽炎もある為、遠近両方に対応出来る万能マンだ。
だが、一撃の攻撃力は俺達の中では最下位になってしまう。
一撃必殺具合でいくと一位はイチ、二位が俺、三位がドーラで、四位がゼンとシロだ。
クロはドーラの次に入ることになるだろう。
今は角が無いので断トツの最下位だが。
ゼンは戦闘スタイル的に攻撃力よりも手数という感じだから、ブースター的な物があったら面白いかもしれない。
武器は剣だから、どうしようもない。
俺もドーラも門外漢だ。
今度武器屋にでも行ってみようかな。
「で、どうするん?何か考えあるんやろ?」
「取り敢えず、クロには角がいると思う訳だが。」
「切り飛ばしたやん。」
「そーだけど。」
「戻すん?」
「ブルブルブルブル!」
「嫌らしいよ。」
「まあ見てれば何となく分かっとったけど。じゃあどないするん?」
「不可視の角、とか格好良くない?」
「ん?あ!それか!」
「必要な時だけ出せれば良い訳だし。形状は元の角を参考にしてさ。」
「うんうん!ええかも!じゃあ頭に残っとる角に着けれる感じがええよね!」
「そうただね。使ってみた感じだと、距離を設定するのが難しかったから、固定か、二段切り替えとかがいいかもね。それを他のにも応用してって思ってるんだけど。」
「おおー!ええやんええやん!のってきたー!」
ノリノリのドーラとワイワイやりながらクロとシロの武器の開発をしていった。
ドーラがいると捗る捗る!
◇
イチは山に芝刈りに。
ドーラはキャンプでガリガリしている中、俺とゼンとシロとサーシャはルームを訪れていた。
ルーム、正式にはサクセスルームだ。
たまに思い出さないと忘れそうだ。
あれ?既に何か忘れてる?
まあいいか。
魔力操作がある程度出来るようになったサーシャに竜の試練を受けさせる。
竜の試練とは唯のピコドラゴン狩りである。
なんかカッコつけてみただけだ。
意味はない。
この試練には監視と周辺の警戒担当が必要だ。
監視するのは俺、警戒担当がシロ、ゼンは応援だ。
ゼンも大分感知範囲が広がったが、シロには敵わない。
もうちょっと技術があれば任せてもいいんだけど。
「さあ、サーシャ。やっておしまい!」
「はいです!」
両手で握りこぶしを作り、やる気満々のサーシャを見守る。
時々回復しつつ、ガードを固めつつだ。
サーシャは一際、腕力が弱い。
ドーラより弱かった。
身長も体重も小さいからこんなものかもしれないが、少し時間がかかりそうだ。
他にもやりたい事はいくらでもあるし、のんびり行こう。
そういえば、やりたい事なんてこれまでほとんど無かったな。
前世だとやりたい事って言うよりはやらなければいけない事だったり、取り敢えず言われるがままにやっていたことの方が多かった。
学生とかサラリーマンとか流されてやっていたな。
俺がやりたかった事はなんだろうな。
あ、ゲームか。
いやいや。
「はーはーはー。」
おっと。
いらん事考えていたらサーシャが疲弊してる。回復回復。
周りを見たら、シロとゼンでイビルワームと劣等地竜を2匹も仕留めていた。
シロは爪に付いた血を舐めとりながらも周囲の警戒を怠っていなかった。
シロに武器いらなくね?ハンターですか?
それから暫くは特に何事もなく過ぎ、イチの作ったごはんを食べて終わった。
いつもながら美味である。
また腕を上げたな?




