105 新しい仲間サーシャ
カレリーナ様と別れた後はゼンを連れて宿に戻った。
もちろんシロとサーシャも一緒だ。
サーシャをベッドに寝かせて様子を見る。
鑑定眼で見る限りは寝ているだけに見えるが精神的なことは本人次第だ。
目を覚ましてくれる事を祈ろう。
カレリーナ様、華麗だったなぁ。
洗練されているというか、無駄がない動きに、太陽の様な輝き、美しい顔、クールな瞳、その中に燃える強い光。
はぁ。
と、ゼンが甲斐甲斐しく濡れたタオルを乗せたり、水を用意したりしているのを見ながらぼんやりと考えていたら、イチとドーラが帰ってきた。
「たっだいまやでー!」
「ただいま帰りました。ソーマ様!」
「ああ。おかえり、二人とも。」
「ん?お客さんか?てかゼンくんは何してん?」
ドーラがサーシャを見ながら言った。
「いや。新しい仲間だよ。少し体調が悪いからゼンに看病を頼んでるんだよ。」
「ふーん。・・・かわええ娘やね。」
「そうだね。」
サーシャについて分かっていることと新たに見つけた石碑の情報を伝えておく。
「大変やったんやな、この子。」
「・・・そうね。」
イチもドーラも優しい子だ。
サーシャのことを心配そうに見ている。
ゼンも耳を垂らしていて、みんなでお通夜モードだ。
「サーシャのことは起きてから色々してあげようね。」
「うん!」
「はい!」
「せや!」
「にゃ。」
気持ちを切り替えて、今後についての相談だ。
「兄ちゃんが見つけた石碑の意味ってなんやろね?」
「普通に考えたら上じゃなくて、下が正解ってことじゃないの?」
「下ってなんやの?」
「うーん、1階のどこか?」
「それか地下か。」
「ああ、地下かー。」
「地下への通路なんて無かったですよね?」
「そうなんだよなー。」
「下が地下なら、上は何だろ?」
「そら地上ちゃう?」
「地上?」
「館は嘘…?ダミー?」
「え、あの館そのものがダミーってこと?」
「そうなるかもね。」
「そらないわー。」
「でも、それだと入り口はどこにあるんでしょう?」
「うーん…」
行き詰まった。
「石碑が裏町にあったって事は入り口も別の場所なんじゃ?」
「あ!」
「確かに!」
「じゃあ次はあの文字が書かれた物のことを探すってことかな。」
「そうですね!」
「う、ううん。」
「あ、起きた。」
!
方針が決まったところで、サーシャが起きて、ゼンが跳び上がった。
何をやってるんだか。
「お、起きたか?」
ゼンが恐る恐る訊ねている。
なんだか微笑ましい。
ドーラは既にニヤニヤしている。察しがいいなぁ。
「ふぇ?・・・?」
まだボンヤリしているようだった。
「ふぇ!?え?え?え?」
混乱しているようだ。
「ふふっ。」
「なんやかわええ娘やな。」
「そうだね。」
ひとしきり混乱して、落ち着いてから声をかける。
「落ち着いたかい?」
「は、はい。大丈夫ですます。」
まだ混乱しているようだけど、話しは出来そうなので続けた。
「状況は分かるかい?あ、ここは町の宿屋だよ。」
「はいです。新しいご主人様、ですよね?」
「まあそうだね。」
「ケガで動けないわたしなんかを買って下さってありがとうございますです。精一杯働かせて頂きますです。」
ドーラと目を合わせて頷き合う。これはイチと同じタイプだ。
「あなた、無理してない?」
イチが優しく話しかけている。
「!いえ!わたし、頑張りますです!」
するとイチはサーシャを優しく包むように抱き締めた。
「大丈夫だよ。ここにはあなたを傷付ける人はいないよ。だから無理しなくていいんだよ?」
どうしたイチ。
まるで聖母のようではないか。
いつの間にお母さん属性を手に入れたんだ!?
俺がイチの成長に慄いている間に、サーシャは泣き崩れ、イチが優しくよしよしと撫でていた。
優しい光包まれているような絵になる光景だった。
「兄ちゃん、違ったね。」
「ドーラ、忘れようとしてるんだから、掘り返さないの。」
「はーい。」
しばらくして落ち着いてから自己紹介だ。
「俺はソーマだ。一応君の主人だよ。あまり気にしなくてもいいけどね。」
「よ、よろしくお願いしますです。」
「ぼ、おれはゼンだ。さ、サーシャと同じあに、ソーマ様の奴隷だ。よ、よろしく。」
「わたしはイチです。ゼン兄とは双子の兄弟です。」
「ドーラやよ。うちは奴隷ちがうけど、同じ仲間やで。よろしゅうな。」
「はい。よろしくお願いしますです。」
「かわええ喋り方やなぁ。」
「あ、す、すみませんです。癖で・・・。」
「いやええよ。誰も気にしいひんし。」
「そうだよ。ドーラの方が変だし。」
「兄ちゃんひどっ。」
「ははは。」
「・・・ふふっ。」
「むー。」
ドーラのお陰でサーシャも、調子が出てきたみたいだ。
これからに期待しよう。




