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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
102/200

100 奴隷商館

更新間隔が開いてすみません。

少しだけストック出来たので再開します。

トリスタの町に着いて数日が経つ。

相変わらず英雄館への挑戦は続いている。

進展はしているような、していないような。

NGポイントは分かってきたが、依然として道は開けない。

英雄館への挑戦だけで過ごしては新しい町に来た甲斐が無いので午前中だけにして、午後からは町の散策を主にしている。

今日のお供はゼンとシロだ。

イチとドーラは別行動。

屋台市を巡るらしい。



今日はトリスタの町の裏町に来ている。

下町では無く裏町だ。

所謂、裏の店がいくつか集まった場所だ。

正直いたいけなお子様が来る場所ではないが、ここでしか買えないものもあるし、売れないものもある。

曰く付きの道具とか、危険な薬とか、危ない本とか。


「兄貴。なんか怪しくないか?ここ。」

「そりゃあな。トリスタの裏町だし。騒ぐなよ。」


ゼンに念を押しておく。


「わ、分かってるよ。」


ゼンは少し焦りながらも頷いた。


「ここだな。」


今回の目的地に到着した。

いったいいくら吹っ掛けられるか。

こういうのは苦手なんだけどな。


「ここですか?看板とかはないけど・・・。」

「この辺りの店は大体ないよ。」

「ここって何の店?」

「ここは奴隷商だよ。」

「・・・奴隷商。・・・売られる?」

「売らないよ。」


耳を垂れ下げて意気消沈といった感じのゼンの頭に手を乗せて少し乱暴に撫でておく。


「ギルドでも探してみたんだけど条件に合いそうな人材が居なくてさ。」

「そういえば朝一にギルドに顔を出してたね。人探してたんだね。」

「ああ。他にもお店とかにも寄って見たけど難しそうかと思って。」

「へー。条件ってなーに?」

「ああ、それはな・・・」




「レベル7以下の【薬師】スキル持ちですか・・・。」

「そうだ。」

「【薬師】スキルは優秀なスキルですからねぇ。中々のお値段になってしまいますが?」

「金の心配か?」

「いえいえ。めっそうもございません。見ればその身に着けておられるものも結構な価値のありそうなもの。それにそちらの子。」


奴隷商はゼンに目を向ける。


「そちらの子もあなたの奴隷ですねぇ?」

「ああ。よく分かったな。鑑定したわけではないだろう?」

「いえいえ。長年こういった商売を続けていると見れば大体分かってしまうものなのですよ。」

「そういうものか。・・・で、条件に合うのはいるか?」

「そうですねぇ。少々お待ちを。」


奴隷商の男は同席していた別の男に指示を出して数人の奴隷たちを連れて戻って来た。


部屋にぞろぞろと白い貫頭衣を着た人が入って来た。

奴隷は汚れた布切れを着ているものと勝手に思っていたがここではある程度は清潔にしているようだ。

男女問わず同じ貫頭衣なので、丈が長かったり、見えそうになっている者も居たが・・・。

何がとは言うまい。


「ご案内できるのはこちらになりますねぇ。」


入ってきたのは男2女2の4人。

何れも成人しているように見える。


「一人目は、人族25歳男性レベルは9で【薬師】スキル持ちです。レベルの条件は多少超えていますが、十分ではないかと。金貨20枚です。」


確かに【薬師】持ちだが、レベル11だ。

年齢も32歳だが、まあそこはいい。

問題は罪科に窃盗と殺人、強姦までついていることだ。

完全に犯罪者だ。

強姦魔なんて死んでしまえ。


「二人目はドワーフ族56歳男性レベル8でドワーフにしては珍しく【薬師】スキルを持っています。同じくレベルの条件は多少超えていますが、十分ではないかと。こちらも金貨20枚です。」


【薬師】持ちだが、レベル10だ。

罪科に窃盗があるが、一番の問題は年齢だ。

280歳のおじいちゃんだ。

ドワーフの平均寿命は300歳と言われているからもうほとんど寿命じゃないか。

ドワーフという種族柄か筋肉はしっかりとついているように見えるが、目の焦点がずれている。

老人介護をしたいわけではないので勘弁だ。


「三人目は人族41歳女性レベル7の薬師です。レベル条件をクリアしており、よいかと。こちらは金貨10枚とお値打ちです。」


却下だ。

【薬師】スキルを持っていないただの薬師が来た。

欲しいのはスキル持ちだ。

ここのやつらは鑑定してないのか?


「四人目はおすすめです。人族19歳女性レベル6、上から98・63・82のおすすめです。金貨30枚となります。」


うん。

薬師ですら無くなった。

ナイスバディで顔もよさげでお願いしたいところだが、イチとドーラに白い目で見られそうなので却下だ。

いや、ちょっとだけ・・・。

ダメですね。はい。


「いかがですかな?お眼鏡に適うモノはおりましたかねぇ?」


奴隷たちが下がってから、奴隷商は人の良さそうな笑みを浮かべながら話しかけてきた。

笑みを崩さず、ウソを吐く。

プロだな。

【鑑定眼】のある俺には無駄なことだが。


「四ば・・・「にゃー。」なんでもない。他にはもう居ないのか?」


シロはしっかり者である。

くそう。


「在庫の中では先ほどのモノ達になりますねぇ。」

「そうか。じゃあ無しだ。」

「は・・・。そうですか。」

「ああ。さっきの人達は買わないよ。条件に合ってない。・・・バレないとでも思ったか?」

「これはこれは、大変失礼いたしました。」


態と冷めた目を向けてみたが、大して堪えてはいないようだ。

さすがは商人、強かだな。

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