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俺、英雄になる?  作者: 黒猫
トリスタ編
101/200

99 ゼン活躍

「結局いい案は浮かびませんでしたね。」


翌日『目に見えるものが全てではない』のなぞは解けぬまま、ゼンも加えて英雄館(略)にやって来た。


「推測だけど、どこかに隠し扉か通路があるんじゃないかと思うんだけど。」

「どういうこと?」

「例えばただの壁に見えても実は扉だったりするのかなって。」

「あー。そういうことかいな。目に見えた通りのものとは限らんっちゅうことやな。」

「そういうこと。」

「でしたら、扉や窓でないところを探してみればいいってことですね!」

「まあ単純に言えばそうなるね。」

「よーし!やったるでー!」

「うん!」


「なーなー!兄貴ー!ここ開いたよー。」


「え?」


イチとドーラと共に意気込んでいたところでゼンが館の壁に穴を開けていた。

穴というか壁を押したら開いたようだ。


「まじか。」

「えー。」

「ゼン兄・・・。」


もう意気消沈だ。


「んー?」


いやゼンは悪くないんだけど、なんか釈然としない。


気を取り直してゼンの開けた扉(壁)から中に入ってみる。

意識が途切れることなくすんなりと中に入ることができた。

最初からゼンを連れてきていればとは言うまい。

後の祭りだ、わっしょいわっしょい。



館の中は灯りが点いている訳ではないのにある程度の明るさがあった。

窓からの光が部屋中に届いているようなそんな感じだ。

今いるのは館のエントランスだ。

ゼンが見つけた入り口は、なんと正面扉のすぐ横だったのだ。

なぜ昨日気付かなかったのか・・・。


エントランスは外の幽霊屋敷然とした雰囲気とは裏腹に上品な調度品が飾られ、絨毯も清潔そのものだった。

正面には上り階段が見え、壁や手すりには精緻な彫刻が施されており、上品で落ち着いた雰囲気に統一されていた。

空気の入れ替えもされていないだろうに、淀んだ空気ということも無く、ホコリも立たない清潔さだ。

めっちゃ不自然。


「わあ。すごい。」

「おー。貴族様の屋敷みてー。」

「この彫刻すごいでー!なんやこれ!どうやってるんや!」

「にゃ。」


お子様3人がはしゃいでいるがどう考えても不自然だ。

魔法のある世界では普通なのか?

そういえばサクセスルーム<壱>も空気は淀んでなかったな。

ダンジョンとかもそうだな。

そうか、普通なのか。

実害はないし、いいか?



「よし。気を取り直して館内の探索だ。おーい。みんなー。おいでー!」

「「はーい。」」

「これから館内を探索します!」

「おー!」

「たぶんすぐに罠に嵌まると思うので闘気で防御しておきましょう!」

「はーい。」

「じゃ、行ってみよー!」

「「おー!」」


適当に探索を開始した。

結果は言わずもがな。

あっという間にロープでぐるぐる巻きにされて放り出された。

あの手この手を試してNG行動を割り出していく。

今のところ判明しているのは、

・階段の特定の手すりを持つ

・部屋の扉を開ける(入れる部屋もある)

・壁の特定のタイルを触る

・調度品を持ち上げる

・ベッドに触る

・箪笥の中のものを取る

・3階の床を踏む

・窓を開ける

・特定の床を踏む

・隠し扉の先の床を踏む

・隠し部屋の特定の壁に触る


館内の至る所にNGポイントがあった。

隠し部屋もあったが特に目ぼしい物はなかった。

俺たちが探しているのはサクセスルーム<弐>だ。

つまりはそこへの入り口ということになる。

それは魔方陣か、階段か、落とし穴かは分からないがある程度の空間が必要なはずだ。

だがしかし、それらしいものは今のところ見つかっていない。


まあまだ始まったばかりだ。

急ぎの用事がある訳でもないので気長に行こう。

というか早速飽きてきた。


「あ゛ーー・・・。」


「どしたん?兄ちゃん。」

「ソーマ様・・・。」


ドーラに怪訝な目で見られた。

地味にショックだ。

イチは慈愛に満ちた瞳で見られた。

君はいったいいくつだい?


「飽きた。」

「ストレートやね。」

「しょうがないだろ。ヒントっぽいものもないし、謎解きって感じでもないしさ。」

「そうですね。あのミミズみたいな文字もないですし。」

「ねー。」


ボスッ


と話している間にゼンが屋敷から放り出されてきた。


「おぅおぅおぅおぅー。」


どうやら目を回しているみたいだ。

ロープを解いてやる。

するとロープは溶けるように消えていった。

このロープも不思議だ。

鑑定しても不思議なロープというくらいしか分からない。

なんにせよ成果なしだ。


「おーい。ゼンー!大丈夫かー?」

「おー。」


心なしか元気が無い。


「今日はもう諦めるか。」

「そうやねー。他に行きたいところもあるし。」

「ご飯にしましょう!」

「ご飯!」


ゼンが元気になった。

現金なやつだ。


「じゃ、まずは昼ごはんかな。」

「「はい!」」


ここの攻略には時間がかかりそうだな。

と思ったのだった。


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