私、授業を受ける
うぅ...ここは?
周りを見渡してみると、白い殺風景な部屋のベッドで私は寝ていました。そして真横にはーー
「あぁ!よかった!目を覚ましてくれましたね!保健室に運んでおいてよかったです!」
「おねーさま!いきなり倒れちゃうだなんて...私驚きましたのよ!」
クレア先生とフィーリアちゃんが横で私の手を握っていました。
自分のスキルを鑑定しただけで倒れる程病弱だったとは...
「クレア先生、フィーリアちゃん。心配させてしまい申し訳ありません...」
「いえいえ、無事で何よりですよ! ...それより、何故ミラさんは倒れてしまったのでしょうか?」
...あのステータスを見せたらどんな反応になるのでしょうか...怖くて見せられる物では無いですし...どうしましょうか。 とにかく今は黙ってーー
「先生!それは、おねーさまのステータスがとんでもなっ...むぐぐ...」
えっ? 何故フィーリアの口が閉まったのでしょう...? 確かに「それ以上話さないで!」って思いましたけど、私は何もしていませんよ!?
「どっ、どうしました!? フィーリアさん!?」
先生が慌ててっ...どうしたらフィーリアちゃんの口が空くようになるのでしょうか...
もしかして...いや、試すしかないでしょう!
ーーフィーリアの口を戻して!
そう念じると...
「ぷはぁっ! なな、なんで口が空かなかったのかしら...」
「ご、ごめんなさい!それ以上話さないで!って思ったらフィーリアちゃんの口が閉まって...」
ここは素直に謝っておくべきでしょう。 ただ、いったい何のスキルが働いてしまったのでしょうか...
「そうでしたのね。...てっきりもう二度と喋れないかと思いましたわ...。でもおねーさまがしたことなら別に良いのです。私も口走ってしまって申し訳ありませんでした...」
フィーリアちゃんに謝らせるなんて、私...
「まっ、まぁまぁ!そんな暗い顔しないで下さい! それに今日の授業は終わっていませんよ!」
そうでした!ここは学校でしたね。授業に出席しなければ卒業できませんね...
「ああっ、そうでしたわ!おねーさまっ!早く授業を受けに行かないと!」
「...そうですね。では行きましょうか。 クレア先生、ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」
「いえいえ、でも今日一日はゆっくりしておいた方が良いのでは無いでしょうか?」
「確かに、ごもっともな意見です。ですが、調子は良いので、授業に出席しますよ」
「そうですか、それではお大事にしてくださいね!」
「...はい。 じゃあフィーリアちゃん、行きましょう」
「はい!おねーさま!」
私達はそのまま保健室を後にした
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その次の授業は算数でした。
実は私、女神のスキルのお陰で、もう円周率をほぼ無限に言えるほどの知識があります...。
つまりはこの学院で学ぶことはほとんど無いのです...。 ですが、その横でーー
「うぅ...この問題、とても難しいですわ...」
と弱音を吐くフィーリアちゃんが居ました。その問題を覗くと、2+8...と出ている...。
「さっきまでは指の数で数えることができたのに...8って...」
フィーリアちゃんは馬鹿なのかも知れない...
「わざわざ片手で8を作らなくても良いじゃないですか。両手で8本指を出して、そこからまた2本分の足せば答えになりますよ」
私の言った事を見様見真似でやる可愛い妹が、凄まじい笑顔で、アホ毛をピコピコさせながら、こっちを見て
「10本分上がりましたわ!10ですわね!」
「正解です。良くできました」
「おねーさまのお陰ですわ!ありがとうございます!」
でも、いつかこのやり方だと11以上の数が出せなくなります...。その時はどう教えましょうか...。
こうして今日は初めての授業を楽しみ、家(魔王城)へ、フィーリアと帰りました。
...が、途中で、
「では、私はこっちですので、また明日会いましょう!」
と言って、魔王城の敷地へ入ったのに、そのまま外に出て行ってしまいました。
「どういうことなのですか...?」
確かに、姉妹なのに初対面では誰だか分からない他人同士のような振る舞い方をしていましたが、後でメルさんに聞いてみましょう。
こうして、私は魔王城へ帰るのでした。
ひ、貧血で倒れなかったぁぁぁぁぁぁぁぁ?!