待った!
キングキマイラ達が無言で倒れると、やがて動かなくなった。マーリーはそれを確認すると蛇に噛まれた右腕を押さえながら、ゆっくりと歩いて俺達の元へと戻ってくる。
黙って微笑み拳をつき出すラプツェル、マーリーは左手で拳を作りコツンと軽くぶつける。二人は何も言わずに微笑む。
何も言わなくても分かりあえる…やはり兄弟なんだな
「やったなマーリー!」
俺は兄弟じゃないので普通に歓迎する!
「痛いよ…それより」
あっ!背中バンバンやっちゃった…マゾーカさんの癖が移ったかな?
「すまん、すまん…ああ、これな」
と言ってエリクサー(簡易型)を取り出してマーリーに渡す。
「はあ…エリクサー…別に毒消しで良かったんだけど」
何故かため息をつきながら受けとるマーリー
「ああ、まだいっぱいあるから遠慮するな!回復もしないとだしな」
そう、あと90個ぐらいあった気がする。
「いっぱいね…(異世界人に常識は通用しないか)」
「うん?何か言ったか?」
「いや、何でもないよ。それより、その…ありがとぅ」
顔を赤くしながら俯いて言うマーリー
何だろう?語尾がききとれなかった。
今、シンジ谷村の物真似みたいな声が聞こえた気が…
「おい、何だって?」
「だから…何でもないよ!バカだなって言ったんだよ!」
「あんだって?バカとはなんだバカとは?」
「だって、そうだろ?他人の僕の為に、こんな高価なものを惜しみなく使うだなんて!」
まだ遠慮してんのか
「いや、だから、まだいっぱい…」
と言いかけた俺の言葉を遮り
「だとしてもだよ!それに命懸けで助けようとしただろ?」
と言うマーリー、なんだ、そんなことか
「当たり前だろ?仲間が殺されそうになってるのに見殺しに出来る訳がないだろ!」
とマーリーの両肩を掴んで言う俺
「仲間か、へへ…」
顔を赤くして俯きヘラヘラと笑うマーリー、変なやつだな?
《おい…分かっておるな》とファラオ
「ハッ」と言い両手を角にかける超龍、いったい何を?
ふんっと言うと、両角にかけた手に力を込める
「ぐおおおぉおおおぉっ!」
と叫び、ブチブチッブチッと音を立てて両角が取れる…額から血を流したまま、その金色の角を2本両手に持ちファラオに捧げる様に差し出す。
「これをファラオに」
超龍はひざまずいたまま、頭から流血している…ピリピリとして厳粛な雰囲気だ。
《ドラゴニュートにとってのシンボルである角を差し出すとはな…分かっておるならば良い》
シンボルと言うことは男にとってのあれみたいな…
まあ、あれだな。
たしかに、それは命を差し出すような物だな
「はい、今度こそ命に代えましても」
《その角はお前が使え!》
ハッと返事をすると立ち上がり、跳躍して舞台の中央に立つ超龍。
「ハアアー」
例によって腰を落とし力を溜めると両手に握っている角が光輝く!
そして光が収まると、その両手には金色に輝く剣が二振り握られていた。
片手の剣を肩にかけ、もう一本の剣先を此方に向けると
「お前達まとめて掛かってこい、私が相手だ」
その直後、ラプツェルがいち早く舞台に上がる。
「フッ…俺1人で充分だ」
「フフフ、私も舐められたものだな」
怒りを通り越して力なく呆れた様に笑う超龍
「いや、まだ舐めてない、お前の首を切り落としてからだ!」
と言うと腰を落とし、太刀に手をかけ居合の構えをとるラプツェル
「ほざけ!炎龍波っ!」
と言って肩に掛けていた金色の剣を振り下ろすと龍の形をした炎がラプツェルへと飛んでいく!
そのままラプツェルを飲み込む事が出来そうな大きさと迫力だ。
「くっ、天技・髪鳴神」
咄嗟に太刀から雷光を放ち炎を防ぐ
「ほう…何とか防いだか、ならば土龍波!」
逆の金色の剣を下から上に振り上げると床の下から龍の形をした土砂が飛び出してラプツェルを襲う。
「くっ!」太刀を炎龍に向けている為に無防備になっているラプツェルの腹に土龍が直撃する!
「グハッ」
血を吐き吹き飛ばされるラプツェル
仰向けに倒れていたが、太刀を杖がわりにしてヨロヨロと立ち上がる
「フンッ!咄嗟に髪の毛でガードして致命傷は避けたか」
と超龍
「ハアハア…コロス!」
「俺達も加勢するぞ!」「ああ!」
と言ってマーリーと二人で舞台に上がろうとした時だった
「その勝負、待った!」




