見逃し配信
俺は、メグリ王子の方を見る。
王子は心配そうに俺の方を見ている、俺は大丈夫と笑顔でサムズアップする。それを見て王子は笑顔になる。待っていろよ必ず助ける…改めて決意を固めると試合場の方を振り返る。
さあ、今はラプツェルを応援するぞ!
と思ったがラプツェルは太刀を抜いたまま固まっている…キングミノタウロスも肩を張ってタックルした後の体勢のまま固まっている。
少し離れた所で、お互いに逆を向いて立っていた。
そしてラプツェルがチンと金色の刀を黒い鞘にしまうと、キングミノタウロスの首がポロりと落ちた…
え?え?何?もしかして勝ったの?
「フッ…俺の勝ちの様だな?こいつの首をもらっていくぞ?」
俺達と反対側の陣地で腕を組んだまま立っているリーダー格のドラゴニュートに確認するラプツェル
「フン!好きにしろ」
不機嫌そうに腕を組んだまま、目をつむって答えるドラゴニュート。
ラプツェルはそれを聞くとニヤリと笑い、首を指で掻き切る仕草をしてからドラゴニュートを指差す。
次はお前の番だとでも言うのだろうか?
その後、落ちているキングミノタウロスの首に近づくと大事そうに拾い上げ、髪を撫でていた。
「後でゆっくりと愛でて髪を食べてやるからな…」
と言うと、マーリーが持っていたアイテム袋にキングミノタウロスの首をしまっていた…俺の方を見て微笑むラプツェル…怖いよ、本格的に怖いよ!
俺はサラサラロングヘアのイケメンに転生した事を初めて後悔した。
マーリー視点
ふう、さっきのペテン師野郎の試合は危なかったな…ちょっとハラハラした…ハラハラ?何で僕は、あんな奴を心配してるんだ?確かに綺麗な髪をしているし美しい顔立ちだとは思うけど、自分の素性を偽ってる様な怪しい奴を…
「あいつは俺の獲物だ!」
舞台へと上がるラプツェル兄さん。あのペテン師と違って安心して見てられるよ。
多分、相手のモンスターの顔と髪の毛が好みだったのかな?アイテムボックスに入れる準備をしとかなきゃね…
ラプツェル兄さんと対峙すると、相手のキングミノタウロスは腰を落として足をザアザアと砂をかく様な仕草をする。闘牛の牛の様だ…
恐らくタックルをしてくるつもりだろう。
キングミノタウロスの一撃必殺のタックルか…まともに食らえば鎧を着けてない兄さんは一撃で死んでしまうだろう。
だが、それは当たればの話しだけどね。
《行くぞっ》
と叫ぶと、キングミノタウロスが力を溜めて身体中から湯気の様なオーラが出る。
《超技・暴走機関車金牛号!》
光輝く牛が光速とも言える様な速さでラプツェル兄さんに真っ直ぐに突進する!余りにも早い為に残像が残り、それが列車の様にも見える…
僕は眼鏡を外していた
くっ!観客席を見ない様にしないと情報量が多過ぎて頭が気絶してしまう。意識してキングミノタウロスと兄さんだけを見る!
高速で近付いてくるキングミノタウロスに対して、兄さんは刀の柄に手を掛けたまま目を閉じて抜刀すらしていない。
そして、そのまま敵が近付きチッと言う音が鳴ると
「天技・間不容髪(間、髪いれず)!」
常人には見えない程の細さだが、兄さんの周りには髪の毛が円形に張り巡らしてある…そのエリアに入ってきた物は何で有ろうと一瞬で切り捨ててしまう天技!
兄さんが最低限の動きでキングミノタウロスの突進をかわしつつ抜刀し首を切る、余りにも早く鮮やかだった為に相手は切られた事に気づいてないだろう…テーブルクロス抜きの後の様に上に付いている首もそのままだ。
まあ、僕じゃなきゃ見逃しちゃうだろうけどね。




