武器真名解放
「ば、ばかな何故だ!あいつの武器はただのボーンソードとブロンズシールドの筈だ」
モヒカンが解説する
ええ、そうですよ。ただのね、ただし、スキルの武器真名解放により、ボーンソードの防具貫通(骨身に沁みる)が発動してるからね。
ただのボーンソードとは言え、思いっきり殴り付けられれば人間ではタダではすまないさ。
そうこう言ってる間に切りつけてきた二人の兵士の攻撃をかわし、鎧の上から殴り付ける!
隊長がやられてたのを見ていたとは言え、ボーンソードの攻撃が黒鋼の鎧に効くわけがないと言う先入観が捨てきれてない兵士達は、鎧への攻撃を特に避けようともせずに食らってくれた。バタバタッ
「あと5人か…」そう呟いた時に後ろからシュッと言う音がした。
「カン!」ボウガンの矢が弾かれる音がする。
「ば、バカな!完全に不意を突いていたし全く見ていなかった筈なのにっ」
「振り返らずに盾で防いだだとっ?」
「フッ貴様らの攻撃など、お見通しさ」
嘘です。ブロンズシールドさんの真名スキル、オートガード(初心者の味方)が発動しました。
「大人しくしてろ!」
サブ武器のブーメランを投げる。真名スキル命中率100%(一発必中)が発動しガンナーの顔面に命中し気絶させる。
「あと4人」
「く、くそーお前ら距離をとれ、やつの武器は所詮はリーチの短い片手剣だ。槍で攻撃すれば一方的に攻撃出来るはずだ!」
「ハッ副隊長!」
さっきのモヒカン、どうやら副隊長が命令した。
確かにアイツの言うとおりだな、槍で攻撃されれば此方が不利、一対一ならともかく、三方から囲まれれば尚更ね。
俺は三方から囲まれた。黒鋼の鎧をつけた3人の騎士に!しかも、この3人は兜をしっかりつけているブーメランで攻撃しても効かないだろう。
ならば!
「突けいぃ!」
副隊長の号令に合わせて、三方から黒鋼の騎士達が槍を突いてくる。
「タイム!」
俺が叫ぶと周りがスローモーションになる。訓練された槍兵の突きは、それなりに鋭く、かわすのは難しいのだろう。
普通であれば…
しかし、スローモーション状態の俺にして見れば
その動きは、慣れない日曜大工でノコギリを引いてる若いお父さんよりも遅く見える。
かわせない様に1人1人が上、中、下に各々槍を突いていた。咄嗟にこれだけの動きが出来ると言うことは、よく訓練されているなと感心する。
しかし、当たってやる訳には行かないし、行い自体はクズの所行だ。俺は下の槍を踏みつけ、中の槍を盾を装備した左手で掴み、上の槍は歯で噛んだ。
「「「「なっ!」」」」
スローを解くと驚いて叫ぶ三人と副隊長
まず、中の槍を引っ張り近づいてきた騎士の顔をボーンソードで殴り付ける、次に歯で噛んだままの槍を、そのまま騎士ごと持ち上げて、下の槍を突いていた騎士めがけて叩きつける様に投げた。
3人共に倒れて気絶している。
槍を吹き出しながら
「プッ…この体は素晴らしい身体能力だな、少し首が痛いが…あと1人」
そう呟いた時だった。副隊長の叫び声がした
「そこまでだ!」
俺がそちらを向くと、副隊長が先ほどの美少年の首にナイフを突きつけていた。
「化け物め!だが、お前はこの子供が痛めつけられていたのを見て、許さんぞと言っていたな?」
まあ、正確には許さんぜよ、だけどね
「さてえ、どうするんだよ?え~?そんな正義感の強い美しいお前はどうするんだよ?」
「どうして欲しいんだ?」一応聞いてみる
「まず、武器を捨てろ!」
カラン、ガランとボーンソードとブロンズシールドを捨てる。
「捨てたぞ!その子をはなせ!」
副隊長は笑いながら
「まだ、ダメだ~何せ、お前はトンでもない馬鹿力だからなあ…内の国のバカ王子並だあ」
「じゃあ、どうしろと言うんだ?」