晩餐会
コンコンと扉をノックする音がする。
あてがわれた自室のベッドで横になっていたオレは慌てて起き上がり
「どうぞ」と言う
「失礼します」
カチャリと音がせずに扉が開く。アトラさんだ。
「もしかして、おやすみ中でしたか?」
と、わざとらしく申し訳なさそうな顔をするアトラさん。
「いえいえ、色々と刺激的な事があったのでね眠れもせず、ぼうっとしていただけです」
と少し皮肉交じりに答えるオレ
「そうですか、先ほどは失礼しました」
「いえいえ、いきなり私の様な者が現れて脱出させます等と言えば怪しむのは当然ですよ!むしろ、そのまま信じられる方がおかしい」
まあ、実際にそうだしね。
「そう言って頂けると気が楽になります」
笑顔でホッとした様な仕草をみせるアトラさん。
そこそこに挨拶の様な会話を済ませると、俺は食堂へと案内された。パンとシチュー、ワインが綺麗に並べられていた現実では見たことのない、貴族の晩餐の様だった…と言うより、そうなんだろうな。
「申し訳ありません、何しろ囚われの身ですので、この程度のおもてなししか出来ず…」
パシャパシャ写真を撮りながらマーリーが言う
「ふん!アトラさんの料理は物凄く美味しいんだぞ、お前みたいなカメラ泥棒には勿体ない!」
チッ…予備のカメラが有ったのか
隣に座っているラプツェルが腕を組んだまま、こちらを見てボソッと
「俺はお前の髪の毛の方が美味しい…食べたい」
怖いよ…地味にボソッと言うのやめて
「ウオッホン…今は大事な話をするために集まってもらったのだぞ!」
と知らないランニング姿の口ひげを生やしたオッサンが…いや、知ってます。ガーゴイルに鞭で叩かれて興奮してたマゾーカとか言う変態だ。
しかし、3人の中では、この人が一番マトモに見えてしまうと言う…
パンパンとアトラさんが手を叩く
「それでは作戦会議を始めましょう」
では、王子お願いします。
「うむ」
と言って上座に座っていた王子が椅子から立ち上がる
「今日ここに集まってもらったのは他でもない。我々が、このハイマツプリズンに閉じ込められて3週間がたつ…」
そこで不安を吐き出す様に一息ついてから王子は再び話し出した。
「私は近く処刑されてしまうだろう…それは構わない…しかし、その事が切っ掛けでハイマツ国とセントラル国が戦争になることは避けなければならない!」
「な、なんだって!」女神さま聞いてないよっ!
俺はバンッと机を叩き立ち上がる。
「落ち着いて下さい、ケンシンさん。今日明日中に処刑されると言う訳ではありません」
笑いながらオレをなだめる王子、自分が殺されるかも知れないと言うのに…やめておこう、一番辛いのは怖いのは本人だ。
「失礼しました」と言って席につく。
その後、王子達が捕まった経緯を説明してもらった。
メグリ王子はハイマツ国の隣にあるセントラル国の第二王子で、第一王子と共に外交の為に、このハイマツ国を訪れていたそうだ。
しかし、その歓迎の晩餐会の最中にハイマツ国の王子モトラッドの裏切りにより、取り囲まれて囚われてしまった。
マゾーカさん達は第二王子の護衛を頼まれていたが、晩餐会で武器を装備していなかった状態でS級モンスター達に囲まれて守りきれなかった。
その解放の条件として、モトラッドは第一王子に紅竜王の討伐を成功させ、女神像に封印されている神具を手に入れる事を約束(脅迫)させた。
1ヶ月以内に戻らなければ王子を処刑してセントラル国に宣戦布告をすると言われて…




