風呂上がりの奇跡
意識を取り戻し目を開ける、天井が見える
「知らない天井だ」と思わず呟いてしまう
「いや、さっきまで湯船に使っていた浴室の天井なのだが…」と言われたあと
俺の天井を見る視界を遮る様に美少女の顔がアップになった。
ん?確か俺は…ツチノコが迫ってきて気を失って
それより美少女の顔が逆さまだ。慌てて立ち上がる、どうやら膝枕をされていたようだ。
「すみません、失礼。えっと、ど、どちら様でしょうか?」と慌てて訪ねる
「うむ、申し遅れた。私はフロンティア連合のセントラル・フロンティア国の第二王子のメグリ.Kと言う」
ながっ!あと、やっぱり男だったのか…そりゃそうだよねと…でも、この子が女神様の言っていたミッションのキー人物の1人だな。
「そうですか、私はケンシンと申します」
と普通にお辞儀をする。
「それで早速だが貴方がイリュージョニストと言うのは本当なのか?」
と聞かれて思い出した…そういや、そんな設定だったね。
「フフフ、疑っておいでなのですか?」
とキャラになりきって余裕たっぷりに聞いてみる
「い、いや、そう言う訳ではないが…クチュンッ」
「そう言えば、私は気を失っていた様ですが、どのくらい経ったのでしょうか?」
「う、うむ、かれこれ一時間近くかな?クチュンッ」
その間、ずっと裸にタオルを巻いた格好で膝枕をしてたのか…湯冷めして風邪引いてるんじゃないのか?そもそも、それなら誰かを呼んでくれば良かったんじゃ…
「もしかして、私が気絶している間、ずっと膝枕をしてくれていたんですか?失礼ですが、その、誰かを呼んできた方が楽だったと思うのですが…」
と俺が言うと罰が悪そうに王子は答えた。
「う、うむ、確かにそうかも知れないのだが、男は膝枕をすると喜ぶと兄上から教えられた事があってな…謝罪の意味も込めて膝枕をしておった…クチュン」
うつむいたまま、くしゃみをして、うなだれる王子
フッ…さっきまでとは別の意味で可愛いなと思った
「貴方は私に本当にイリュージョニストか?と聞いていましたね?」と王子に言うオレ
動揺して慌てた様に
「いや、それは…クチュン」と言う王子
「まあ、論より証拠です」と言い
俺はアイテムボックスからシルクハットを取り出す。そして帽子の中が(穴の部分)が見える様に裏側を王子に見せる、そして帽子の上の部分を持ちフリフリしてから
「このように種も仕掛けも御座いません」
本当にないからね。
「うむ、クチュン」
とうなずく王子、完全に風邪引いてますね。
「それでは今から貴方に必要な物を取り出しますね」
と言って、目をつむり右手で帽子を持ち左手で念を込める様な仕草をする…
その間に考え事をしていた。
何か良い決め台詞ないかな?何とかパワーです!みたいな?
特に思い付かなかったが、この世界に来て一度だけ魔法的な演出をやった事を思い出した。ギルモには効いたし、この子もまだ少年と言って良い年だ大丈夫だ!と自分に言い聞かす。
「フッ奇跡も奇術も有るんだよっと」
と言って帽子を鈴を鳴らす様に振ると
パサッ、パシャ、ん?とアイテムボックスから取り出した簡易エリクサーが帽子から出てくる、それをマジックハンドで宙に浮かせて、王子の目の前に運ぶ。
「おわ、おお!こ、これがイリュージョン…クチュン」
と少年?少女?よく分からないが笑顔で目を輝かせて宙に浮いた簡易エリクサーを見つめる王子。
「早速ですが、それを飲んでみて下さい」
と俺が笑顔で手を差し出して勧める。
王子は一瞬、躊躇したが、うんと言って頷くと覚悟を決めたのか、簡易エリクサーの封を開けて左手を腰に当てて一気に飲み干した。
風呂上がりのコーヒー牛乳ならぬ風呂上がりの簡易エリクサーですね。




