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イリュージョニスト

俺は以前、監察官からどさくさに紛れて借りていたシルクハットを取り出して被る


「やれやれバレてしまっては仕方ありませんね」

と言いながら


仕方ない、このキャラで行こう…昔、声優養成所にも通っていたんだ、何とかなるさ!


「おやおや」と驚いた素振りを見せる執事さん。


「あと、手品師ではありません!私の事はイリュージョニストとお呼び下さい」


そう言ってシルクハットを手に持ち恭しく御辞儀をする


「ハハハ、そうですか。宜しくお願いしますねイリュージョニストさん」


と手を差し出してくる執事さん。真ん中分けの赤髪イケメン執事さん。糸目で物腰の柔らかい感じの人だね。


俺も手を差し出し握手する。


「アトラさん、何でそんな怪しい奴と仲良くしようとしてるんだよ!」

とパシャパシャとカメラを取りながら叫んでいるマーリー…怪しいのはお前だよ!


「はてさて、盗撮しながら言われても説得力がありませんねぇ」と言い返してやる


「そうですよ!いきなり写真を撮るなんて失礼ですよ、てじ…いえ、イリュージョニストさんが怒るのも無理ありません」


とマーリーをたしなめる執事のアトラさん。


エーと不満そうに言うマーリー、しかしアトラさんから


「おやおや、あんまりワガママばかり言うとカメラを取り上げましょうかね」と言われると自分の部屋らしき場所に慌てて入っていった。


「しかし、何でイリュージョニストのあなたが刑務所にいるんですか?」


と笑顔で聞いてくるアトラさん。


「さて、それは別の機会に話すとして…」


本当の事を言って頭がおかしい奴と思われても困るしな…これ以上属性増やすと演じきれません!


「この刑務所には王様と皇子様が囚われていると聞きましたが本当ですか?」と聞いてみた


「…!」


その直後に一瞬だが、アトラさんの目が見開いた様な気がした。


「おやまあ、何のことやら…それより、その話しは何処で聞いたのですか?」


と先ほどの表情が嘘の様な笑顔で聞いてくる。


「いえいえ、たまたま、ある高貴な方に聞きましたものでね」と曖昧に答える。


「そうですか、その高貴な方と言うのは?」


「高貴な方としか言えません…私にも守秘義務と言うものが有りますからね」


「守秘義務?と言うことは仕事?」

随分としつこく聞いてくるな、これは当たりかも?


「ええ、私はイリュージョニスト、超手品師です。得意なんですよ、縄脱けとか、脱出とかね!」


「それは…」と口ごもるアトラさん。


「もし、仮に王様や皇子様がここに囚われていたとして、その人達を脱出させれば一体どれ程の褒美がもらえるんでしょうか?」


フフフと笑い、周りを見るとアトラもラプツェルも目が笑っていない。

恐らく、こいつらは何らかの形で関係しているな…もし全く知らないなら、こんな表情にはならないはずだ


「そう考えると頭のおかしいふりをして刑務所に入って、少々、痛い目にあったり、盗撮してきたり、髪の毛を食べてきたりする気持ち悪い人達のいる屋敷に放り込まれたとしても、来る価値があるとは思いませんか?」


「なるほど…それで?その、脱出の可能性は高いのですか?」

もう糸目じゃなくて、普通のイケメンさんになって聞いてくるアトラさん。


「もちろん100%ですよ。だから私はこうして生きています。剣で串刺しにされたり、爆発に巻き込まれたりせずにね」


そう言ってフフフと笑い最後に、こう付け加えた


「なんせ私は脱出のプロ《イリュージョニスト》ですからね」

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