続々・女神様はオタクでした
まあ、そりゃそうだよね?
何事もギブアンドテイクですよね。
「女神様はずいぶんと私のいた世界の事詳しいんですね?」
『当たり前よ!私の好きなジャンルの知識は勿論、それ以外も基本的なオタクの知識は押さえてるわ!』
ああ、やっぱりオタクなんだ。まあ、最初から三国志ネタ語ってたしな。
でも、それなら何をさせるつもりなんだろ?
異世界で戦うとかは仕方ないかも知れないけど、最後の魔法少女になれとかだと嫌だなあ…
「あのう…では私は何をすれば良いのですか?」
『簡単よ!貴方が大好きだったゲーム・フロンティアによく似た世界で、貴方がゲームでやっていたストーリーモードのメインシナリオと同じ事をしてくれれば良いわ!』
「え?そんな事で良いんですか?」
『ええ!そんな事で良いのよ!』
ゲーム・フロンティアは基本的には狩りゲーと呼ばれるゲームでモンスターを倒して素材を集めて強い装備を作っていくと言うゲームだが、それとは別にストーリーモードがある。
このストーリーモードのメインシナリオの大きな目的は、七つの国にある女神像の解放、その為にそれを守る強力なモンスターの王を倒すことだ。
それとサブイベント的な物がいっぱいある。
詳細については省くが、モンスターだけでなく、フロンティアの中にある国の王族や貴族に関係するイベントや、盗賊団、ギルドからの依頼や戦い等もあるのだ。
「でも、基本的には同じと言う話でしたが、よく似た別の世界なんですよね?」
『そうね…世界観や設定は、ほぼ同じだけど。大きな目的の女神像の解放以外の事は全然別のストーリーと思っていいわ』
そうなのかアップデートみたいな物と思えば良いのかな?
一つ気になる事があったので聞いてみた?
「人間とかも襲いかかってくるんですよね?」
『たぶん、そうなるでしょうね。分かってると思うけど、フロンティアの世界は、半分はアメリカの開拓時代みたいな物よ。新しい大陸の資源を求めてハンターや王公貴族の率いる騎士団だけじゃなく、盗賊やらの悪党もいっぱい来てるわ。やられる前にやる!常識ね』
「うーん、それだとチョット…モンスターを倒すのは良いけど人間を殺すのまではさすがに…」
『え?何を言ってるの、あなた、昨日の夜も30人ほど殺してるわよね?』
「え?って、ああ…ゲームのなかの話ですよね」
『おんなじ事よ!トータルで殺した数は千や二千ではきかないはずよ!』
「そりゃあゲームなら…今までのゲームをトータルすれば億くらいは軽く行ってると思いますけど…
ゲームですよ?」
『なら、それと同じだと思いなさい!私の作った世界なんだから似たような物よ』
「いやいや、本当に生きてる人間なんですよ!思えませんよ!ムリムリ」
『ふう…なら仕方ないわね!貴方が殺した分の人間は、貴方がメインシナリオの女神像解放を果たしたら全員生き返らせてあげるわ!』
「え?そんな事出来るんですか?」
『出来るわよ!貴方の世界の事は難しいけど、自分の世界の事なら、その程度お茶のこサイサイよ』
なるほど、まあ、そんなに簡単に生き返るんなら
「まあ、じゃあ」良いかな…
『では、交渉はこれで終了ね』
その後、女神様と話を詰めて以下の事が決まった。
1.俺の目的について
七つの女神像の全てを解放。その対価として3つの願いを叶えてくれる。
2.願い事について
俺を生き返らせて元いた世界に戻す事と俺が殺した人間を生き返らせる事の2つ。
最後の一つは願いを叶えてくれる時までに考えておくので一旦保留としてもらった。
3.授ける能力に関して
俺がゲーム・フロンティアで使っていたキャラクターの技、身体、能力、スキル。後はマップやステータス、アイテムボックス等の基本的なシステム周りの物をもらった。
『装備に関してはどうするの?別にいきなり最強装備とかでも良いわよ?貴方がゲームで使っていた装備よりも強い装備もあるしね』
えっ?そうなの?俺はトッププレーヤーとまでは行かないが、かなり上級者だったので、最強に近い装備にしてたはず…うん、ちょっとやる気出てきましたよ!
「いや、ゲーム開始直後の最初の装備で良いです」
『え?そうなの?チートが欲しいって言ってたからてっきりオレツエー無双したいのかと思ってたわ』
「いや、今回は命がかかってるから多少のチートをもらいましたけど、俺は基本的にはチートや裏技は好きじゃないんですよ…強くなっていくのが楽しいって言うか過程を楽しむタイプなので…」
『そう…まあ私も分からないでも無いかな?育成は楽しいものね!』
そう敵を倒したりお金を稼いで装備を整えるのが良いんです!
『じゃあ一応、全種類の武器の初期装備をアイテムボックスに入れておくわね』
「はい、お願いします」
『あと、流石にその格好だと刺激が強すぎるわね』
そう、俺は素っ裸であった。魂だからなのか大事な所は見えてないみたいだけどね。
パチンと女神様が指を鳴らすと、俺の体に服が着せられていた…
と言っても下着とそんなに変わらないインナー姿だ
『まあ、とりあえずこれで良いでしょ?貴方の楽しみを奪うわけにも行かないし』
(それに、その格好の方が面白い事になりそうだし)
よし!これで契約も終わり装備も整った
再度、女神様が指を鳴らすとホワイトルームに扉が出てきた。
『キャラクターエディットとチュートリアルはおしまいよ。その扉を抜ければ魂から受肉した状態になってゲイふんげふん…フロンティアに出るわ』
「えっ?今なんて言いました?」
『何でもないわよ!さあ、早く早く行きなさい』
と言って扉を開け、強引に俺を押しだそうとする女神様
「えっ?チョット…」
扉を締める間際に
『それでは、良いゲイ腐ライフをね!』
と笑顔で言いながら手を振る女神様、え?ゲイフ?
「それを言うならゲームライ…あっ」
俺が振り返ると扉はしまっていて、目の前には街道と木しか見えなかった