異世界あるある
その日は、もうすぐ日も暮れるので近くでキャンプを張る事にした。
アベルさん達は、自分達のテントセットを持っていたので、それを使うらしい。意外な事に彼らもアイテムボックスを持っていた。容量はそうでもない様だが…それでも高価な物らしい。
装備を見ても分かるが、それなりに稼いでいるハンターなのだろう。
そう言えばゲームの時の俺のアイテムボックスはクエストに持っていける物は、もっと容量が少なかったと思う。自分の家に置いてるアイテムボックスは無限に近い容量だったが…この世界に来たばかりの頃は(現在もだが)家がなかったので、今俺が持っているのは家に置く用のアイテムボックスを持っているのかも知れない。
話はそれたが、とりあえずテントを出さないとな、
アイテムボックス自体は持っててもおかしく無いらしいから、テントを取り出しエイッと放り投げる!
すると、薄く折り畳まれていたテントが勝手に開いていき、そこそこの大きさのテントになった。
少し違うが、ポップアップテントと言って実際にショッピングセンターでも売っている物とほとんど同じなので別に大丈夫だろうと思っていたのだが…
「凄いテントですね!もしかしてアーティファクトなのですか?」とアベルさんに聞かれた
出たよアーティファクト。一応、分かる範囲で適当に仕組みを解説する。
ここがこう開いてとか…そもそも、そんなに複雑ではないので何となくだが仕組みは理解してもらった。
「いや、それにしても凄い技術です…」
そう、アベルさん達は普通のパイプで組み立てるテントだね。運動会のあれに近い。
「この仕組みを特許をとって…」
ああ、出たよ特許…異世界あるあるが続く。
「いや、これは私が開発したものではないから特許なんて取れないよ。盗作みたいな事はしたくないし、このテントの事は内密に頼みます」
と言うと納得したのか
「欲の無い方々なのですね…分かりました!このアベル、女神と水の聖霊に誓って」と跪き祈りを捧げる様に言った。
こう言う下り、まだ有るのかな?
寝る時は勿論、別々のテントで寝た。
アベルさんはカインくんの看病も有るので、二人で
俺達はポップアップテントで各々休む事にした。
俺と熊王とギルモは三人で川の字状態で寝た。ギルモは凄く嬉しそうにはしゃいでいたが、やがて寝ついた。その後、熊王は寝づらいとの理由で小熊になって寝た。
翌朝、目を覚ましてテントから抜け出すと、赤髪のカインくんが自分たちのテントから出て来た。
俺と目が合うと
「あんたがケンシンさんか?」
昨日は苦痛に歪んだ顔だったので分からなかったが
まだ若い、高校生か大学生ぐらいだろうか?
「ああ」と俺が答える。
「アベルから聞いたが随分と世話になったみてえだな、グリフォンを倒した上に色々としてもらっちまったみてえで、すまねえ」
と頭をガシガシ掻きながら申し訳なさそうに謝ってきた。
「別に構わない、そんな事より体の方は大丈夫なのか?」
「ああ、あんたがくれた毒消しと、回復薬のお陰だ、すまねえ」
と言って再度、頭を下げるカイン
俺はなんだか少しおかしくなって笑って答えた
「フッ、気にするな…それにそういう時はすまねえじゃないだろう?」
「ハハ…そうだったな、ありがとよ」と笑顔で言うカイン
「それと、助けてもらった礼と毒消しの代金を払わねえとな」とテントに戻ろうとするカイン
「いや、それは必要ない」
「いやいや、そういう訳には行かねえよ」
2、3度喫茶店の支払いで争うおばちゃんの様な事を繰り返したが、カインは頑として譲らなかった。
「分かった。それなら俺達が売ろうとしてる回復薬や毒消しをいくつか買い取ってくれないか?」
「え?そんな事で良いのか」
「ああ、お前達はそこそこ名の売れたハンターなんだろ?」
「え?ああ、まあな。カマタマーレでは新進気鋭のB級ハンター、赤鬼青鬼なんて呼ばれてる」
「では、お前達が薬を買って町で宣伝してくれれば良い、それで俺達も助かる」
「分かった!あんたらの薬なら俺の体で効果も実証済みだ遠慮なく宣伝させてもらうぜ!」
と言って右手を差し出してきた。
俺も右手を差し出して固く握手する。




