続・女神様はオタクでした
『それでね!私としては、すぐにでも貴方を私の世界に連れて行きたかったんだけど…ちゃんと本人に説明して許可を取らないとダメだって言われて』
そりゃそうでしょ。じゃないと、いきなりモンスターだらけの世界に放り込まれてもね…
『説明を始める前に一つだけ聞いておきたいのだけど、私もその手の小説はちょっとは読んだことあるのだけど…
貴方は異世界転生してチートハーレムして美少女にモテまくりたいの?』
そういや、その手の小説って基本そうだったな…
「いえ、俺はチートはちょっとは欲しいですが、美少女とハーレムとかは興味ないですね」
カッコつけて言ってる訳じゃなくて本当にそうだった…
それまでも得意な訳では無かったが、あの件以来、本当に女性が苦手になってしまったのだ。
今、女神様と話を出来てるのも、女神様の見た目が、白いドレスこそ着ているが、眼鏡をかけた黒髪のお下げで真面目なと言うか…はっきり言うとオタクっぽい見た目だから、キツイけど何とか話せているのだ。
これが、あの新人女性社員みたいに茶髪でケバい感じなら何も話せなくなっていたかもしれない。
そんな状態だからハーレムなんて、とんでもない!
『そう、それは良かったわ!傷ついて落ち込んだイケメンが私の異世界に来て新しい世界で目覚める…なかなかに私好みの捗る展開だわ!』
なんか一人でグフグフ言って身悶えてるんだが…
「すみません、何がはかどるんですか?」
『え?ああ…何でもないのよ!うん、それよりも!それよりもよ!貴方は願いとかないの?』
願いか…異世界転生出来るってのは確かにありがたいけど
一つ気がかりなのは、元いた世界に母親がいる事だ。元気な母親ではあったが、もう70近いしな…出来れば、ちゃんと老後の面倒を見てあげたかった。
「あのう、出来ればなんですが…私を元の世界に戻して生き帰らせて欲しいと言うのはダメでしょうか?」
女神様が眼鏡を指でクイッっとやるとキラリとその眼鏡の奥が光った気がした。
(よしよし、これで動機づけは出来たわね…これなら、あの世界に行っても、すぐに嫌になって投げ出したり自殺したりしないはず…フフ腐)
女神様は、何か一人でぶつぶつ言って笑っていた…
「やっぱり都合が良すぎますよね?」
『いえ!そんな事はないわ!貴方の願い叶えてあげるわよ』
「ええ!?本当に?」
『勿論よ!人間と違って神の言葉は軽くないわよ』
「やった!じゃあ、お願いしま…」
『ちょっと待った!』
「え?何ですか?」
『あなた、何の対価も無しに願いが叶うとでも思ってるの?貴方の世界でもタダで願いを叶えてくれる訳じゃなかったでしょ?七つの玉を集めたり、英雄と契約して戦ったり、契約して魔法少女になったり色々あったわよね?』