アーマードベア
「まあ、あんたが良いなら構わない」
渋々だが言うとおりにすることにした。
言葉でどうこう言って聞くタイプではないだろう。
「おお!すまんな。それでは、アーマードベア!」
と熊王が叫ぶと、体の毛が逆立ち、変化していく。そして、全て鎧へと変わった。
シルバーに輝く、戦国武将の様な鎧に。
いや、鎧と言うよりはバトルアーマーと言うかバトルスーツに近いのかも知れない。
両手の籠手の部分には小さな長方形のシールドと言うか、ナックルガードの様な物が付いている。
そのナックルガードをガッガと付き合わせて気合いを入れる熊王。
「待たせたな!では来いっ!」
構えをとる熊王、腰を落として両手の肘から先を曲げ、ナックルガードの部分が顔の少し下の両サイドにくる様な形。ボクシングの構えと少し似ているかな?
頑丈そうに見えるし、これなら思いっきり攻撃しても大丈夫そうだ。
「では、行くぞ、タイム!」
再び世界がセピア色に変わる「クイック」
その世界で俺だけが普通に動ける、熊王の方を見るとニヤッと笑っている。
まさか、あいつもクイックを?そんな能力を使うモンスターはいなかった筈だ、少なくともモンスターの王には…だが、そんな事を考えているとSPが切れてしまう。タイムもクイックも一秒毎にSPを100づつ使う、両方使っている状態では現実時間で1秒しか持たない。
まあ、俺には100秒に感じるんだが。
俺はさっきとは逆に熊王の右肩を目掛けて切り込む…熊王の左目が動く…やはり熊王は明らかに目で追っている!
とは言え、動きが間に合うわけはない!
俺が普通の動きだとすると、熊王の動きは太極拳の様なゆっくりとした動きだ。
相手の肩に大剣が触れ攻撃が入った!と思った、その時だった。熊王の右目の眼帯から強く赤い光りが見えたと同時に熊王の動きが凄まじく早くなった。急に周りの景色が変わった?
くっ!やはり熊王もタイムを使えるのか、ならば
狩人の服の防具真名スキル魅了(愛の狩人!)
これで、相手は動けなくなる筈だ、このまま切りつける!
しかし、熊王の動きは衰えず、そのまま右手で俺の大剣を受け止めた!
「バカな!?」思わず叫んでしまう
「フッ同じ技は俺には通じぬわ!」と言って
俺のアイアンブレイドを強く握ると武器にヒビが入る
一本しかない大剣に何て事を!
硬直した俺の腹に熊王の拳が入る。
「グボッ」少し吐血して膝をつき倒れこんだ。
「ああ~やりすぎたか?死んだかもしれんな。こりゃあ女神様に怒られてしまうかも知れん」
俺はかろうじて意識を保っていた
「勝手に…殺す、なっ」
「うん?何で生きてるんだ?と言うより服は破けてるが腹に穴が空いてないな?」
俺の左手を引っ張り持ち上げてから、不思議そうな顔で俺を見る熊王。抵抗できる力は残ってない。あと、ちょっと痛い。
そう、熊王に殴られる瞬間にアイアンブレイドの真名スキルのアイアンマン(攻撃力を防御力に変換)を発動させたのだ。あれが無ければ、この丈夫な体でも死んでいたかも知れない…ありがとうアイアンブレイド、さようならアイアンブレイド




