女神との約束
「ふう~」
と更にため息をついてから、再び話しだす女神様
「あのねえ、死んだ人間が生き返ってばかりいたら、この世界は人間であふれかえっちゃうわよ?」
「食料とか資源だって無限じゃないの!それに、いつまでも古い人間が居座ってたら、次の世代の人も困るでしょう?貴方の元いた世界のスポーツ団体とか色々見てれば分かるでしょう?」
「新しい人達が成長する為には古い人達が去る必要があるの、その人達だって消える訳じゃない天へと帰り新しい命に生まれ変わる、それにその人達は想いは残された人達の心の中に生き続けるの!」
「確かにそうかも知れない。貴方の言う事は最もだ…」
「そう分かってくれたの?じゃあ…」
俺は彼女の言葉を遮る様に言う
「でも…それを、あの子に言えない…何か希望が必要なんだ。でも、俺には分からないんだ…だから貴方の助けが欲しい。何でも良い!何か希望を、いや、せめて立ち直るまでの間の心の拠り所、時間を与えてやりたいんだ」
俺は悔しくて泣いていた…自分の馬鹿さ加減が悔しくて
「俺は馬鹿なんだ、こんな見た目になっても…三流大学卒業だからかな…あんたが好きな天才武将みたいに凄い考えが浮かべば良いんだろうけど…」
泣いている俺を女神様は憐れむ様な悲しそうな目で見ていた。
俺達はしばらくの間、そうしていた
「…分かったわ」
女神様がそう言った
「え?」
「貴方の望む通り、あの子の母親を生き返らせてあげる」
俺はさっきの女神様の話を聞いた後だったので、素直に喜ぶ事は出来なかった…
「でも…良いんですか?」
女神様はふっと笑うと
「エエー貴方がそれを言うの?」
俺はちょっと吹き出してしまった。
「やっぱり心を読んでたんじゃないですか…」
と力なく少し笑いながら言った
「さっきも言ったでしょ!心を読まなくても、それぐらい分かると!貴方の表情や目を見てるとね」
「そうですか…」
「もっと相手に心を読み取られないように励みなさい、貴方は私が見込んだ天才武将なんだから…」
「はい、頑張ります」
「カッコ良かったし、凄かったわよ黒鋼騎士との戦い…貴方は馬鹿じゃない、天才よ。私が保証する」
小さな声で少なくとも戦いにおいてはねと言った。
「ハハッ…ありがとうございます」
俺は君主に対する様に跪き敬礼しながら御礼を言った。
「それと分かってるわよね?」
「へ?」
「願いを叶える為には対価が必要」
「それなら、俺の願いをひとつ使って…」
「絶対にダメよ!あの少年の為にならない」
今度は凛として言った。神々しくて心を打たれて俺は何も言い返せなかった。
「貴方の旅にあの子を連れていく事、そして、全ての女神像を解放した後、その時にあの子が母親の生き返るのを望めば、その願いを叶えるわ!女神ゲーフの名に誓ってね」
「分かりました。お願いします」
俺は再び跪ずいて敬礼をした。今度はより深く。