ビービービーカーン!
その後、会議室にあったビリヤード台ぐらいの大きさのテーブルの上に広げられた地図を見ながら作戦会議が始まった。
「物見の報告によると敵は地上部隊のみと言うことです。今回は精強と言われるトーチの海軍は居ない…」
司会進行はアトラさんだ…と言うか他の人はあんまり喋ってないけど大丈夫なんだろうか?
「なるほど…じゃあ楽勝なんですね?」
と俺が確認する。
「いえ、それが…そういう訳でもありません」
と言いながらアトラさんが地図の上に下駄ぐらいの大きさの駒をおく。赤い色で凸の形だね。
「この駒は?」
「これはトーチ軍の駒です、あの国の軍隊は赤い鎧を身につけているので赤い駒は敵の部隊だと思ってください」
青い凸がハイマツ軍らしいね。
「なるほど」
よく分からないが地図を見るとハイマツとトーチの国境付近に山があって、海があり、その間を通れる様に道があった。
「じゃあ、真っ直ぐ行ってバーンで行けますかね?」
俺は自軍の駒である青い凸を持って子供が車のオモチャで遊ぶみたいに赤い駒にぶつけた。
駒同士がぶつかり、カーンと言う音が響くと、え?みたいな顔で皆が俺の顔を見つめる。
ハハハ、ケンシンさんはリラックスさせる為に冗談をと言いながら、アトラさんがひきつった笑顔で優しく駒を元に戻す。
因みに冗談ではなかったがハハハと笑っておいた。
「いえ、そのまま当たれば数で不利な我が軍は負ける可能性が高いですね」
とアトラさん。
「因みに両軍の数は?」
そう、真っ直ぐ行ってバーンが通用しないと言うことは結構違うのだろう。
「正確には分かりかねますが、恐らく一万…こちらは精々五千と言ったところです」
「それは厳しいですね…もっと兵を増やす事は出来ないんですか?」
「しかし、私達の国は徴兵制をしいておらず、何かあった時はファラオやモンスターが対応していましたので…」
詳しく聞くと、今回の騒動によりモンスターの数も減り、またファラオが居なくなった事で言うことを聞かなくなったり、離反するモンスターも多かったらしい…
「では、バーンとぶつかる前に相手の数を減らせば良いのですね?」
「バーン…ええ、まあ…それが出来れば良いのですが」
とアトラさんが言うと周りからは苦笑が漏れた。
「フッなるほど…それでは私に一つ策があります」
おお~と言う喜びの声が会議室内に上がる
「さすがはケンシンさん!いったい、どんな策ですか?」
「ええ、名付けてBBB作戦です。」
「それは?」
「簡単です」
そう言って俺は青い駒を別に一個取り出すとウィーンと山の上に登らせ頂上部分に配置する。
そして山に登らせた駒と道の駒を左右の手で持つと
「ここからビービービーこれだけです!そのあと残った敵をカーンで終わりです」
と言って駒を動かした…会議室内は静寂に包まれカーンと言う音だけが木霊する。
アトラさんがハハハ…とひきつった笑いを浮かべ
「ン、ンン」っと1つ咳をしてから
「すみません…ビービービーカーンでは、ちょっと…あの、天才と言うのは感性だけで分かるんだと思いますが、私達にも分かる様に説明してもらえませんか?」
と、重臣達を睨み付けながら聞いてきた。
え?ビービービーカーンって分かりやすくない?
そう思ってメグリ王子の方を見るとサッと目をそらされた…やれやれ仕方がないな