軍議 前編
アトラ視点
王具は基本的に王子しか使えない、ええ使ってませんよ。そんな事をしなくても、この国には私の王威のスキルに逆らえる物は、もう居ませんからね。ドミネーターで支配されていた者には効きませんが、ドミネーターがなくなった今、私の決定に逆らえる者はこの国には存在しません。
ですから、うまく誘導してメグリ王子とケンシンさんを私の後継者としてしまいましょう。
恐らくケンシンさんは女神様の加護を得ている勇者で間違いない。彼を味方にすれば天を味方につける事と同じこと、無理矢理にでも要職についてもらいます。
その為にはメグリ王子を味方につける事が肝要、ケンシンさんは別の世界に住んでいたせいか、男に興味がない(ノンケ)らしいですからね、フロンティアには居ない女性に近い見た目のメグリ王子には弱いはず!
他の男に対する態度とは、明らかに様子が違いますからね…単に子供が好きなだけかも知れませんがね。
そうでなければ私が体を使って、ろう絡するところだったのですが…
では、軍議《出来レース》を始めますか。
「王よ!申し訳ありませんでした」
軍義が始まる前に重臣一同が私に謝罪をしてきました。
「いえいえ、操られていたのですから仕方ありませんよ…私こそ申し訳ありませんでした」
と謝罪しておきました…頭を下げた状態で重臣達の反応を窺いながらね。
「いえ、とんでもない」「頭をおあげください」「 お慕い申し上げておりますぅ」
等と言っています。顔にも嘘は無いようだ…これを機に権力を主張してくる様な馬鹿は居ませんでしたね。
まあ、当然でしょう…私と敵対していた勢力の者はモトラッドに協力して謀反を企てた罪で投獄しましたからね。そういう意味ではトーチ帝国に感謝しなくてはいけないかも知れない。
特に今回の軍義は速やかに意思決定をする必要がありますからね。
そして軍議が始まりました。
「今回集まってもらったのは他でもありませんトーチ帝国の侵攻に、どう対応するかと言うことです」
その後、私は挨拶とモトラッドの不始末の謝罪を済ませ、王位を譲ると発言します。
「そんな!」「王に罪はありません」「考え直して下さい」等々言ってきます。
メグリ王子も
「今回の件はトーチ帝国のインキュバスが扇動した事が原因です、アトラ王に罪はありません」
幸い、メグリ王子からは罪の追求はありませんでした。
「ありがとうございます…本来ならば軍義で決める事ではありませんが、しかし、今回の事で一人息子のモトラッドは王位継承権を剥奪しました…ですから、新たに王位継承者を決めねばなりません」
では王族の中から誰かを…と言う話になりました。
しかし、抜かりはありません。モトラッドのドミネーターによって王族は全て言いなりになっていたのです…本来なら無罪とするところでしょうが全員投獄しましたからね。
「残念ながら、この国の王族は全てモトラッドに協力して謀反を起こした者ばかり…誰も王位継承の資格はありません」
と言って重臣達に王威を発動!もちろん反対意見はありません。誤解なき様に言っておきますが今までは、こんな事はしてません。今回は時間がないのです!
「そこで私は元々は同じ王家の血族である、セントラル国第二王子メグリ殿に王位継承権を譲りたいと思う!」