開放されるもの
「ファラオー!」「ファラレムー!」「やった助かった」等々スタジアムの観衆が叫ぶ
爆発の威力は凄まじかった様で破片等はほとんど落ちて来なかった。それに火計で押し上げた時に位置がずれてスタジアムの真上でなかったのが良かったのかも知れないが…
「アイツはファラオは悪い奴じゃなかった」
「そうだね」とマーリーが言う。
「ああ…だが、倒さねばならない敵だった」
とラプツェルが言った。
「ああ、分かってる」
そう分かってはいるんだよ。
そんな事を話していると、空から光輝く球体がゆっくりと落ちてきた。大きさとしてはボウリングの玉より少し大きい位だろうか?
それが、俺の方へと向かってくると目の前で立ち止まった。
《ケンシンよ、この女神像はお前に託そう》
と言うと、小さなトロフィー位の大きさの女神像が
光の玉から飛び出し、俺の手へと渡された。
「ファラオなのか?」
《そうだ…余は魂に戻り天へと女神の元へと帰る》
「俺で良いのか?」
《ああ…その代わり、何かあればハイマツ国をアトラ達を助けてやってくれ》
「分かった」
《ではな…よきゲームライフを》
と言うと光の玉は天へと向かい飛んでいった。
女神像は光輝き粒子となると、俺の右手へと吸い込まれていった。そして、右手の甲には金色の女神の紋章が刻まれていた。
と同時にメッセージが頭の中に響く
女神像の解放に成功しました。
計略 絶対王者の時間を習得
計略 火計がバージョンアップしました。
スキル タイムが超タイムに進化しました。
スキル クイックが超クイックに進化しました。
スキルセット枠が1つ増えました。
HP SP STの上限が100づつ上昇しました。
女神像の解放色々気にはなるが…
ゲームライフを楽しめ、か…ファラオは楽しかったのかな?
それは今となっては、もう分からない。
けど、第二の人生なんだ好きな様にやらせてもらうかな?
「おい!ケンシン!」
ラプツェルに言われて我に帰る。そういや、まだ終わってなかったな。
「おい!もう良いだろ?大人しく降伏してメグリ王子を開放しろ!」
俺はモトラッドへ向かい叫んだ。
「くそっ!こうなったらモンスター達と民衆を操って…」
とモトラッドが言いかけた時だった。
「いい加減にしなさい!」
と言う大音声がスタジアムに響く、さっきまで混乱して会場中が騒ぎになっていたのが嘘の様に静まり返った。
「ち、父上」
「ファラオがいなくなった今、貴方に勝ち目はありません!仮にも王にならんとする者なら、引き際を見極めなさい」
そう、大音声の正体はアトラさんだった。
「うわーん、ツネガー助けてよぉ」
とモトラッドが金髪オールバックのグラサン野郎にすがりつく。
「イエス…」とサムズアップするグラサン野郎
しかし、その後
「ゴートゥヘル」と叫ぶと指を下向きにして、すがりつくモトラッドの頭を踏みつけた!
「ひいいぃ、な、何をするんだよぉ」
「はん!もう、ウンザリナンデスヨ、お前みたいな血筋以外なんの取り柄もないクズのお守りは」
と言い、ペッと唾をはきかえる。
「うわーん、こんなプレイは好きじゃないよお」
「ハハハッ!そりゃあそうだ!今までは、お前に合わせてやってたからな、お前の理想とする強く逞しい見た目、お前を完全肯定してくれるイエスマン、ベッドの上でも完璧にお前の理想だったろ?」
と言って笑った後、グラサン野郎は表情を一変させ
「こんな格好も、もうやめだ!」
と自分の頭に手をかけると、そのまま上に引き抜いた!
すると金髪グラサン筋肉ムキムキの体が脱け殻になり、中から山羊の様な角を生やし黒い翼を持った黒髪赤目の美青年が姿を表した。
「やはり、インキュバスでしたか!」とアトラさんが叫ぶ。
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