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ギルモ

それから二人で庭の角の花壇の近くに穴を掘り、少年のお母さんを埋めた。


掘るのはほとんど俺がやった。転生して得たこの体のポテンシャルは凄まじく、穴を掘って埋めるだけの作業は割と深く穴を掘ったにも関わらず、一時間も掛からずに終わった。

少年には掘っている間にカンテラを照らしてもらったり、供える花を集めてもらったりしていた。


もう夜だったので、墓標を作ったり等の本格的な埋葬は明日以降にする事になった。


夕食は少年のお母さんが作ったシチューの残りが有ったので、それを温め直して食べた。

少年はシチューを食べると、お母さんの事を思い出したのか泣きながらシチューをすすっていた。


俺はアイテムボックスにある携帯食料を食べるからいいと断ったが…一緒に食べてほしい、その方がお母さんも喜ぶと思うと言われて、断り切れずに食べていた。素朴だが優しい味のシチューだった。


落ち着いた所で色々と話を聞いてみたところ


少年の名前はギルモと言うらしい、元々は黒ヤオ族の集落に住んでいたのだが、父親がモンスターの討伐に出かけて行方不明になった。


その後、一年ぐらいはその集落に住んでいたらしい


父親の生きている間は良かったが、母親は普通の人間であった為に閉鎖的な村の集落では風当たりが強く、母親が元々住んでいた、この土地に引っ越してきたそうだ。


その後も少し話していたが、やがてギルモが疲れて座ったまま眠ってしまった。


仕方ないので、また、お姫様抱っこでベッドに連れていき寝かせた。


その後、俺は彼の母親の部屋を借りてベッドの上で

横になったが中々寝つけなかった。


ベッドの上で仰向けになって、ため息をつく。


ギルモの話を聞いていると、色々と考えさせられる。


前の世界の俺は俺で色々といっぱいいっぱいであったけど、この子に比べると…そんな事が頭に浮かぶ


不幸なんて比べる物でも無いし悩みに小さいも大きいもない。


アフリカの子供はとか、昔の人はとか、だからお前の悩みなんて、とか言うけど、そんな小さな事で悩んで命を落としてしまう人だって現にいる。


だから、俺は、この子に比べれば自分なんてとは言えないし、言はないが…それでも何か、何とかしてやりたいと思っていた。


一体、俺に何が出来るのだろう?


たしかに俺は、この世界に来て凄まじい身体能力やスキルの力を得た。


特に火計なんてチートも良いところだ。モンスターの王が相手では楽勝だとは思わないが、人間の軍隊ぐらいなら、どうにでも出来るかも知れない。


でも、そんな力や恐怖で人を支配して富を得て、それを彼に分け与えてって言うのは違う気がした。


それは果たして幸せと言えるのか?


彼の心の傷は癒えるのか、それで満たせるのか?


俺には何か違うような気がした…

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