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魔法少女はそのままで。   作者: 片倉真人
フォールン・ムーン編
151/183

第29話 魔法少女はそれぞれの戦いで。(5)

 ◆6月20日 午後6時18分◆

 双方が武器を構えると、合図も無く戦いは始まった。

 互いの得物が金属音とともに交わり、力と力がぶつかり合うたび鈍い音を奏で、両者からは周囲を焦がすかのような熱気が発せられていた。


「はああっ!!!」


 ――ガキィィーン!!!


 ムラクモによる渾身の一撃を、大男は片手の大剣で難なく凌ぐと、お返しとばかりに大剣を滑らせるように刃を傾け、胴切りのように脇腹目掛けて一閃する。

 反応するようにムラクモを手首で回転させて逆手に持ち直し、紙一重というところでムラクモとハバキリでその攻撃を受けきる。

 そして、互いが互いの手を塞ぐ形で一時の均衡が保たれた。

「……良い太刀筋だ。レム嬢ちゃんの言ってた本物の剣術ってぇのは、嬢ちゃんのことだな?」

「何?上から?女だと思って舐めてると、痛い目見るよ?」

 私がそういうと、大男は鼻で笑った。

「舐めてねぇさ。こうして俺の剣を捌ききってる時点で、嬢ちゃんが並じゃねぇってのは判ってるぜぇ?だが――」

 一瞬だけ反発が弱まったかと思うと、大男は目にも留まらぬ速さでムラクモを弾く。

 そして、片手で持っていた大剣を両手で強く握り締めると、拮抗していた力のバランスは途端に崩れた。

「剣を交えりゃ、力の差も見えちまうってもんだ」

 すかさず体勢を立て直して、再び両手の刀で大剣を押し返すも、両手になったことによって力のバランスが元に戻ることはなく、私は確実に押し負けていた。

「チッ……!!やっぱ、こっちのスタイルが本物……。アレも嘘ってワケね……」

「ああん……?そりゃどういう意味だ……?」

 チーの記憶からこの大男のことを知っていたが、私は不思議に思っていた。

 このバルムンクという剣は嘘やブラフだとチーは語っていたが、これは間違いなくこの男の剣であり、筋肉の付き方からもそれを扱えるように鍛えられたものだと、今の私には思えた。

 袖に仕込んでいた麻痺毒付きの短刀も、格下の相手と戦う状況のときだけに仕込んでいたものであり、象が一日動けなくなる毒というのも本当かどうかも疑わしく、お得意の口からでまかせである可能性すらある。

 ようするに、あの時のチーは武器を持っていなかったため、手心を加えられていたのだと考えるのが自然だった。

「俺はもう嘘は吐かねぇさ。レム嬢ちゃんに負けたのは、自分の強さを見直す良い機会だったぜ。だから、ここひと月で体を鍛えに鍛えて、剣術もみっちり学んだってわけよ?」

「ふ~ん……なるほど……。それをあの子に会って見せびらかしたいってワケ?」

「そういうこった」

 何ら恥ずかしがる様子もなく、大男はニンマリと笑った。

「子供かー!!!」

 私がツッコミと同時に大剣を弾き返すと、剣戟は再開された。

 渾身の力で弾き返した結果、大男は3メートルほど吹き飛ばされ、私はその隙にバックステップで距離を取る。

「遅ぇ」

「はや……っ!?」

 しかし、大男は一秒と待たずに私に接近したかと思うと、2メートルはある金属の塊といえる大剣を軽々と振り回しながら、それを途絶える間もなく私に打ちつけはじめた。

「……っ!!」

 先ほどよりも一層スピードの上がった剣閃と、止まることのない猛攻に隙を見出すことが出来ず、私は全神経を集中させ、ただただその一撃一撃を捌くことに徹するほかなかった。

「本物の剣術ってのはこんなもんかぁ?口ほどにもないって言葉がお似合いだぜぇ?」

「うっさいわ!!!マジ人間かコイツ……っ!?つか、ひと月で剣術学んだってそれこそ嘘じゃないの!?」

 剣を横に受け流しながら反動を利用するように反対側へと飛ぶも、大男もまた受け流された剣の遠心力を利用しながら一回転し、重い強打を私の腹部目掛けて放つ。

 そのカウンター攻撃をなんとか二刀で受け、上半身と下半身がお別れしてしまう事態をなんとか回避する。

「ぐぅあっ!?お、重ぉ……!?」

 だが、想像を優に超えていたその衝撃を完全に殺すことは出来ず、その衝撃によって足が地面を離れる。

 しかし、それを好機と見て咄嗟に腕へと力を込め、勢いをそのまま利用して、一旦距離をとるために後方へと大きく跳躍する。

「ば……!?」

 だが、私が瞬きした次の瞬間、大男は再び目前へと迫っていた。

 私の目で捉えられないほどのスピードで大男が距離を詰めたことに、言い知れぬ違和感と危機感を覚えながらも、私は空中で体勢を立て直す。

「こうなったら……!!」

 休む暇すら許してくれない相手に防戦一方では、いずれ体力勝負で負けてしまうと考えた私は、それならいっそと正攻法とは別の手段に出る。

「――はっ!!」

 大きく振りかぶり、ハバキリを投げるように大男へと放つ。

「ああん……?刀を……投げ捨てただと……?」

 当然と言うべきか、そんな奇策が大男に通じるはずもなく、蚊を払うようにあっさりと落とされてしまう。

 だが、それが私の目的だった。

「――レイン・ストリングス!!」

 大男の剣がハバキリに触れたその瞬間、それは水球へと戻ると、蜘蛛糸のような細い糸へと瞬時に形状を変化させ、大男の持つ剣を縛り付けるように巻き込んで地面に張り付いた。

「なんだぁこりゃあ……?」

 その間に私は無事に着地を果たし、そのまま数歩下がって距離をとり、束の間の休息を得る。

「その糸は蜘蛛の糸みたいに、見た目よりも頑丈だから。これでその剣は使い物にならない」

「……こりゃあ、まるで忍術だな?んじゃまぁ、代わりにこっちも面白いもん見せてやるぜぇ?」

 大男はボソリと呟くと、動揺した様子もなく両手で剣をしっかり握り、呼吸を整え力を込める。

「ふんっ!!」

「――んなっ!?」

 私は目の前で起きた出来事に驚愕するほかなかった。

 なぜなら、大男の持つ大剣に絡み付いていたはずの水の糸は、私が瞬きする間に消えていたのだから。

「一体何をした……?コイツ……?」

 一言に糸と言えど、魔法によって鋼鉄程度の強度でコーティングを施しつつ、ゴムのように伸び縮みする伸縮性を持ち合わせており、普通の方法で切断することは至難の業である。

 そんな糸を何重にも巻きつけられていた剣が、力ずくで断ち切るならいざしらず、大男の気合の声だけでいともあっさり、しかも目の前で消したというのだから、理解が追いつくはずもない。

「このバルムンクには、そんな小細工は通用しねぇよ?」

 その一言に私は更なる疑問を覚え、思ったことをそのまま言葉に漏らす。

「バルムンク……には?ということは、その剣に秘密があるってわけ……?もしかして、アンタの動きがおかしいこともそれが理由?」

「ああん……?おかしい……だあ?」

「身体能力がいくら高いからって、そんなバカみたいにデカい剣持って、あんなに早く動けるわけない。それに、剣の太刀筋は見えるのに、アンタの動きだけが見えないってのがどうもしっくりこない」

 スピードや動体視力、反射神経等には絶対の自信があったものの、異常とも言えるそのスピードに私の身体能力は反応しきれていなかった――というよりも、そもそも動きが見えていないのだった。

 太刀筋が早いとはいえ、それらは辛うじて目で捉えられる範疇ではあったのだが、どうしても()()()()()()()()()()()()()()

 つまり、そのまま言葉で表現するのなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という状況なのである。

 それ故、私の反応は必然的に一瞬だけ遅れることになり、無理な体勢で攻撃を受け、更に不利な状況へと追い込まれるという悪循環が繰り返されていた。

「だっはっはー!!そいつを見破られたのは初めてだ!!やっぱり、嬢ちゃんは本物だな!?」

 私は首を傾げながらも、疑うように睨み返す。

「コイツの名前がバルムンクだってのは言ったな?あれは嘘じゃねぇ」

「はぁ……?バルムンクて架空の剣なんでしょ?アンタがそう呼んでるだけじゃないの?」

 大男は自慢げに剣を天に向けてかざすと、微笑みかけるように笑った。

「確かに、この剣が架空のものであるってことには違いねぇ。だが、この剣は正真正銘、紛れもなくバルムンク。そんでもって、嬢ちゃんが気付いている違和感の正体はコイツの持つ力でもある。まあ、そいつが判ったところで、嬢ちゃんには万に一つも勝ち目はねぇと思うがな?」

「架空のものが、正真正銘……?剣の持つ力……?ちょっと、何言ってるか判んないんだけど……?」

 チーであれば、今までに得た情報からその答えを導き出すのだろう。

 だが、私や雹果の談合によって、当の本人は安全な場所に隔離されている頃合であるため、その助けを借りることが出来る状況ではない。

 そもそも、チーの助けを借りないために談合したのだから、それは本末転倒とも呼べる。

 そういった事情である以上、私一人でその答えを見出すほかないことは明白な事実であるのだが、案の定というべきか、今の私にはバルムンクの正体に見当のけの字も思い当たることはなかった。

「仕方ないとはいえ、チーを外すのはマズったかなぁ……?ん……?でも、待てよ……?」

 だが、私は私なりの考え方で、一つだけ至極単純なことに気が付いた。

「つまり、その剣をアンタが手放しさえすれば、私にも勝ち目はある……そういうことじゃない?」

「嬢ちゃん、実は頭悪いのか……?それが出来ればって話をしてるんだろうよ?」

 大男は残念そうな表情を浮かべながらも、再び剣を構え、鋭い眼光を私に向ける。

「正直、腕が四本あっても足りないかも?猫の手でもなんでも借りなきゃ、そんなの無理そうだわ」

 わざとらしくそう言い放ったあと、私は刀を下げ、構えを解いた。

「ふぅー……」

 その様子を不審に思ったのか、大男は小首を傾げた。

「何の真似だぁ?降参には早ぇと思うが?」

「……相手に一瞬で近づくことが出来るアンタは、遠くの敵を攻撃をする手段を持っていない。なぜなら、その必要が無いから。だったら話は簡単。私はそれを迎え撃てば良いだけ。だから、私はここから動く必要は無い」


 私は自分の速さに絶対の自信を持っていたが、私を上回る速度で動く相手に速さは通用しない。

 それならばいっそ、私がその速さを捨て、その分の力を別のことに注げば良いという結論に至った――それだけのことだった。


「レム嬢ちゃんに聞いてないのか?俺が麻痺毒を塗った短剣を隠し持ってるってよぉ?」

 そう言って、大男は袖に手を伸ばす。

「知ってる。けど、今のアンタはそれを持ってないって断言できる。だって、ひと月で鍛えたっていうアンタの肉体と剣術がアンタの言葉が嘘じゃないことを証明してる。大方、自分の剣術に自信が持てるようになって、不要になったってことでしょ?」

 私が皮肉混じりにそう告げると、大男は眉を大きく歪め、図星を指されたように目を逸らした。

「……そんな高尚なもんじゃねぇさ。プロとして、敵に利用されるような武器は使わなくなったってだけだ」

「へー……。そういうときだけ嘘つくんだー?バレバレだけどー?」

「チッ……」

 大男は一度舌打ちすると、ばつが悪そうに背を向けた。

「そういやぁ、名を聞いていなかったなぁー?嬢ちゃん、名はなんてぇんだ?」

「名前……?私は――」

 本名を明かすべきか、偽名を名乗るべきか、私はその問いに一瞬戸惑った。

 しかし、さほど時を待たずして、そう選択することを決めた。

「私は五月(さつき)(あめ)五月雨(さみだれ)って書いて五月(さつき)(あめ)

「洒落の利いてる良い名前じゃねぇか。俺の名前はディオフだ。冥土の土産に覚えといてくれや」

 大男が自分の名を告げて振り返ったかと思うと、それまでとは打って変わって、まるで獲物を刈るような鋭い眼差しを私に向けた。

 私は視線が合った一瞬だけ、背筋の凍るような感覚を覚えた。

「そんじゃまあ、五月嬢が動かないってんなら、次の一撃で決めてやろうじゃねえか?」

 その宣言を聞いて、私もまた気を引き締めるように両手でムラクモを持ち直し、上段に構える。

「いいよ。かかってきなよ。それで決着(ケリ)をつけようじゃん」

「そうかい」


 互いが言葉を発してから、長い静寂が訪れた。


 ――来る……!


 そう思った刹那、ディオフの姿は私の視界から一瞬で消えた。

 そして、一秒と待たず、例によって私の目前に再び現れ、その巨大な刃を振り上げていた。

「あばよ」

 そう呟く声が耳に届き、私の頭部目掛けて容赦なく凶刃を振り下ろそうとする。

 だが、私はその様子を視界に捉えようと、1ミリたりとも動こうとはしなかった。

 なぜなら、()()()()()()()()()()()

「刀が……無いだと!?」


 ――シュッ!!


 私とディオフの間に割り入るように、白く小さな影が現れた。

「――なっ!?」

 それは戦いという場におよそ相応しくないであろう、白い子猫だった。

「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!!」

 だが、その可愛らしい風貌とは裏腹に、野生の獣のように猛り狂った鳴き声を上げながら、無防備なディオフの顔面に張り付くと、その顔に幾つもの爪跡を刻んだ。

「コイツ……!?」

「――レイン・ストリングス!」

 そうしている間に私が魔法の名を叫ぶと、刀は糸に形を変え、ディオフの両手両足首を()()()()拘束し、私へと振り下ろされた刃は額に触れる寸前というところでピタリと静止した。

「刀を投げていたのか……!?だが、これで俺を拘束したつもりなら――」

 僅かな空気の振動によって、ディオフの腕の動きが私にも伝わってきた。

 だが、それを察して私よりも先に動く人物――というか、猫が居た。


『――させませんわ!!』


 白猫は人間ほどの大きさまで巨大化しながら姿を変え、ディオフの手首に狙いを定め、真下から蹴り上げる。

「――ば……かなっ!?」

 すると大剣はディオフの手から離れ、大きく弧を描きながら宙を舞ったかと思うと、盛大な金属音を鳴らしながら床に落ちた。

 そうしているうちに、可愛らしい白い子猫を成していた姿は見る影もなく、数秒後には私の見知った顔へと姿を変えていた。


「――アンタは剣を手放した。これで勝負はついたんじゃない?」

「さすがの俺も、猫の嬢ちゃんには色々と驚かされたぜぇ……。だが、まさか立ち合いで他人の手を借りるような()()()真似を、五月嬢がするとも思ってなかったぜ?」

 ディオフが負け惜しみのように“卑怯”という言葉を選んだようだが、私はその言葉に微塵も怒りを覚えることはなかった。

「そっちこそ見損なわないで。私は友達のためなら自分のプライドなんか簡単に捨てられる。だから、友達を救うためなら手段を選ばない。私だけじゃ手が足りなさそうだったから、()()()()()()()()()()()()。それだけ」


 私は相手に気取られぬよう、胸元に隠した鏡の先に向けて合図を送っていた。

 元々、祈莉にはひと段落したところで合流しようと伝えてあったものの、ディオフとの連戦に入ったことでその機を逸することになっていたが、私はそれ自体が相手の隙を付くには丁度良いと考え、そのタイミングを会話の中で密かに伝えていた。

 そして、祈莉は猫に変身することで小さくなり、鏡を通り抜けてこちら側に姿を現した――というのが祈莉参上の大まかなあらすじだった。


「友達のためだぁ……?そのために、自分が無防備になることを知りつつ、刀を投げるなんて無謀な真似をしたってのか……?気が知れねぇぜ?」

「私には信頼できる友達がいる。だからこそ、私は友達のために命を張れる。私たちはそうやって互いを支えあってきた。今さらそこに疑問なんて湧かないんだよ?」

 私がイノに視線を送ると、イノは当然と言いたげに強く頷き返した。

「それに、刀を投げたのだってイチかバチかじゃない。さっきは失敗したけど、効果が無かったわけじゃないし、タイミングさえ合わせれば一番効果的だと思ったからそうした。だって、速く接近するってことはその分機動力が失われるってことだから、運が良ければアンタは自分から串刺しになりにくるワケだし?ぶっちゃけ、やられる前にやれ、みたいな?」


 ディオフが移動を開始するその瞬間を見極めるために全神経を集中し、私は移動を始めたその瞬間にムラクモを投げつけた。

 相手が私に向かってまっすぐ進んでくるのであれば、それは高い確率で直撃するだろうし、高速で移動しているのであれば避けるのも困難――つまり、それは私が考え得る限り、相手を倒す最も確率の高い方法だった。

 しかし、私の考えた作戦も想定通りとはいかなかった。


「でも、一つだけ誤算はあった。正直言うと、アンタが串刺しにならなかったことが想定外だった。けど、そのお陰でバルムンクって剣の能力がなんとなく判ったワケだけど?」


 ムラクモで相手を一撃で仕留めることが私の考えたメインプランではあったものの、それが叶わずとも相手を油断させられると踏んで、祈莉猫の登場で撹乱させつつ魔法で相手を拘束し、剣を手放させるサブプランもシミュレーションしていた。

 しかしながらというべきか、結果的に事が上手く運んだとはいえ、相手がムラクモを投げたことに気付かないケースを私は想定していなかったので、穴だらけの作戦であったことは否めない。

 だが、想定外の事態になったとはいえ、副産物として私の感じていた違和感の正体が判明することとなった。


「刀がすり抜けたってことは、私に向かって凄い速さで移動したんじゃなくて、()()()()()()()()()()()()()ってこと――」


 私はディオフの姿が消えたその瞬間に刀を投げた。

 その刀をディオフが避けたのであれば、背後に落ちた刀の存在に気付いていないわけがない。

 だが、ディオフは私が刀を投げたことにすら気付いてはいなかった。

 この状況を説明するには、余所見したり、目を瞑ったりしながら無意識に刀を避けたか、記憶力が鳥以下で忘れてしまったか、私が投げた刀よりも手前に瞬間移動していた以外に可能性は無かった。


「――ズバリ!バルムンクの能力は“瞬間移動”!!」

 私はディオフを指差しながら、ドヤ顔で言い放った。

 そして数秒の沈黙の後、ディオフは大声を上げながら笑い出した。

「……だーはっはっは!!!答えとしちゃ及第点ってところだなぁ?」


『――バルムンクの正体は、人間の想像によって創られ、次元を超えてこの世界に顕現(けんげん)した異空現体(アカシクス)。その能力は“次元を斬る”こと。それが答えでしょ?』


 聴き慣れた声が聞こえ、私は咄嗟に振り返る。

「……チー!?」

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