スカイブルーめろんぱん 9
女神から、自宅に来てもいいという報せが入ったのは5限と6限の間の休みだった。6限が終わり、SHRが終わると、一緒に帰るつもりで恐れ多いことながらも司は女神の帰りの支度を待つ。女神の想い人・増山が不思議そうに司を見ていることに気付くと、何ともいえない気不味さに項垂れそうになる。隣のクラスから聞こえる担任の声の感じからしてまだ駄犬のクラスは放課後になっていないようだ。
「三条さん?」
放課後になったというのに席に座ったままの司に不信感を抱いたのか増山が声を掛けてきた。司の友人たちはもうカレシたちと帰っていった頃だろう。
「どうしたの?帰らないの?」
首を傾げる仕草がかわいい。昼休みの衝撃の告白から、女神と一緒の空間で増山といるのは苦しいものだ。
「ちょっと用事があって。ははは」
場をやり過ごす愛想笑いを浮かべる。下手すぎて自分でも不自然だと思う。けれど他に術がない。増山と楽しく時間を潰す話術もないのだ。
「増山さん」
女神の支度が終わったらしく、席を立つ音がした。物静かないつもの仕草と比べて乱暴だ。増山の表情は途端に暗くなる。
「なに?」
けれど声音はいつもと同じ。ただ戸惑いの色を司は感じ取る。本当に女神のことなんて、どうとも想っていないのだろう。つまらなさに司はひとり肩を落とす。お似合いだと思う。2人が並ぶ光景を見てみたいのに。
「三条さんと、隣のクラスの三条さんのお友達と、これから僕のうちに行くんだけど・・・」
「そ、そうなの。私には関係ないわね?」
引き攣った増山の笑み。刺々しい言葉が女神に向けられる。司は狼狽しながら2人を交互に見る。どういうことなのか現状が理解できない。ぽかんと口を開けた女神が、すぐにまた表情を笑みに塗り替える。
「増山さんもご一緒に、って思ったんだけれど、都合が悪かったみたいだね」
「あ!えっと、増山さん、この後何かある?かな?」
司は咄嗟に口を開く。何を喋るのか考えず。
「ないよ?」
にこりと増山は女神に向ける引き攣った笑みを異質のものを向ける。ドキっと心臓を一度強く握られた気分になる。女神が惚れる理由が分かる。一方通行だが。
「なんていうか、男ばっかで暇かな・・・って・・・」
増山がいるととても困る話をするのだけれども。どうにか海森と2人きりにならなければならない。だが後先考えていられなかった。女神に刺々しい言葉を向けられるのを見ているのが嫌だった。
「え・・・でも・・・いいの・・・?」
増山が小声で訊ねる。女神なら増山を快く迎えるほかないのだ。
「いいよね?岬君」
女神の方を見ると、女神は満面の笑みを浮かべた。
【未完】




