ある日の朝
やってしまった。
朝起きてすぐに反省した。
頭が痛い。
なんとか、机まで移動したがそれ以上は動きたくなかった。
頬杖をつきながらガンガンと騒音鳴り響く頭を支える。
原因はよくわかっている。
俺の横に堂々と立つ一升瓶だ。
アルコール度数の低いいちご味のリキュールだったのが災いした。本当にジュースみたいにゴクゴクと飲んでしまった。
注ぐ相手も乗せ上手だったことも間違いないが、一杯二杯とすすみ気がつけば五杯、六杯。その後すぐに瓶が空いて、ハイテンションのままハイボールを一杯、あとはワイ……。
もう考えるのはやめよう。
チャンポンなんてしなければよかった。いつも、ワインとウィスキーの飲み合わせで失敗しているのに何故こうも繰り返す。なんて、愚かなんだ。
ああ、痛い。
手で頭を支えるのもしんどい。 机に支えてもらう方が効率がいい。
そういえば、頬杖をついた方が手が喜ぶと言ったのはどの作品の誰だったんだろう。
やっぱり、考えるのはやめよう。 余計に頭が痛い。
「うわ……大丈夫?」
おかしい。この声の主は、彼女は一緒に同じ量の酒を飲んでいたはずだ。なんなら、最後に「飲まないならそのグラスに残ってるの、もらってもいい?」と言って飲みかけの酒を奪っていったはずだ。なのに、何故平常運転なのだろう。
世の中は理不尽だ。やってられない。
「コーヒー、淹れようか?」
「さゆー。白湯をお願いします。できるなら、0.09%になるように食塩を入れて砂糖は小さじ一杯、クエン酸とレモン果汁を適当に入れてもらえれば」
「よしわかった。クエン酸とレモン果汁はないから我慢してね。砂糖は入れてあげる。あと、塩はいちいち計算してられないから大さじ一杯の岩塩を入れて温めてあげる。安心して、500ミリぐらい水は入れてあげるから」
「ごめんなさい。生言いました。お願いですから、海水は勘弁してください。コップ一杯分の白湯と市販の鎮痛剤をください。薬のアレルギーはないのでお願いします」
「鎮痛剤か……。じゃあ、なにか食べてからじゃないとね。パンは無理だよね。レトルトのスープでいいよね」
「はい、お気遣い誠にありがとうございます」
本当に今日は休みでよかった。
とはいえ、最悪の1日なのは間違いなかった。